第10.5話 オーガ
今回は、10.5話です。
0.5話は毛色の違う内容です。
ゆるく読んで頂けると嬉しいです
10.5話 オーガ
魔王城廊下。そこを物静かに歩く男がいたーーー
カツカツ…
「おや?君は見ない顔だが、新人かな?」
振り向くと、男は穏やかな笑みを浮かべていた。
オーク
「は、はいっす!私、新人のオークと申します!よろしくお願いしまっす!」
「そうか、私は軍事戦略担当の《オーガ》という。よろしく頼むよ。では」
そういうと、男は静かに歩を進めた。
スライム
「おっ、オーク君どうした?」
オーク
「あっスライムさん。今、オーガさんという方に会ったっす…」
スライム
「オーガさん、帰って来てたんだ…」
オーク
「他の魔王軍の方と、雰囲気違うっすね…落ち着いていて…でもなんか…怖いっていうか…」
スライム
「オーク君、見る目あるね…」
魔王執務室ーー
オーガ
「魔王様、いつまで戯れをお続けになるおつもりか」
魔王
「戯れ?オーガ、わしは至って本気じゃよ」
オーガ
「我々の力ならば、支配などたやすい」
魔王
「力で支配したとて、世界は長くはつづかぬよ」
オーガ
「『優しい世界征服』…とやらですか?」
オーガは口角を下げた
オーガ
「あの人間の戯れ言にまだ、執着しておられるのですか」
魔王
「…わしにはお主のほうが、人間に執着しているように見えるよ」
オーガ
「何を…」
オーガは反論しようとしてやめた。言葉が出なかった。
魔王
「まぁよい。一つ問答をしよう」
魔王
「好きの反対は、無関心という。ならば嫌いの反対はなんじゃ?」
オーガ
「下らないですよ」
魔王
「下らぬ話じゃよ。だが最後まで聞け。…その答えは理解だと思う」
オーガ
「だから、何なのです?」
魔王
「お主は、人間を理解しようとしていないだけじゃ。理解してれば、案外好きになるやもしれんぞ」
オーガ
「何をおっしゃるかと思えば…話になりませんな。私はこれで」
話は平行線をたどったまま、相容れることはなかった。
魔王
「…」
コンコン
悪魔魔道士
「魔王様はいりますよー。会議室勝手模様替えしたの魔王様ですよね?やめてくださいよー」
魔王
「すまぬ、すまぬ。わしがやったってよくわかったな?」
悪魔魔道士
「理解りますよ。どれだけ長く一緒にいると思ってるんですか。ドラゴン君だけですよ。気に入ってるの」
魔王
「はは、そうか」
ーーー魔王軍にはある噂があった。オーガには人間の子供がいたという…
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