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十四話 謎の男

戦況は変わった。負けたのだ

敵味方をも殺す範囲系の禁呪魔法だ

しかし、彼らはアナが展開した『聖の地』のおかげで瀕死に止まる。


「ふぅ、並行スキル展開が遅ければ私も死んでいましたね」


自らの命を対価とした、禁呪魔法だが男は立ち上がる。

周りを見渡せば、敵全員が床に倒れており、自分以外に戦えるものなどいないと確信する


「君たちもしぶといですね〜私並みにね?アハハハ!」


男は高笑いをする

「勝った!」と確信していたため満面の笑みだった。

今この瞬間、この圧倒的勝利の快感が体全身に伝わる。

それは、危ない薬を投与しているのと同じような感覚だった。


「これはこれは、、、負けた気分はどうですか?SランクとAランク冒険者さん」

問い合かけるが反応はない

「まぁ死にかけですからね、反応は期待しませんよ。さてと、、、」


男は後ろを振り向き、床に転がっている剣を拾う。

「貴様らの心臓をこれで貫き、その後闇ギルドで他の臓器は高く売れましょうな高ランク冒険者の臓器ですし。邪魔者も消して金にする私は天才かもしれませんね」


男は満足げに足を軽快にくるりと向きを変えた

後ろを振り向くと、先程まで死にかけていたFランクの雑魚が仁王立ちしていた


「なぜお、お前、、、い、生きているんだ!?」

「さぁ?スキルじゃないか、ほらあれだよ。あれ、全回復する」

「スキルぅ?そんなチートスキルなんて聞いたことないぞ」


バレたか、、、

俺は一歩前に出る。その直後、俺の顔前にまで剣先が来ていた。


グサっ!

〈ギルドマスター視点〉


「うぐぅぅ!」

「なにをしてるんだ、バカモノ」


冒険者が俺の身代わりに、切られた。

彼の体は大きなキズから血があふれる

ヒールは大抵の傷を直せるが、それはかすり傷や骨折など。大怪我を治すことは無理だった。


「ぎ、ぎる、ますでも、こ、の技は、死んで、ますね。ぼ、くはも、うだめです、、、あなたは、ギルドマスターですよ、、、負けないでくださいね」

「わかった、、、今はゆっくり眠ってくれ」


俺の腕の中で静かに息を引き取る。

冒険者の年間死亡率は60%

冒険者はリターンが大きくなればなるほど、リスクは増える。そのため、冒険者は死にやすい職業だ


俺の眼の前で死んだのは、5年前ギルドにやってきた。その他に死んでいった冒険者はこれから世に名前を残すかもしれなかった可能性だ。


俺は自分に甘かった。このほんの10分で5人が死んだ

久々にこの失望感を感じた。あまり思い出したくないほど地獄の日々、簡単に友が死に、仲間を失う、、、

もう、失いはしないと誓ったあの日を思い出せ。バカ野郎が


「あれま、、、もう5人も死んでしまいましたか。やはり、冒険者もこの程度ですね」


敵の頭である、男は失望していた。

俺は自分の愚かさにムカつく


「今からするのは、ただの俺の八つ当たりだ、、、すまないな死んでくれ。『死地一閃』」

「そんな攻撃は聞かないと、、、!?」


男はとっさに避ける

俺の放った一閃は敵を真っ二つにする

なんだ、速度が上がった、、、?


