表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/19

第8.5話 魔王と勇者

今回は、8.5話です。


魔王と勇者のお話です。


ちょっといつもとトーンが違いますがゆるく読んで頂けると嬉しいです

夜明け前、闇は深まり暁を迎える準備をしていた。

魔王は自室で紅茶を飲み、物思いにふけっている……世界征服は進まない。しかし魔王はそれで良かった。


「あなたの世界征服がずっと見ていたいわ」


魔王の脳裏に、彼女の言葉が浮かんだ。


「見てくれているかの……」


かつて、魔王は力を振るい、世界を従わせていた。恐怖で心を縛り付けることは簡単だった。


「そんなのって、楽しくないじゃない。もっと優しく世界征服しなさいよ」


彼女の笑顔が、彼女の優しさが、彼女の間抜けさが、魔王を変えた。


「はは、優しい世界征服ってなんなんじゃ、まったく…」


思い出の中で笑う彼女につられ、魔王も笑った。魔王の心には、小さな光が灯り続けていたーーー


夕暮れ。空は赤く染まり、深い青へと姿を変える。


少年は剣を振るっていた。迷いを振り払うように、一心不乱に。


「お前は特別だ。世界を救ってくれ」

「お前しかやれない」


人々の期待は、時として彼の自由を奪っていた。


「魔を滅することが出来るのはお前だけだ」


そう教えられてきた。疑ったことはない。疑う余地は与えられてこなかった。


「お前、ちょっと世界を見てこい。俺の飲み仲間が考えた修行だ。『可愛い弟子には、冒険をさせよ』ってやつだ」


昨日の事だ。師匠は言葉とは裏腹に、真剣な表情で言った。


魔王討伐。


その使命だけを胸に《勇者》は旅立とうとしていた。その碧い瞳に、夜に染まった影を携えて。

ここまで読んでいただき、ありがとうございます。


この後も続きますので、引き続き読んで頂けると嬉しいです。


よろしければ、ブクマや評価で応援していただけると励みになります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