第1話 作戦会議
魔王軍は今日も世界征服に燃えているーーーはずなのだが?
魔王は封印中で在宅勤務。
スライムは舌打ちばかり。
ドラゴンは見た目だけ強そう。
サキュバスは仕事しない。
大カタツムリは――まぁ、いる。
世界征服会議は毎回保留。
勇者討伐の計画も保留。
そもそも仕事する気が……ある?ない?
ゆる〜く世界征服を夢見る魔王軍の日常コメディです。
気軽に読んでもらいたいので、地の文はなるべく少なくなく、してます。
※不定期更新です。気長にお楽しみいただければ嬉しいです。
魔王軍本部。
世界征服を掲げる恐ろしい場所……のはずなのだが、今日もそこには緩い空気が流れていた。
魔王
「それでは、本日の会議を始める」
一同
悪魔魔道士
「本日の司会の悪魔道士です。宜しくお願いします。今日の議題は【勇者をどうやって倒すか】です。それでは誰か、案がある方」
スライム
「はい!」
悪魔魔道士
「じゃあ、スライム君」
スライム
「聞くところによると、勇者はまだ育ちきってません。ならばわが軍の最強戦力である魔王様が直接出向くのがよろしいのでは?」
悪魔魔道士
「魔王さま、いかがでしょうか?」
魔王
「うーん、実はわし今封印されててな…
魔領域から出られないんじゃよ。」
悪魔魔道士
「そうでしたかぁ」
スライム
「ちっ」
魔王
「ん、誰か今舌打ちしなかった?」
スライム
「空耳では?魔王様、それでは他の強者から順にぶつけては如何でしょうか?」
魔王様
「うむ、悪くない。じゃが勇者の近くにはいつも、最強の人間【サイキョーン】がいるのじゃ。こちらもただじゃすまん。却下じゃ」
スライム
「ちっ、クソが」ボソ
魔王様
「誰じゃ!やはり舌打ちしたものがおる!」
スライム
「魔王さま、私は水分を多分に含んでおります。それ故動くと舌打ちのような音が鳴ってしまいます。」
魔王
「そ、そうなのか…」
スライム
「ちっ、クチャクチヤうるせぇな」ボソ
悪魔魔道士
「他に案がある者?」
サキュバス
「色仕掛け、なんてどうかしら?私の色気でメロメロよ」
魔王
「うーん、聞けば勇者は修行僧のように真面目らしいからのう。色仕掛けはのぉ……」
サキュバス
「うふ、そうなのね」
大カタツムリ
「では、魔王さ…」
魔王
「却下じゃ」
大カタツムリ
「…………」
ドラゴン
「人質をとってみては?」
魔王
「うわ、お前は意外なことを言いよる」
ドラゴン
「お誉めのお言葉ありがとうございます。」
魔王
「褒めてないんじゃがのぉ。しかしまぁ、ありといえばありじゃな」
悪魔魔道士
「魔王さま、駄目です」
魔王さま
「なにがじゃ」
悪魔魔道士
「以前、姫を人質に取った奴がいたんですが、いきなり勇者が光り出して、次の瞬間やられたそうです。」
魔王
「なにがあったんじゃ?」
悪魔魔道士
「怒りで、覚醒したらしいです。」
魔王
「勇者あるあるじゃなぁ…」
悪魔魔道士
「その場から、生還できた者もトラウマを抱えたらしく、魔界精神病院にかかりつけだそうです。怖いですね」
魔王
「恐ろしいのぉ……」
大カタツムリ
「では、魔王さ…」
魔王
「うーむ、いい案が浮かばぬのぉ」
大カタツムリ
「……………」
悪魔魔道士
「魔王さまいかがしますか?」
魔王
「うーむ……………………………………………………………………………………………………よし!保留じゃ!」
結論【保留!】
悪魔魔道士
「皆さん本日は、ありがとうございました」
一同
「ありがとうございましたー」
(パチパチパチパチ)
大カタツムリ
「……………」
こうして、今日も魔王の平和な日常が過ぎていく。
ここまで読んでいただき、ありがとうございます!
魔王軍は本気で世界征服したい気持ち「だけ」はあります。
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更新は不定期ですが、
のんびり続けていきますので、また覗きに来てください!




