表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
第五章開始 色付きの花束と透明な花  作者: 絢奈
第五章 水姫と水都
147/157

ご飯の後

 





「っぷへぇ~あーラーメン美味しかったぁ~…」


「うっ…ニンニク臭い…喋らないでくれます?」


「はぁ~!?ラーメンって言ったらニンニクでしょ!はぁぁー!」


「ちょっ!?近づかないでください!!!」



 風呂場で裸体を晒す少女達…ランお手製のラーメンをたらふく食べた後、皆で仲良くお風呂に入りニンニク攻撃を繰り出す詩織と受けるリーチェを見守っていた…。



「そういえば…わたくしは途中で抜けましたが、結局ティリアは何戦ぐらいしたんですの?」


「え、えっと…途中で抜けた人も全員合わせて344戦…?」


「さんっ…お、恐ろしいですわね…」


「む、無駄のない身体運びをすればそこまで疲れないよ?『風身一体(ふうしんいったい)』ってアリア先生から教えてもらったんだけど…な、流れとか、相手の攻撃で生まれる風に身体を乗せて流れに身を任せて体力の消費を抑える戦闘方法らしい?さ、流石に連戦は疲れたけど…」


「つくづく人外ですわね…普通そんな事出来ませんわよ…?前から思ってましたけど、ティリアって天才型ですわよね?」


「そ、そうかな…?」


「ティリアが頑張ってないとは言いませんけど、わたくしは努力型ですから人より努力しないと身に付きませんわ…」



 少し前まで身体が不自由な村娘だったティリアの圧倒的な戦闘センスに天才のそれを見出すリーナ。



「全く…前を向いたと思ったら自分が見えてないとは…本当にリーナは不器用だな?」


「ほんとそれ…リーナだって天才型なのに」


「シャルは天才型だけど努力型は私達。ズルしたけど」


「私も努力型だと思うけどズル…?どんなズルなの?」


「簡単だ。私達の血統魔法『共有』で痛みと疲れだけを共有遮断し、それ以外を全て共有し続け特訓した」


「アンジェが頑張ってる時は私が休む。私が頑張ってる時はアンジェが休む。一人で強くなりつつ休んでる間も経験値獲得。超効率、超お得」


「休んでても強くなるのは確かに普通の人からしたらズルだけど…いや、でも違う人が経験したモノを自分のモノに出来るのはやっぱりズル…?羨ましい…」



 自分の事を努力型だと言うシャルロット、アンジェリカ、フレデリカ。



「私からしたら全員天才型だけどね…努力型って言うのは私だから…」


「あー、確かにティア先輩は努力型って感じがするなぁ」


「です!ティア先輩は応援したくなります!!」


「ねー?同じ座学学科って言うのもあるけどまだ非常識側に染まり切ってないって言うか?私達努力型同盟って言うか?」


「でたらめな存在じゃないって言うか…その胸はでたらめだけど…グルル…!」


「胸ばっか見ないでよアーデ…私からしたら十分シエラ達も天才型だけど…ここにいるみんなは自分の才能に胡坐をかくわけでもなく、足りない足りないって貪欲に努力し続けるから手に負えないよ…目標にしてる人が凄いって言うのもあるけど、普通はあり得ない差を実感して心折れると思うんだけどね…」



 比較的常識人のティアが新たに加わったシエラ、シリカ、ククル、アデルにも呆れた様な笑みを浮かべていると…



「天才か天才じゃないかなんて言い換えちゃえば要領がいいか悪いか、特定の物事にどれだけ前向きになれるかなれないか、発想が豊かかそうじゃないかっすよ」


「そうだぜ?それに天才なんて肩書は他人が勝手に決める物差しでしかねぇ。学ぶモンはちげぇけどよ、土台が出来上がってねぇ発展途上のお前らにゃ、進むべき道を閉ざすか曇らす無用の肩書だ。天才には敵わねぇなんて弱音ぜってぇ吐くんじゃねぇぞ?」



