表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
20/31

第十九話 世界と旅立ち

【緊急クエスト:魔王討伐の旅】受注しますか?

報酬:世界の祝福


目の前にはアクリル板のようで、半透明な板が現れる。

頭痛がする。

周囲の時間が止まった。誰一人として動かず、無音が続く。このままこの状態なら精神状態がおかしくなるほどに

動けないと来たわけか、思考なら動かせるな。

緊急クエスト?こんなの見たことないぞ?なぜ急にゲームらしく──受注するか決めないと動けなさそうだな。


世界の祝福?なんだそれは、具体的になにを祝福するか教えろよな?でも、受けなきゃこの話は始まらないか、、、

頭の中で受注すると唱える。

【緊急クエスト:魔王討伐の旅】を受注しました。

アクリル板はその後消えた。

時間は動き出した、無音が静けさに変わった。まるで棺桶の中から出れた死者のような解放感だった。



王様は足を組み、軽く頬杖を付き、語り始める。


「では、話そうか。まずは、この世界についてだ──この世界の名は《ゼギオス》、創造神の名から来ている。何千年もの間、聖魔戦争という魔王と聖王のどちらがこの大陸を統べるかという戦争が続いている。そして、現魔王の名はギルガンド」

「魔王か、、、」

「なんだ知ってるのか?」

「知ってるって言うか。ここに召喚された目的がその魔王討伐でして───そもそも、現魔王?」

「魔王、聖王とで聖魔戦争は何千年もの間続いている。それは何故か?魔王か聖王のどちらかが敗北したとしてもその後魔族、人族で争うため戦争は終わらぬのだ。そして魔王か聖王が生まれればまた戦争は激化する。この戦争は終わらぬ戦いなのだよ、、、無意味な戦争だ。」


彼の顔には、死者をいたわる気持ちと平和の世の中を望む思いが言葉に現れた。

短期間でみても戦争の死者は数え切れない程だろう。彼の瞳、言葉には王として、聖王がいない中でも戦い続けた人族としての誇りがそこにはあった。


「なぜ諦めないんですか?」

「簡単な事だ。皆、守りたいものがあるのだよ」

「魔族にもですか?」

「当たり前だ。奴らもまた生きているのだから家族もいれば、恋人もいる。いつかは終わらせなければいけないのだがね」


叶うはずがないと分かっていながらも、自己の戒めのように言葉を発する。先程までの盛り上がっていた熱がだんだんと冷めていく。


「俺らは聖王が負けたから、新しい聖王の誕生のために各地を渡り歩くと─」


そういや、弱すぎて追放されたけど、あれもまぁ優しさなのかもな危険にさらさない為の、、、複雑だな今思うと。

王様は思い立ったかのように話し始めた。


「召喚の事で一つ思い当たる節がある、恐らくお前たちを召喚したのは幻天都市ビジョだろうな。都市は天空にあると言われているがそれが本当かは今のところ分からない」


『天空の都市』これを聞いて胸の高まらないというのは無理があった。高校生になって、思春期を超えたとて感じるものがあった。

それに誰も発見したことがなく、あるかすら謎に包まれている。こんな好奇心が働く話に俺は一人で熱くなっていた。


「御伽噺のような国なんですね」

「あぁ、子供の童話に出てくるぞ。天空都市ビジョ、そこで描かれているのは楽園で幻のようなものと。」

「つまり、俺は幻同然の都市に追放された後、この城の門前に転移させられたと」


王様は首を縦に振る。

なんでその都市だと分かったんだ?空想にも近いならその発想が出ることはないのでは?


「なぜ──」

「なぜ分かると?前例があったのだよ。お前と同じ門の前で倒れてる奴がな俺がこの国を統治している間に五回もな」

「召喚してスキルが弱い奴、使えない奴をを追放するのを繰り返してるのかあの都市は……」

「そうだな。俺が話し始めたことだがそれは置いといて。魔王がいると言ったね」

「はい」

「実はな、魔王は聖王と勇者にしか倒せないと言う制約が存在する」

「え?確か、聖王は…」

「あぁ、亡くなった」


まずくね?勇者しかいないの?

でも、勇者は大体魔王に勝つのが定石、勝機は流石にまだある、、、よね?

何を考えてるのか分かったのか


「ちなみに、勇者はおらん!!というか、」

「いないの!?え?え?」

「だが、安心しろ!聖王の娘がいる」

姫さんに手を向ける。


「?」

「この娘はしっかり素質を受け取っている。彼女が聖王になればいい話だろ?」


素質?聖王の血筋だからその力を受け継いだとか?

