笑う素晴らしき日常
私の旦那はだらしない、とよく人に言われてしまう。確かに無精髭を生やして休日は何処かに出掛けるでもなく家でゴロゴロしてテレビを見てたり、昼間からお酒を飲んだりとダメ人間なのだが、私は彼に不満を持った事など一度もない。
「飯まだ?」
「後少し待ってね。ご飯炊き上がったら終わりだからさ」
「腹減った」
そう言って台所に来てご飯が早く出来ないかワクワクしながら待って笑う彼は、何だかエサを期待して尻尾を振る犬っぽくて少し笑ってしまう。
身長と顔立ちに似合わず子供っぽくて、何に対しても笑ってこなす彼が私は大好きだ。
「はい、ご飯できたよ。今日はハンバーグ。大好きでしょ?」
「おぉ、待ってました。お前が作るハンバーグ旨いんだよなぁ」
テーブルに並ぶ大きさが違うハンバーグにサラダ、温かいご飯。見ていると幸せを感じてしまう私は変なのだろうか?
彼が本当に美味しそうにハンバーグを食べて、笑って私を誉めてくれる。頭を撫でてくれる。それを見ながらご飯を食べるのは、とても幸せな事だ。
「お前も飲む?いい酒なんだぜ。一口だけなら分けてやるよ」
ニッと得意気に笑う彼。意地悪を言いつつも、結局はたくさん飲ませてくれる優しい彼。大好きな物でも一口だけだぞ?と言いつつ半分こしてくれる彼。私は『ありがと』と一言お礼を言って彼が用意してくれたおちょこにお酒を貰う。一口飲めば日本酒独特の甘い味が口一杯に広がる。
お酒の肴は彼が話す日常の話し。今日はあれが面白かっただとか、散歩の時ネコにエサをあげただとか、どうでもいいけど楽しい話し。それを聞くのが私は好きだ。優しい彼の声で聞く楽しかった今日一日の話し。こっちまでなんだか楽しくなってくる。
「しかし、俺、お前と結婚してよかった」
「え?」
不意に彼が口にした言葉。結婚して何年も経ったが初めて言われた言葉に私は戸惑ってしまった。
「出会ってよかった。好きになってよかった。こんな俺でも着いてきてくれるお前でよかった。本気でそう思う」
「……」
いつもと変わらない笑顔で、彼はポツリと溢すように次々と言葉を紡いでいく。
「酔った時でもないと、言えんからなぁ」
最後に彼はそう言って笑い、すぐにいつもの楽しかった話しに戻した。そんな楽しい話しを聞きながら、私は心の中で思った。
『私を愛してくれてありがとう』と、一つだけ。
一通りお酒を飲んで話し疲れたのか、彼はソファーで眠ってしまった。気持ちよく眠る彼の横、少しだけ出来た隙間に入り込んで毛布を掛けて一緒に寝転がる。彼の温もりが感じられる。彼の寝息が聞こえる。それだけで幸せ。
「明日も、笑って過ごそうね」
一言だけ残して、彼の腕に巻かれて目を閉じる。暖かな彼の中、私は眠りに落ちる。
「ずっとな」
そう言って、頭を優しく撫でて、優しく抱き締めてくれた、優しい彼の腕の中で。
明日も彼が笑って、私を愛してくれますように。
どうも。数ヶ月振りにコノエイクノでございます。
今回の文は酔った時に書いた代物でして、何故上げたのかは気にしないで貰いたいです!
こんな文でもほのぼのとしていただけたら本望で御座います。
文への感想や評価、お待ちしております。
では、また数ヶ月後に会いましょう
電車に揺られ揺られながら
コノエイクノ