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二十二話 教会

外から鳥のさえずりが聞こえる。カーテンの隙間から差し込む陽光が、まぶた越しに朝の訪れを告げていた。


朝だと脳が理解し、静かに目を開く。まだ、意識はハッキリしていないが、体を起こし、ベッドから離れ窓を見遣る。綺麗な青と白が交わる空が広がる。


この世界に来てから、朝が気持ちよく、綺麗に見えた。心を蝕む、現代社会からの離れを実感する。ストレスから朝は嫌いだったがこんな朝なら好きだ。


「風が気持ちいいな……さて、今日も一日頑張るか」


窓を開けてみると、涼しく、心が洗われるような風が部屋に舞い込む。


準備するか。

教会に訪れるだけなので荷物は少なく、準備はすんなり済んだ。少量の荷物を手に持ち、ドアノブを捻り、部屋を出た。


出たところには、騎士さんと姫さんがエントランスで座って待っていた。俺が最後だったようだ、2人とも重装備ではなく、ラフな格好だった。


「おはようございます!ラクさん。では、さっそく教会へと向かいましょうか」

「朝ごはん食べたいです!」

「では、教会に行くまでの道中で食べましょう」


教会は宿から十五分程らしく、街をぶらり探索しながら教会へと向かう。

いい匂いが漂う、人が賑わい始めた。あちらこちらで露店が開かれた。俺は懐かしい匂いを感じ、そのまま匂いに誘われるようにあるお店に立ちよった。


「いらっしゃい!」

「そ、それは.....?」


俺は販売されている、それに指を指す。すると、店主は目を輝かせ説明し始めた。


「これは、東の国から取り寄せた米っていうやつだ!先月旅行で訪れてな、そこで食べたおにぎりってやつが美味くてな。広めようと思ったってわけよ」

「これを4つ下さい!」

「歳相応の食欲だぁな!ハッハッ!銀貨八枚だがおまけして、七でいいぞ」


なかなか気前がいい。千円も割り引いてくれるなんてありがたい限りだ。

俺はさっそく、小袋を取り出し、銀貨を取り出す。

会計が終わり、離れで待っていてくれていた二人と合流する。


「何を買ったのですか?ラクさん」

「おにぎりですよ!おにぎり!まさか、こんな所で故郷のご飯が食べれるなんて、、、」

「東の国から伝わったというやつですか。美味しいんです?」


疑問に思われていたので、二人におにぎりを手渡した。俺は早速、おにぎりにかぶりつく。その瞬間、記憶の底に眠っていた日常が蘇る。


帰ることはもう出来ないという気持ちが表に出てしまった。そんな気持ちに思わず目尻から涙がこぼれていた。


「美味い、美味い!!」

「この国の七王と対面した後、次は東の国に行きましょうか。ラクさん」


姫さんは微笑み、行き先は故郷の料理がある国だ。東の国は木造建築の多い国であるらしく、かつて昔にこの地へ転移させられた異世界人が発展させた国なのだとか。


「すみません、情けない姿を見せてしまいましたね。腹はいっぱいになったのでさっそく教会へと向かいましょう!!」


涙が滴っていた頬と目元を袖で拭い、目的地へと向かう。


「そうですね」

彼女はそれだけ言い残し、歩き始めた。

数分もすれば、遠くからでも一目瞭然で教会とわかる十字架が屋根に置かれていた。それに、石レンガに白を塗った建造物で教会らしい色合いに関心していると、横からなにか懐かしむ様な言葉が聞こえた。


「君とあったのは廃教会だったね。まさか、君が転移者でこれから苦楽を共にする仲間になるとは微塵も思っていなかったよ」

「初対面で恐怖を覚えさせられるなんて初めてでしたわ。まさか、気づいたら首筋に剣があるんですから」


あの時はすまなかったと軽く謝罪をされる。あのまま、切られていたらと思うと未だ鳥肌が立ってしまう。そんなこんなで、徐々に教会へと近づいていく。

しかし、その姿を目の当たりにすると、圧巻した。


「で、デカイな。こんなにでかい物なのか?」

「この町の名産地はこの教会ですからね。この建物の裏手は白い花が一面に咲き誇ってますよ」

「それは、見てみたいですね」

「ちょうど開花してる時期ですので、後で見に行きましょう」


教会の門は空いていて、中へはいると目の前には綺麗なガラスがあり、そこには男女と思われる二人が描かれていた。

描かれた二人は中央の光に向かって祈る姿があった。


「描かれているのはこの国、南の国をお守りしてくださっている七王様の二人が主である神へと祈っているのです」

「七王ですか...」

「この地を守るは【森の王】、【山の王】。【森の王】がいるのは聖樹の巨木がある森【聖樹海(せいじゅかい)ザンクトシーザ】、【山の王】がいるのは自然の母の恩寵が包む山【恩寵山(おんちょうざん)グラティアス】です」