王様は続けて言った。


「そのチカラを引き出すためにこれから各地を回るだろう。でだ、君にも同行を願いたい」

「何故ですか?」

「引き出させるためには七王からの加護を手に入れなければならない。そして、彼らは何千年も前からこの地にいるのだ。もしかしたら、元の世界の帰り方が分かるかもしれんぞ?」

「それは、いい話ですね!」

「素直な奴だな」

「でも、俺弱いですけど?」

「なに今はだろ?この旅で強くなればいい話だ。異世界から来たものは大体強くなりやすい。それに、お前のスキルを手に入れられるという能力は唯一無二だ!」


王様は興奮し、立ち上がる。

そうなのか、確かに今はまだ弱いけど最近力をつけてきたし、、、事実、帰りたいからな。

俺もすっと立ち上がる。


「俺も行きます!」

「そうか!なら、決まりだな。良いか姫さんや」

「えっと、、、ラクさんがいいのであれば」

「ちなみに、七王ってなんですか?」

「地、森、海、底、天、山、国を納める守り神的存在だ。ちなみに、普通の人間には見えん!ただ、見える体質が居てな?見える物は聖王になる素質があるのだ」

「見えないなら、俺はどうやって聞けば?」

「それは、分からんぞ?ただ、見えなくとも姫さんに頼れば良いものよ」

「それもそうですね」

「まぁ、今日はゆっくりと休むと良い。明日出発だ」

「あした!?」


何がなんでも早すぎるだろ。

王様は何事も無かったかのように椅子に座った。


「あのー、、、早すぎやしないですか?」

「明日以降なにか予定があるのか?」

「ないですけど、、、色々と準備が、、、」

「金ならこっちで用意する。それに時間がないのでな。この地が恋しいのか?この話が上手く行けば、また戻ってこれるさ」

「え、えぇぇ、、、」


横暴な王様だ。

こうして、話は終わり解散をした。


馬車の中では、来た時とは違い静かだった。


「ここで一旦お別れか、なんか長かったようで短いな...」

「短いんですよ!!そんなしんみりされても」

「別れはどうするんだ?」

「まぁ、そこまで深く関わった人は宿のおばちゃんぐらいなんでね。軽くですかね」

「そうか、見送りはギルド全体でしてやるさ」

「随分気前いいですね」

「お前にはこの世界の命運がかかってるからな」


確かに、俺のやることめっちゃ重要やん!?


~次の日の早朝~


憂鬱な気分のまま朝を迎えた。

旅立つ準備を整え、窓から見える紫と青のグラデーションがかかった空を眺める。


「俺、、、もう旅に出るの?普通に考えておかしくね?ラノベだったらもっと──ここラノベの世界のようなご都合世界じゃないか。」


俺はやるしかないんだと心に決め、部屋を出て、一階へと続く階段を降りると、宿のおばちゃんがいた。

「早い旅立ちね、寂しいよ。」と涙目になっていた。

数週間の仲でも別れは寂しいもの。

「いってきます!」と最後の挨拶をして、宿を出た。

ギルドへと向かっている間に、市場も目を覚まし、賑わい始めていた。


ギルドの前には綺麗で丈夫そうな馬車がおり、その前には、闇ギルドの件でお世話になった人達がいた。

俺は軽く皆に別れの挨拶をしていった。


しかし、そこまで感動する気持ちは無かった。

早すぎるんよ。ほとんどの人は会ってから一週間も経ってないし。

最後にギルド長はこの別れに苦笑いをしつつ、困ったら使えよと小さめの袋を渡してくれた。

中身はピンチになったら確認しろと言われた。


危ないものでも渡されたのかと思うが、ギルド長は決して怪しいものでは無いという。

逆効果だろ、と思いつつも彼に恩義があるので受け取った。


俺は馬車に乗ると、仲には姫様がいた。馬車を運転するのは騎士さんのようだ。

器用だなこの人、、、


「ラクさん、これから次の街セカードへ向かいます。そこでラクさんの戦力を上げます」

「戦力不足なのでね。頑張ります」

「では、行きましょうか。シャーリャお願い」

「分かりました。リリス様」


馬車はゆっくりと歩き出す、窓から首を出し、手を振っている彼らに振り返す。

しかし、本当に呆気ないものやな。

俺はこの街でこの人生を終えるのかと、心の中で心配していたがその心配は1ヶ月ともかからず無意味となった。


大きい門の前まで着くと、門番が出てきて受付のためと馬車を止める。

俺達は門番からの受付を終え、馬車は颯爽と次の街まで駆け出す。

ガタガタと揺れる馬車に乗りながら、外を眺める。

時間もすっかり早朝から朝へと変わる。


空も旅立ちを祝福しているのか雲ひとつない快晴だった。太陽は俺たちを照りつける。草原は小風に吹かれ、揺れている。


綺麗だな。そんな感嘆的な声が漏れる。

街と森の行き来しかしたことないからこの世界がこんなにも綺麗なのだとは気づかなかったな、、、


「ラクさんすみません。こんな重要な事に巻き込んでしまい、この世界に来たばかりというのに」


姫さんは頭を下げる。

俺がどうするかは決めたが、やはり彼女にも罪悪感があったのだろう。


「頭を上げてくださいよ、それは俺が決めたことなんですから。でも、王様といい、姫様といい異世界から来たことに驚かないんですね。」

「召喚の歴史は二世紀前からありましたからね」

「そんな前からね。やっぱり、異世界から来た勇者っているんですかね?」

「そうですね、、、確かに、異世界から来た人達の方が勇者のスキルを持ってる人は多かったですね」


異世界から来た人の大半はやっぱり、スキルが強いのか、、、

てか、そんなに勇者いるってことは特に珍しいスキルでも無いのか?