「これを避けるのは、昔戦った最強の戦士ただ一人だけだったが。まさか避けるとは、、、強いかやはり」

「ハハハ!面白い、ならばこちらも本気でいかせてもらおう」

「こい」


戦士と剣士が対峙する

まだ暗く月明かりがあるが、早朝時のような霧が立ち込み始めた。

刹那、霧を断ち切るように2つの剣筋が通う


金属のぶつかる音だけが静寂の中、響く。

すると、剣士の男が口を開く。


「君はなぜこれほどの力があるというのに、、、なぜ軍将を降りた」

「仲間の死を見るのが怖くなったんだよ」

「軍将を担っていたお方がそんな幼いことを抜かすな」

「幼くたって構わん。仲間の死に何も思わないただの傀儡(かいらい)にはなりたくはなかった」

「それが今、お前の弱さにあるんじゃないのか?俺がお前が守っている冒険者を今殺すとしたらお前は守れるのか?自分の身も味方も!!」

「無理だな、、、だが一人でも多くの命を守る」


俺は弱い、それを強く感じるほど俺が今剣を交えている剣士は強い。

しかし、男は動きを止め、その場に固まる。

彼の口から笑みがこぼれた。


「そうか、、、あぁそうか!気が変わったぞ、今回は見逃してやろう軍将!次はお前がどう変わったか楽しみにしてやる。また殺り会おうぞ」

「なんだ急に?気が変わっただと、待てよ!俺の部下を殺しておいて、そのまま逃げるというのか」

「フハハハ!今のお前に何ができる、復讐なら出直せ将軍」


月が雲に隠れ、真っ暗になったが、すぐさま月光が出てくる。しかし、光の指す所にはもう剣士はいなかった。

耐えた、、、

俺は緊張が抜け、腰が抜ける。


「ギルマス大丈夫ですか!?」

「あぁ大丈夫だ、、、クソが、、、だが、ここで悲しんでいる暇ではない姫を助けにいかねば死んだ部下に顔向けできんぞ。怪我している者を頼んだぞ」

「はい!!」


俺は拳を握る、自分の無力さが嫌になるほど身にしみた。次こそやつに会ったなら勝たねば。

俺はすぐさま立ち上がり、館の中へ走る。


〈楽視点〉


「貴様は、昨日の女、、、!!」

「姫を返せ」

「そんな剣では倒せぬよ」


男は煙となって消えた。

男は五人に増え、教会であった女性に飛びかかる。


「貴様にもう要はない死ね」

「私もそこまで弱くはないぞ!『聖流・(まい)』」


華麗に剣は周囲を切る

しかし、また煙となって消えた

キリがないな、、、


「今のあなたにそこまで魅力を感じないのですよ」

「私が弱いとでも」

「聞こえなかったのですか?そういったのですよ」

「ここまで苔にされて、許さない」

「もっと強さを見せてくれ」

「〈花は霧となり 春風よ息吹け『花霞』〉」


俺は剣を大剣の持つように構え、『鑑定』で本物を見つけ、一気に間合いを詰める。

花霞とは、簡易領域を作り出し、中に入った対象を切り刻む技である


「ガッ!ま、まさか、集中力が必要な簡易領域を使った上で間合いを詰め領域内に無理やり私を入れるとは、、、あなた実力を隠していたのですか?そんな人間離れした技、Fランク冒険者ができる芸当ではありませんね?」

「さぁ?俺はFランクだよ、しかし偽物が厄介だから、油断してる隙に倒すつもりだったが、、、見た目に反して頑丈だな」

「私、強いのでね」

「そうかい、だけど俺だけを見てていいのかい?」


男はハッと思い出し、背後の女騎士の方をみるがもう遅い、、、

ジャストだ。

女騎士は教会で見た構えをしていた。


俺も避けないと死ぬな、これは

男はとっさに隙が大きい女騎士に近づき、攻撃するつもりだった。

愚行だな。


「飛んで!『聖流・園《華》』」

「ガァっ!!」


男の体に大きく、斬撃が通る


「まさか、、、これを目的に?」

「いや?たまたまだろう」

「死ぬのはお前だったな、霧隠よ」

「女、それは!?俺の二つ名を知るものだったとは。だが、俺は簡単には死なんぞ!はよ助けれ〜」

「何を、言って、、、」

「「!?」」

殺気を感じ、俺と女騎士はとっさに後ろへ下がる

スパンと床が切れる


「なんだ!!」

「いい反応だ。しかし、こんな奴らに負けるなどとは、、、落ちたな霧隠」

「どうとでも言うがいいさ」


こいつはやばいな。強すぎる、今の段階では無駄死にするだけだ

目の前にいる剣士は今俺らのどちらかが動けば速攻でどちらも簡単に殺せるほど強く、それに隙がない。


「動くなよ」

「動かぬよ、動いたら即刻殺されるのでな」

「ほう、、、いい回答だ。今回はこいつの負けでいいだろう、姫は返してやる」

「ずいぶんと優しいな」

「俺らの目的は姫とは別のものがあり、目的は達成した。これはこれで十分な収穫だからな!だが、姫もまた標的だ。次はないぞ?」


肌でピリピリと感じる

もう時間ギリギリだから無駄な戦いはできない、それに姫の奪還が目標でそれが達成される。今は、目の前の犯罪者を見逃すしかない、、、今の弱さを痛感するな。


「ふん、次は負けませんね」

「負けたら、船降りろよ〜」

「なんですか!!船って!全く、、、フヒヒ!さらばだFランク冒険者」


そう言うと、瀕死であるはずの男は何もなかったかのように大きな怪我を負った胸元から紙一枚をとりだすと、紙は薄く光ると同時に煙が充満した。

煙が消えたときには、そこに奴らはいなかった。姫は椅子に座らされていた


「感謝するぞ、教会の男」

「それは良かった。だが、俺はもう限界だ、、、俺を頼んだ」

「え?」


こうして、俺の目の前は暗くなり、力が抜けた。

タイムリミットか、、、ギリだな


〈?????〉

とある森の中で、2つの影が高速で動いていた。


「まさかお前が彼と対峙するとはね」

「まだ弱かったですけどな」

「負けたのだがな?だが、奴はゴブリンキングの王種を倒したのだかなりの強者だ。それに、お前は能力の使いすぎで力がほぼ失われていた状態なのになぜ戦った?」

「次は負けませんよ?戦った理由は、、、少々ムカついたのでね」

「ハハ!キレやすいとこ直せよな。さて、伝承は今のところあっているな。てことは、そろそろだな」

「でしょうね」

剣士と魔術師はフードを深くかぶり、スピードを上げる。


俺の知らない月明かりの下では、何かが動き出していた。

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