聖王は七王全員からの恩寵を受け、その身に宿る聖なる力で魔を屠る。聖王の力は魔には強大であり、逆に魔からの攻撃に弱い。


しかし、弱ければその力を利用されて終わりである。そのため、聖王は七王に認められる程強くなければならない。


「七王の居場所が分かっていても、どこにいるかが分からないです。ここ数年、七王の反応が無くて、恐らく眠っていると思うのですが」

「なんか、不穏ですね」

「ここから近いのは【聖樹海ザンクトシーザ】なので、教会でレベルと職業を確認してから、直ぐに向かいましょう」


話し終え、教会を掃除していたシスターにレベルと職業の確認をしたいと言うと、彼女は入って右の部屋へと案内してくれた。中々の美人であったし、この世界の顔面偏差値高いんかね。

奥の部屋に入ると宿の部屋ぐらい大きい広さだった。


「おやおや、久しぶりの尋ね人だね。何が聞きたいんだい?そこのお嬢ちゃん、久しぶりだね」


左奥の本棚に囲まれた椅子に座ったお婆さんとは行かない女性は手に持っていた本を閉じ、書棚にしまい、優しく笑った。


「お久しぶりです。マーラさん。この方のレベルと職業を見てもらいたくて...」

「覚えてくれているとは光栄ですよ。ここに来たということはお父様は、、、」

「はい、最後まで勇ましく戦っておりました」


彼女の目は遠い目をしていた。まだ十六という年齢で父と母を失ったというのに、彼女は強い目をしていた。

どんな思いを抱いてるかは彼女しか知る由もないが父をとても尊敬していたのだと思える。


「そうかい、そうかい。辛かったね、北の国からこっちまで来るのは大変だったろう」

「はい。これから、七王様たちと会いに行ってきます」


姫さんがそんなことを言うと、マーラという女性の顔が険しくなる。ため息を吐ついた。


「七王ねぇ...ここ数年、魔物が凶暴化してしまってて、鹿王さまは何をしているのかしら」

「凶暴化?どのようにですか?」

「自我がないのよね、普通の魔物より。それに邪を纏っているのよ」


【聖樹海】にいる王様は鹿なのか、、、それより、凶暴化ってこの街に来る途中に戦った魔物も俺が倒したキラーウッドとかよりも自我がなかったような、、、


「あの、姫さんとマーラさんはどう言ったご関係で?」

「父の古い友人で私の幼少期によく遊んでもらっていた方です。この方は南の聖女と言われるほどすごい方だったんですよ」

「あの頃は可愛かったわね。今になってはこんなに綺麗になってしまって」


そう言われた姫さんは少し照れていた。

昔の姿がすごい気になるぞ?写真とか現像してるやつないのか!?めっちゃ見たい!!