そんな疑問を浮かべていると、リリスさんは口を開いた。


「でも、本物の勇者だったのは過去の記録も含め、数えて10人ですかね」

「スキルが勇者だから勇者ではないのですか?」

「本物はスキルではなく、職業として分類されますね。スキルが勇者なのか職業が勇者かでは力の差が圧倒的に違います。そもそもの話、スキルは使用しないと発動しませんが、職業はスキルが常時発動みたいなものです。それに、能力値も数十倍違いますし」


「なるほど」

「ユニークスキル同様、職業にも特別なユニークキャリアというものがあります。神話時代からユニークスキルはユニークキャリアからの複製物と考えられています。」

「職業って生まれた時から決まってるんですか?」

「だいたい成人の儀式で決まりますが、ラクさんの様な異世界から来た者たちは教会で分かりますよ。」


そんな事を話していると、御者席(ぎょしゃせき)から声がする。


「リリス様、ここらで休憩いかがでしょうか?それに、すぐ近くの森は危険度Eランク指定ですよ」

「ちょうどいいですね。ラクさんその森で一度実践的なものをしましょう!」

「へ?な、なんで今なんですかね?街に着いてからじゃ?」

「馬の休憩がてらですかね。それにたぶん、今のあなたではゴブリンすら倒せません!」

「え?でも、俺、ゴブリンならたくさん倒しましたけど、、、?」


確かに弱いけど、そこまで言われるんか?

俺は悲嘆してると、彼女は自分の失言に気づいたのか焦った様子で話す。


「大丈夫ですよ。あ、あの森のゴブリンは倒せるなら、この森の動物ならたぶん狩れますから」

「姫様、それフォローになってませんし、理由を話してあげた方がいいんじゃないですかね?」

「確かにそうですね。すみません、説明不足で」

「い、いえ、俺が弱いのは事実なので」


モンスターすら倒せないなんて、ここまで言われると心抉られるわ。流石に

俺は多分という言葉も聞き逃さなく、酷く落胆した。


「説明しますと、この世界の生物の強さは魔素量に関係してまして。魔素量の多い環境にいるモンスターほど強くなるんです。」

「そうなんですか」

「魔素量の多さに応じて危険度が指定されていまして、ラクさんがいたのは危険度指定なしですね。」

「は!?」


俺そんな弱いとこで戦ってのか?ゴブリンには余裕で勝てるって自信満々だったのに、恥ずかしっ!!

俺はこのまま行ったら彼女達の足を引っ張っるどころか死なせてしまうだろう。

開いた口が塞がらないが、それを安心させる為に親指み立たせ、グッドという形にして言った。


「というわけで、私たちはあなたを鍛えなくてはいけないのです。このままでは私を守るどころか私が守らなければなりませんから」

「つまり、俺が姫ってこと!?」

「なわけあるか」


騎士さんにツッコまれる。

というわけで、早速俺たちは森に行くことになった。


「でも、この馬車どうするんですか?魔物とか盗賊に襲われるんじゃ?」

「それなら、私の召喚獣に見張らせますので。【召喚】!来て、《ゴーレム》」


姫さんは手を下に向けると、魔法陣が現れ、そこから石造りの巨人が召喚される。

ファンタジー通りの見た目だ、石には苔や草が生えていた。体長は五メートルぐらいだろうか?


「で、でっか!!」

「これで襲われる心配はありません!」

「さすが異世界」

「あ、1つ言い忘れてました。スライムと出会ったら絶対に戦闘して行けませんよ?」

「え?スライムって1番弱いじゃないんですか?」

「そんなわけないじゃないですか。物理無視かつ魔法耐性付きですよ?弱点の氷属性の魔法以外効きません。今、私たちの中に魔法使いはいません。」

「中立モブでは?」

「スライムは生物は丸呑みにして体内で溶かします」


こ、怖すぎだろ!?確かに、勝てないな。

ふと思い出すことがある。

あの森でA級冒険者と戦ってた魔物ってあれで弱い方ってこと?ガチで?A級冒険者が負けたのに?


「行きますよラクさん」

「あ、はい」

姫様は大きく手を振る。

こうして、俺たちは森へと歩みを踏み始めた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