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第二十話 弱さと強さ

「・・・うっ。空気が重いし、なんか気持ち悪い.....」

「軽い魔素中毒ですね。そのうち慣れると思いますよ。気合いで今は頑張りましょう!!」

「は、はい。」


森を少し入って、歩いたところで急な体調不良を感じた。

車酔いに近い感覚だったので、気分の悪さを訴えたが俺の隣にいた王女様と騎士さんの顔は生き生きしており、体調の悪さを伝えたが返答が気合いなどと来た。

なんだその脳筋精神。

目を見渡せば綺麗な森なのだが空気がやたらと重く、これが魔素なのだと感じさせられた。


しかし、さっきから魔物──そもそも動物すらいないんやが?どゆこった?

風が吹き草木が揺らぐ、人がよく通るのか草が生い茂っていることは無かった。

スムーズに森を散策出来ていたが、ここ三十分歩いているが魔物や動物を一匹たりとも遭遇していなかった。


「魔物がいませんね。この森でなにかあったのでしょうか?」


現状、俺が考えうる中で最も聞きたくない言葉が放たれる。あの魔物を彷彿とさせる言葉に俺は鳥肌が立っていた。


「ありませんね」


その言葉がフラグとならないように即刻否定する。

騎士さんは呆れた顔をした。


「怖くて断言すんな、ラク」

「いや、だって、また化け物がでる流れですってこれ!またあんな目にまた遭うのは俺はいやだ!!」

「大丈夫ですよ、ラクさん!ほら、あそこにうさぎがいますよ!」


涙目の俺は彼女の指の指す方向を向いた。

彼女の指先には小さなうさぎがいた。

心を一旦落ち着かせ、うさぎを鑑定してみることにした。


「【鑑定】」


ナチュラビット・・・足が早いのが特徴。市場で人気の肉は柔らかく、臭みがない。買取額はおよそ銀貨2枚


えっと、、、銀貨1枚で1000円だから2000円──なかなかいいお値段だな食ってみたいもんだ。

その直後、隣から「えっ」と言う驚きのような言葉が聞こえたため、その方向を向いた。

騎士さんが目を開き、驚いていると分かる表情をしていた。


「お前【鑑定】持ってるのか?」

「はい、気づいた時には?って感じです」

「凄いですね。ラクさん、鑑定持ちはパーティーで重宝されますよ!」

「鑑定の上位互換とか派生的なのとかありますか?」

「聞いた事ないですね。」


そういえばと思い聞いてみたが、『スキル混合』からできた『探索波』は流石に無いか。独自のスキルで間違いないのか、、、

街を出る前に1度、別のスキルでもできるのでは無いかと試したが出来なかった。


考えうることの中で俺は1つの仮説を立てた。『スキル混合』は基盤のスキルを派生させるものだろうか。と

例えば、肉と調味料を使って料理を作る。

事実、調味料同士で作ったものなど料理とは言えない。スキル混合は肉を様々な味付けで全く違う料理にする、これだと思っている。


「ラクさん大丈夫ですか?」

「ぜぇぜぇ──な、んだあのうさぎ足早すぎだろ・・・」

「体力ないなラク」


そんな事を考えながらも、あのうさぎを追うことに必死になっていた。体力の限界が来たため、徐々に減速をし、止まると同時に息切れと横腹が痛む。運動不足を実感する。


だが、一緒に走っていたはずの騎士さんは汗ひとつどころか、息すらも荒くなっていなかった。

体力バケモンかよ、いや俺が無いのか──いや、この人がバケモンなだけな気がする。

自分の中での基準がおかしくなっていくのが分かる。


うさぎを見失ったため、また森を散策していると、別個体のうさぎがいた。

いすぎだろ、、、


俺はバレぬようにと、静かに近ずいていたが、ついうっかりパキッと枝の音を鳴らしてしまいそれに気づいたうさぎはまたもほんの数秒で十メートルほど距離を離された。

もうどう足掻いても追いつかないことが容易に想像ついた。


諦めずに俺たちは逃げられたうさぎの後ろを追いかけていると、草が生い茂った方向へと向かった。ここで諦めきれない俺はそのまま突っ込む。

草むらを抜けた先にはそのうさぎは雑草を食べていた。今がチャンスと言わんばかりの状況だ。


しかし、このまま追いかけてても埒が明かないわな。よし、スキル使うか!