内心興奮気味であった。


「話がズレましたが邪の力が纏っているということは魔王軍以外にも何かの力があるように見えますね。やはりあの教団が?」

「まさか!奴らは今は厨二教団だよ。そこまで力がある訳がないと思うけどねぇ」


奴らってなんやろ?とまたこの世界に知らない事が多すぎ、話に置いてかれている。しかし、今聞いたところでそのうち分かる話と判断した俺は気にするのを止めた。


「あぁ、そういえばラクさんのレベルと職業見てもらいたく、いいですか?」

「そんな話だったね。すまないね少年、久々で盛り上がってしまったよ」


俺の顔が虚無り始めたのが分かったのか、姫さんは話を止め、本題へと移った。

マーラさんは部屋の中央にある魔法時の上に立ってくれと指示されたので上に乗ると、彼女は魔法陣に魔力をこめ始めた。すると、床が光った。


「ほう?少年、君は異世界人なのかね?」

「はい。そうです!」

「職業が見たこともないよ。【無職】?しかも、レベルが表示されないなんてね。こんなこと初めてだよ」


やはり、レベルが非表示だったのだ。職業に関しては知っていたのでその職業を説明すると、二人は口を開き驚愕していた。


「ラ、ラクさんの職業ってそんなチートなんですか?」

「なんと、こりゃ驚いたねぇ」

「ですよねぇー」


職業をある程度のレベルまで上げたら変えることが出来るんだもの。才能の塊みたいな感じだよな。

しかし、レベルが分からなければどうにもならない


「レベルが非表示なのってなにか理由があったり?」

「呪いだね。誰が呪ったかは知らんが、これは神呪だね。聖女でない限り解けないよ。呪いは低呪、中呪、上呪、最上呪、悪呪、極呪(きょくじゅ)、神呪、獄呪(ごくじゅ)。君のは上から二番目だね」


こんなことがあるのかねと、マーラさんは呟いた。この呪いはかなりの実力者でなければ付与できないと伝えられた。そんな、強いやつから恨まれることしたっけ!?


「でも、マーラさんって聖女──あ、もしかして、、、」

「そう、私はスキル【聖女】持ちなだけなの。職業は神官、解呪できるのは悪呪までよ。その上からは聖女の仕事ね。でも、聖女でも嫌な顔するわよこれ」


呪いを解呪するのは気持ち悪いらしく、うへぇっと汚い物を目の当たりにしたような表情を浮かべる。ここまで来ると、誰がこの呪いを付与したか気になるとこではあった。


「しかし、本当に災難だね。この呪い極呪から神呪にランクアップしてるね。まぁ、どちらにせよ聖女が必要なんだけどねぇ」

「それは、嫌悪感度合いが違うと?」

「そうねぇ、、、例えると虫から汚物に変わったぐらいかしら?」


ぐらいってかなりちゃうでしょ!?えぐいて、、、

虫が嫌いな人だとしてもその汚物という括りの最終兵器に近い言葉はどんな虫にも勝てないのでは?と思う。


「ラク、お前汚物なのか!!」

「ちゃうわ!!綺麗な青少年ですけど!?」


なんやこの騎士は、、、急に心ってもんがないんか!言葉を選んでくれ、めっちゃ傷つくじゃないか!

ケラケラと笑う女騎士に俺は怒りで睨みつけると、騎士さんは指で鼻を突っつき笑う。

か、可愛いじゃないか。


「まぁまぁ、聖女は西の国にいるからねぇ。一応、一時的に解呪されるものならあったはずね」

「ほ、本当ですか!?それはどこに!!」

「あんたたちが行こうとしている【聖樹海】にある、素材から作れるポーションかね」


そう言うと、マーラさんは書棚へと向かい、指差しで本を確認しながらあるものを探していた。

指がとある位置に止まると、あったあったと言い、その本を引っこ抜いた。その後、パラパラとページを捲りとあるページで止まった。


「これだね。えーと、『聖樹の蜜』、『神然薯(しんねんじょ)』、『聖樹湖の深水』だね。中々、ハードル高いけど頑張るんだよ!」

「名前から神々しいですけど、、、」


山から戻ってきた時に返す条件で本を貸して貰えた。俺は本を袋にしまい、教会を出た。

教会の花園で今の時期、満開と言っていた花を見に行く。


「真っ白な花園、綺麗ですね。」

「そうでしょう。私、この景色がとても好きなんですよ」

「どんな花なんだろう、、、【鑑定】」


リュミナリエ・・・「祝福の光を歌う花」。天使が愛する花と言われるほど純白な色をしている。その花かんむりは祝祭や婚礼で頭にのせると、一生の守りが宿ると言われている。


教会にとっても似合う花だな。

風が吹けば、その純白な花びらが中を舞う。

これほどまでに一面な花園は見たことがなく、そんな綺麗な情景に心を奪われた。


「やはりここは変わらず癒されます。さて、そろそろ行きましょうか。ラクさん!」

「もう少し見ていたい気持ちがありますが、私の呪い解呪の為に行きましょう!」

「それもありますけど、本題は七王ですからね!」


めっと、怒られてしまった。この二人の行動に先程から胸が高鳴ってしまう。

教会を離れ、冒険者ギルドへ向かう。

【聖樹海】へ向かうには申請が必要なのだとかで向かうことになった。

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