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タイトル迷走中です。
あと、ジャンルをホラーに変えました。よく考えたら恋愛よりもホラーなのかなって……
エナの頭の上で揺れるナナリは随分具合が悪そうに見える。
「ナナリ大丈夫?」
「大丈夫なわけないだろ……」
「早く逃げたいのにあいつやばすぎて動けないし、エナは立ち止まったままだし、声は出せねぇーしよ……」
「ご、ごめん」
エナは、吐きそうなナナリを見て悪い事をしたと反省した。
「本当にヤバいあいつ。半年前くらいに見た時よりもヤバくなってる」
「え? 見た事あるの?」
「エナと初めて人の姿でデートした日に見た女だよ、あれ」
そう言われてエナは思い出す。
ナナリが近寄りもしないで引き返したのは、あの少女が初めてであるし、わざわざエナに近寄るなと忠告したのも彼女が初めてだ。
かなり距離を空けて引き返した為、顔まで覚えてなかったが、あの時の女の子は庶民の服装で素朴な感じの子だった気がする。
今の彼女は綺麗に髪を整え、メイクを施し、綺麗な学園指定の制服を着ている為、あの少女と同一人物と分からなかった。
「もしかして彼女が平民の特待生……?」
今年は魔力のもの凄い平民の子が、特待生として入学していると風の噂で聞いた。
平民だとしたら、サフィール家のエナにグイグイ話しかけてくるのも、家名を名乗らなかったのも納得だ。
サフィール家は王家とも繋がりのある由緒正しき名家であるし、父は魔法省の重鎮で、国の政治にも関わっている。
クラスメイトのマリアがエナを様付けで呼ぶように、同じ貴族であっても慎重に話しかけるものだ。
「知らねーよ。とにかくあいつには関わるな」
ナナリが人気がないことを確認してナナリが人に戻る。
「うっ……」
ナナリは顔を青くして嘔吐き、口元を抑える。
人型になった方が具合の悪さがよく分かり、エナは心配になる。
「今日は休むわ。部屋に閉じこもって猫になってるから誰も居れるな」
ナナリはそう言って、エナを置いてサッサと歩いていってしまった。
ナナリがここまで弱るなんて、あのリーシャという女の子は魔王かなにかなのだろうか。
(精霊の反対だから悪霊? 魔物? 悪魔?)
とにかく今までの比ではないくらいやばい存在であることは確かである。
「あ! エナ様!? お一人でいらっしゃったのですか!」
突然大声で呼びかけられて、振り向くとアンジェが凄い勢いで走ってきた。
サボったことは勿論怒られたが、アンジェが最も過激になったのは、エナが一人で居たことについてだった。
一人でいたといっても、寮に戻るまでのほんの数十分であるが、アンジェは過剰に怒り出す。
「危ないじゃないですか!? あんの執事!」
絶対文句言ってやるとアンジェは息巻く。
アンジェは勿論エナを血眼になって探していたが、ナナリは一緒にいると思っていたので一人で探していたらしい。
こんなことなら周りにも呼びかけて探せばよかったと、アンジェは嘆いていた。
この一件からエナは、もうアンジェから離れないと約束させられたのだった。
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