第15話 魔王健康診断に行く
今回は、健康診断回です。
ゆるく読んで頂けると嬉しいです
魔王は、年に一回の健康診断に来ていたーーー
検査1 問診
悪魔医師
「魔王様ー、魔王様ー」
魔王
「うむ」
悪魔医師
「これは魔王様。よろしくお願いします。じゃあまずは、問診からです」
魔王
「よろしく頼む」
悪魔医者
「何か、体調面で気になる点はありますか?」
魔王
「そうじゃなぁ、この前ちょっと封印が解けた気がするの」
悪魔医者
「フムフム、封印がちょっと解けたと……何か日常生活に問題は?」
魔王
「うーむ、今のところ特にないのぉ」
悪魔医師
「では、大丈夫です」
魔王
「……」
悪魔医師
「次は心音を診ますね……」
ピトピト
魔王
「どうですかの?」
悪魔医者
「うん、心臓が一つ止まってますが、大きな問題はなさそうですね。残り、12個あるんで」
魔王
「……先生、ありがとうございました」
検査2 身長・体重
悪魔看護師
「次は、身長と体重ですね。じゃあまず身長から」
魔王
「うむ」
フワ
悪魔看護師
「あっ、身長は去年より3センチ伸びてます」
魔王
(うむ、バレんかった)
悪魔看護師
「じゃあ、体重計に乗ってください」
魔王
「うむ」
フワ
悪魔看護師
「体重も、去年より5キロ落ちてますよ」
魔王
(ふふ、ちょっと浮いてたの、気が付かれてないわい)
悪魔看護師
「でも、ちょっと浮いてたので、その分補正しておきますねー」
魔王
「……」
検査3 視力
悪魔看護師
「はい、じゃあ私が順番に指さしたものを、順番に答えてくださいねー」
魔王
「うむ」
悪魔看護師
「これは?」
魔王
「1000里先の村じゃ」
悪魔看護師
「これは?」
魔王
「窓辺でまどろむ未亡人じゃ」
悪魔看護師
「これは?」
魔王
「団地妻じゃ」
悪魔看護師
「これは?」
魔王
「過去のわしじゃ」
悪魔看護師
「これは?」
魔王
「未来いぃのぉ……わしかのぉ?」
悪魔看護師
「これは?」
魔王
「わからぬ」
悪魔看護師
「はい、ありがとうございます。未来視力が下がってますね。
ただ、エロいものを見る眼力は上がってますねー」
魔王
「わしも、歳かのぉ……」
検査4 採血
悪魔看護師
「魔王様……ちょっと針が通りませんね」
魔王
「わし、体が固いからのぉ……」
悪魔看護師
「……じゃあ特別に……オレイカルコスの針、使いますね!」
魔王
「今年もか……あれは痛いんじゃ……」
悪魔看護師
「じゃあ、刺しますよ……それ」
トゥルリ、ズブズブ
魔王
「痛ーー! いだだだだだだた、いだー! か、か、会心の一撃じゃ!」
悪魔看護師
「終わりましたよ」
魔王
「はぁはぁはぁ……わしが年で一番ダメージを負うのは、採血じゃ……」
検査5 レントゲン
悪魔看護師
「はい、じゃあ最後にレントゲン撮りますねー」
カシャッ
魔王
「どうじゃ?」
悪魔看護師
「うーん……ちょっと、魔王様の暗黒物質に光が混じってますね……」
魔王
「あぁ、それは……まぁ大丈夫じゃろう」
悪魔看護師
「?…それでは、これで終了です」
更衣室ーーー
悪魔魔道士
「あっ、魔王様」
魔王
「おぉ、悪魔魔道士君。今からか?」
悪魔魔道士
「はい、これからです。魔王様はもう終わったんですか?」
魔王
「うむ」
悪魔魔道士
「どうでしたか?」
魔王
「…………」
悪魔魔道士
「どうしたんですか?」
魔王
「…………体重が増えておった」
心の臓が一つ止まっていることより、体重が増えていることを気にする、魔王だった。
ここまで読んでいただき、ありがとうございます。
皆さんも健康でありますよう。
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