剣を両手で構え、剣先を真上へ向ける。振った反動で転ばないようにと足を広げ、足に力を込める。


「『スラッシュ』!!これで一発や!」


めいいっぱい力を込めて振り下ろし飛んだ斬撃は空の方向へ飛んで行ってしまった。

力を込め瞑った目を開いて、うさぎを見ると傷一つ付かず素早く逃げていく後ろ姿があった。


「当たってませんよ?ラクさん。明日の方向へ飛んでいきました」

「は?マジかよ」

「何処向けて撃ってんだラク?しっかり敵目掛けろよ」


んな無茶な、、、

そういや俺、大きいものと至近距離の敵にしかスラッシュ当てたこと無かったわ。エイムアシスト効かんの?

その場で呆然して立つ俺は、無様な姿だっただろう。

このままでは男としてのプライドが!!と、心を奮い立たせ、うさぎを追いかける。


数分後


「だぁぁぁ!!無理だ!なにあいつ?早すぎだろ!!【身体強化】使っても追いつかないのかよ、、、」

「シャーリャ様。3体狩れましたので、そろそろ戻りますか?」

「え、騎士さん?いつの間に」

「お前が無我夢中でスキル打ちながら走ってる途中に」


やはり、どんなにスキルを使おうとも当たらなかった。しかし、後を追いかけてきた騎士さんの手にはうさぎが三匹いた。


このままでは一匹も狩れずに終わってしまう。やっぱり、あいつの動きを予測するしかないか。

残るスキル発動回数は1度だけ。

俺は目先に集中させ、動きを捉える。

ここだ!!


スカッと音がなりそうなほど斬撃の軌道はうさぎの真横を通り過ぎた。その後、うさぎはまた逃げ出した。


・・・ガクッ。


「どうしてだよぉぉ!こんちくしょうが!!」

「フフフ、言ったでしょう?今のラクさんでは魔物を倒せません。ですが、最後のスラッシュの精度はとても良かったですよ」

「確かに何の成果も得られませんでしたー!」

「これで実力も知って貰えた事ですし。戻りましょうか」


俺は惨敗し、姫様が魔法で目印をつけていたらしくその道を辿っている。

印は青白く光り、よく見ると紋章のようなものが付いていた。姫様曰く魔法陣なのだと。設置した本人と共鳴していてそれ自体でビーコンのような役割をしているのだと。


改めて魔法って便利だなと感心しながら、心の傷を姫様と騎士さんの顔を見ながら癒していた。

姫様はワンピースの裾を持ち、歩いていた。かなりラフな格好であるが一応装備であり、聖王の加護が付与されているらしい。

眼福や、、、

よく考えてみると、女性二人に囲まれるというハーレム状態が起こってるな。

森はすぐに出れた。俺の体は疲れに疲れが溜まっていた。


「戻ってゴーレム」

そう言葉を発すると、ゴーレムから魔力が鱗粉のように放出され、消えた。

魔力で出来ていたのだろうか。


「戻る時は迫力ないんですね」

「魔法陣に魔力を送ってるから派手に見えるだけですよ」

「よく分からないですけど?そういうことなんですね」

「そのうち分かりますよ」


俺たちは騎士様が狩ってきたうさぎを焼いて食べた。

ウサギ肉を食べたことは無かったが、なんとも柔らかく、癖はない食べやすい味だった。


「ラクさんに今足りないのはレベルですね。レベルが低いので体力など多くが足りないかもしれないです」

「確かに、レベル低いかもですね」

「騎士さんと姫さまのレベルはいくつですか?」

「私はレベル48です」

「私はレベル53だ」


俺のレベルはいくつだったっけな?


菊田 楽

職業:無職


体力 105 強化必要ポイント 10

魔力 130 強化必要ポイント 100 

腕力 100 強化必要ポイント 10

頑丈 100 強化必要ポイント 10

俊敏 100 強化必要ポイント 10

器用 100 強化必要ポイント 10

運  104 強化必要ポイント 10


スキル

火魔法 レベル2 レベル3必要ポイント1000

水魔法 レベル1 レベル2必要ポイント100

風魔法 レベル2 レベル3必要ポイント1000

スキル

【飛躍】

【スラッシュ・I】

【身体強化】

【奥目】

【精神強化】


スキルは増えていたが、俺が目的とするものが存在していなかった。

ん?レベルがない。なんで?

