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第12話 クルシミマスと、ドラゴンと、赤い服の狂人と

今回は、クリスマス回です。


ゆるく読んで頂けると嬉しいです

魔領域全体が沸き立っていた。

そう、今日は楽しい《クルシミマス》……


魔王

「今日はクルシミマスじゃな」


悪魔魔道士

「ええ、そうですね」


魔王

「お主、クルシミマスの起源は知っておるか?」


悪魔魔道士

「いえ、知らないです」


魔王

「諸説あるんじゃがの……」


世界創世の時代――

サタンは現世に降臨し、魔に敵対する者たちの首を刈り取り、それを各地に置いて回ったと伝えられている。

時は流れ、その逸話を歪んだ形で模倣した男が現れた。


後に【サタンクロース】と呼ばれる狂人である。


彼は拷問によって正気を失い、自らを

「サタンの生まれ変わり」と名乗った。

その口癖は決まってこうだったという。

――「メリー・クルシミマス(楽しく、苦しみます)」彼はこの言葉を頼りに、拷問の苦痛から自我を保とうとしたのだろう。


その姿は、

拷問の果てに色を失った白い髭。

返り血に染まった、赤い衣が特徴的だった。

狂人は、かつてのサタンを真似るように、

切り落とした首を各地に“置いて回った”。

ただ一つ違っていたのは、

その生首には必ず、血文字でこう書かれた札が添えられていたことだ。

――《プレゼント》


魔王

「…それが転じて、プレゼントを交換したり、パーティーしたり、老若男女が楽しむ日となったんじゃ」


悪魔魔道士

「ちょっと転じ過ぎじゃないですか!?」


魔王

「まぁ、世の中そんなもんじゃ」


悪魔魔道士

「子供が泣きますよ、サタンさんの正体知ったら……」


魔王

「ははは」


悪魔魔道士

「笑うところじゃないです! なんで笑ったんですか!?」


魔王

「まぁ、そんなわけで今日はクルシミマスじゃ。皆を楽しませてやるか」


―――

ところ変わり、会議室。


スライム

「今日クルシミマスだね」


サキュバス

「ウフ♡ そうね、男女が愛し合って交わ……」


スライム

「あー、あー、サキュバスちゃん、サキュバスちゃん」


サキュバス

「あら? 何かしら?」


スライム

(ドラゴン君まだ幼児だから、そういう大人な話はちょっと……)ボソボソ


サキュバス

(そうだったわね。うふ)ボソボソ


スライム

「そういえば、ドラゴン君元気ないね。どうしたの? せっかくのクルシミマスなのに」


ドラゴン

「我はいいドラゴンでないので、サタンさんが来てくれないやもしれない……」


スライム・サキュバス

(ドラゴン君、サンタさん信じてるんだ……)


スライム

(そういえば、この前ドラゴン君『サタンさん来てくれるかなぁ』って言ってたよ)ボソボソ


サキュバス

(私も見ましたわ)ボソボソ


スライム

「ドラゴン君いい子だから来てくれるよ」


サキュバス

「そ、そうよ。来てくれますわ」


大カタツムリ

「みんな、何を言っているんだい? サタンさんなんて、架空の……」


スライム

「ちっ!」


ドゴッ


その瞬間、大カタツムリの土手っ腹にスライムの会心の一撃がヒットした。

大カタツムリは力なくダウンしたが、誰も気にも止めなかった。


ドラゴン

「しかし……」


スライム

「何かあったのかい?」


ドラゴン

「うむ、先日我がおねしょをした故、マザードラゴンにこう言われてしまって」


――あんた!! また、おねしょして!

サタンさん来てくれないよ!!――


スライム・サキュバス

(ドラゴン君、おねしょするんだ……)


スライム

「だ、大丈夫だよ! おねしょは皆するし、ドラゴン君、蜘蛛の巣に捕まった蝶を逃がしてあげてたじゃん!」


サキュバス

「そうよ。この前、おばあちゃんの荷物持ってあげてたじゃない。感心しましたわ」


床に転がったまま、かろうじて意識を取り戻した大カタツムリが、弱々しく口を開いた。


大カタツムリ

「……そもそもだね……サタンさんという存在は……」


スライム

「ちっ、クソが!」


ドゴッ


二度目の会心の一撃が、大カタツムリを静かに眠りへと誘った。


スライム

「ふぅ。まぁサタンさんは絶対来てくれるから安心して。俺が保証するよ」


サキュバス

「うふ、わたしも保証するわ」


ドラゴン

「そうだろうか……」


バタン


???

「……メリー・クルシミマス」


次の瞬間。

白く、異様に長い髭。

返り血のように深紅に染まった衣。

背中には、異様に大きな袋。

そんな出で立ちの男が入ってきた。


スライム

(これは……魔王様じゃねぇか!)


赤い服の狂人――否、魔王が言った。


魔王

「君がドラゴン君じゃな?」


ドラゴン

「えっ…、サ…サ……サ……サタンさんだぁ!!」


ドラゴンの目が、ぱぁっと輝いた。


サキュバス

(嘘でしょ!? 信じたわ……明らかに魔王様なのに)


魔王

「ドラゴン君がいい子にしてたのは、いつも見ておったぞ」


ゴソゴソ


魔王

「これは、わしからのプレゼントじゃ」


ドラゴン

「えっ、いいの? やったぁー! ありがとう、サタンさん! やったーーー!」


ドラゴンはそう言うと、喜びのあまり尻尾をバタつかせながら外へ飛び出していった。


魔王

「ふふ、可愛いもんじゃの」


スライム

「あれがドラゴン君の素なんですかね?」


サキュバス

「母性本能をくすぐるわ」


魔王

「お主らにもプレゼントはあるからの。メリークルシミマスじゃ」


スライム・サキュバス

「メリークルシミマス!」



ここまで読んでいただき、ありがとうございます。


私からも、メリークリスマスです。


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