レベルが上がったことは少し前に確認していたはずだったのでレベルは表示されていたが今は無くなってしまっている。

俺は彼女たちに尋ねた。


「自分のこと鑑定して、レベルって見えなくなることあるんですか?」

「分かりません。鑑定スキルもちでは無いので」

「見れないんですけど、、、どうすれば?」

「なら、教会にでも行きましょうか」

「あ、ほんとですか?なら大丈夫か」


確かに、鑑定スキル持ちでは無い彼女たちがレベルを知ってる理由は教会で鑑定してもらったからだろう。

俺たちはこれから街へ向かい、宿を確保してから教会に行くとういうプランが決まった。


街へ向かう途中、魔物と出会ったが騎士さんが瞬殺してしまった。

あの時の技を一度も使わず、まるで豆腐を切るかのように繊細に斬り殺していた。

瞬殺した魔物だが、俺が戦えば立場は変わっていただろう。

その後、小一時間程馬車に乗り、町へ着いた。

王国とは違いさほど大きくなく、門は所々壊れていた。


「身分証を出してくれるかい?」

「証明証でもいいですか?」

「大丈夫──おぉ!これは国王直属の方々でしたか。どうぞお入りください」

「ありがとうございます」


手続きとかフル無視できるのか、、、権力ってすごいな。

俺は関心を覚えつつ、王国とはまた違う雰囲気にも感動していた。

町に入るとまず俺たちはその町で2番目に高価であろう宿へと入った。

外観は木造建築の西洋館で、中へ入ると目の前には大きなシャンデリアがあった。


こんな豪華な内装に圧巻していると、彼女たちはすぐさま受付へと向かった。

慣れているのかテキパキと部屋を借りていた。

彼女たちは鍵を手にし、こちらへ歩いてくる。しかし、王様から結構なお金を貰っていたのにと、気になる点があった。


「なんで1番高いところには行かないのですか?」

そんな疑問を問いかけると、間髪入れず

「盗賊などはまず最もお金持ちが集まる場所を狙うので、かつ宿は贅沢をするというものは冒険者では常識なので。そうなるとここが1番いいのですよ」


しっかり考えてるんだな。

夜は外では食べず、宿で食べることになった。

ご飯も豪華で美味かった。味わったことの無い幸せな味だった。

日本とは違う味付け、、、あぁ、日本のご飯が恋しくなる。

その後部屋へと向かった。部屋は二部屋取り、隣通しだが、二名用の部屋を二つ借りたらしいので、俺はけっこう結構広めの部屋で1人になった。


俺は扉を開けた、目の前に現れたのは地球でも1泊何万かはするであろう部屋があった。

気持ちが高まり、思わずベッドへ飛び込んだ。体がベッドに沈む。


「す、すっげー!!初めて見たぞこんな豪華な部屋。ベッドもふかふかや!」


仰向きになり、今日を振り返る。

弱かった、な俺。過信しすぎてたか、そういえば剣って結局誰でも使えるんだな、、、一刀両断とかは無理だけどね。

今は弱い。そんな分かりきったであろう言葉を自己暗示させ、ある意味落ち着かせている。


生と死が常に隣り合わせ世界では日本と違い、周りに合わせるかどうかじゃなく殺すか殺されるか。

秩序がある世界ではルールが支配するが、この世界は魑魅魍魎が蔓延る。ルールで語るほど甘い世界では無い。

今も魔物やら盗賊やらにいつ殺されてもおかしくは無い。それに何度も死を感じてきた。


俺は内心ほくそ笑む。

こんな馬鹿げたこと考えたって何も変わらんのにな。

明日に備えて寝るため、寝巻きに着替える。


風呂なんてもう何週間も入ってないんだか、、、水浴びしてるけどあれ、小学校の頃にあった地獄シャワーと同じなんだよな。

小学生を通ってきて人達ならおおよそ大体の人は経験してきただろう。


風呂入りて〜!絶対臭いよな俺、姫さんとかもいい匂いとは感じないし。シャンプーとかがないのか──


眠気が訪れるまで、今日あった出来事、昔の思い出を振り返るのが最近の日課だった。

寝付けるのは目を瞑ってから半刻は必要だろう。


おやすみなさい、そう頭で言う。

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