 女性として完璧な身体を持つユリと()()()()()が裸体を隠さず風呂場に現れた。



「「…え?お、親方…?」」


「あん?今日一日一緒に居て忘れるか?」


「正真正銘、今日一日シエラっちとシリカっちを教えてたランっちすよ?ランっちはドワーフなんでこの姿が本当の姿っすよ?」


「「「「「「「「「「えっ!?!?!?」」」」」」」」」」


「そういや見せてなかったな、わりぃわりぃ」


 ランの事を人間族(ヒューム)だと思っていた全員の驚愕が浴室に響き、ランはお詫びとばかりに幼女の体躯を()()()()()()()()()()で包み…



「っとまぁ、こんな感じだわな。ちいせぇと椅子に座んのも大変だし、高い所の物も取んのが大変だからこっちの姿でいる事のが多いけど、あたいはドワーフだぜ」


「闇…!?も、もしかしてランさんも同じ黒の魔色!?」



 ユリと引けを取らない完璧な裸体の美女へと変わると、身体から噴き出した闇を見て元勇者の詩織を除いて唯一黒の魔色を持っているフレデリカが食いついた。



「…あー、わりぃ…魔力はあっけどあたいは魔法が使えねぇんだ。この世界風に言うと透明の魔色っつーのか?んや、魔法は使えねーから正真正銘の無色の無能だぜ」


「え…?でも今闇が身体から…」


「あれは魔王の眷属に与えられる権能の力だな」


「権能…?」


「「「「「魔王!?!?」」」」」



 フレデリカは権能という言葉に引っかかり、まだアリアの事を全て知らない新規組は魔王という言葉に引っかかり…



「…ったー、まぁちゃんと説明してやっから先に身体を洗わせてくれ…」


「アーデっち?女の上げ方を教えるっすからこっち来るっすよ」



 アリアと自分達の事情の説明と、ユリによる女の上げ方講座によって女性陣の長風呂は確定になった…。





 ■





「すみません、僕の我がままを聞いてもらってしまって…」



 少女の姿から少年の姿に戻ったアリアはイヴィルタとメルクリアに頭を下げていた。



「我々はただ馬車に揺られているだけだから早急に疲れを取る必要はない。それにアリア殿は生徒第一優先だろう?我々は既にアリア殿を理解しているし、この素晴らしい馬車もアリア殿の私物だ。それを利用させてもらっているのだから従うのは当然だ」


「ええ、それもそうですし…ラーメンというものが美味し過ぎて少し食べ過ぎてしまいましたし、お腹が出ている姿を娘とその友達に見せたくありませんから」


「…そう言って頂けると助かります」



 王族より先に生徒達の入浴を済ませてあげたいというアリアの我がままを笑って許してくれた二人にもう一度頭を下げた。



「…それで、随分と明るい顔をされるようになりましたが…リーナとはどうでしたか?」


「…我々の為じゃなく、仲間の為に、民の為に女王になると言っていた」


「そうですか…」


「そんな顔をしないでください。リーナはそんな私の事を父として、母として見守ってくださいとも言ってました」


「…!そうですか…!」


「本当に感謝する、アリア殿」


「本当にありがとうございます」


「こちらこそ教師として生徒の成長を感じられて嬉しい限りです。…それでは僕もこれで」


「うむ、行って来るのだ」


「私達も後で頂きますね」


「失礼します」



 若き女王が誕生する事を喜び合い部屋を出るアリアは静かに扉を閉め笑みを浮かべた。



(…本当に最初はどうなるかわからなかったけどその道を進む事にしたんだねリーナ…その道は苦悩と困難だらけの道…でもまぁ、今のシャル達がいればそんな道も進んでいけるか…僕みたいにね)



 住む世界は違うとも同じ王として成長し、想像を絶する重圧と責任を背負い、仲間と共に歩むと決めたリーナの成長を噛み締め、



「やっと一つ悩みの種が減ったなぁ~~…でもまだ悩みの種はいっぱいなんだけどねぇ…?」



 身体を伸ばし肩から重荷を一つ下ろしたアリアは訓練場の入り口を潜り、皆がお風呂に入っているのにも関わらず一人で身体を動かし続けている数あるうちの悩みの種へ視線を向け…



「…なーにやってんのかね?唯織君?」


「っ!?…アリア先生…」



 汗で所々黒染めが落ちて処女雪の髪を晒すポニーテールの唯織に声をかけた…。



 ………



(声をかけられるまで全然気付かなかった…)



 身長と髪の長さ以外自分と瓜二つなアリアが呆れ顔になりながら近づいて来る。



「もうみんなはお風呂に入ってるんだよ?それにユリの針治療の後で本調子じゃないのに身体動かしても身にならないのはわかってるでしょ?」


「はい…」


「……まぁ、ここでこうして身体を動かしてる理由はわかるけどさ…」


「………ありがとうございます」



 顎から滴る汗を拭っているとアリアから冷気が漂う真っ白なタオルが投げられ、火照った身体を優しく冷やし始めてくれる。



「…やっぱりまだ、テッタにその身体を見せるのには抵抗あるの?」


「まぁ…はい…」


「刻印は当然として、傷を晒す事に抵抗があるの?」


「あまり見せて気持ち良くなるものではないので…それに、見せてしまえばみんなは優しいから過去に何があったのか心配してくれるはずです…過去を言いたくない自分からすれば出来れば見せたくありません」


「ふぅむ…でもさぁ、リーチェには自分の身体に傷がある事を言って腕だけでも見せてるんでしょ?それにどうせ武具の採寸の時に身体を触られてシエラとシリカにもバレてるんでしょ?」


「…はい」


「うーん…詩織に貸してた変装の腕輪は千夏が壊しちゃったし…ユリとラン以外は一旦元の世界に戻ってもらっちゃったし…意図してないけど女子組が多い所為でテッタに寂しい思いさせてるしなぁ…」


「うっ…」



 女子組は楽しく皆でお風呂に入っているのに一人寂しくお風呂に入っているテッタの事を思うと申し訳なさが唯織を苛んでいく。



「んー…まぁ、仕方ない…使うか」


「…?」



 ひとしきり頭を悩ませたのか何もない空間を人差し指で押したりスライドしたりと奇妙な動きをしたアリアの手に粉々になった銀の屑が現れた。



「触ったら流石にわかっちゃうけど変装の腕輪を今から直すからさ、それ付けて身体の傷と刻印を隠しなよ。結局隠す事にはなっちゃうけど明日は海で遊ぶし、一人だけ全身黒インナーとかどう足掻いてもバレるでしょ?見た目はみんなが使ってる空間収納のブレスレットと同じだから見ただけじゃ気付かれないと思うよ」


「な、なるほど…それならその腕輪、僕が復元しましょうか?」


「んや、唯織には復元出来ないよ」


「え…?」



 今まで人体、武具、アンジェリカとフレデリカから聞いたエルダの角、色々なものを復元してきた魔法じゃ直せないと言われて目を丸くするとアリアは言葉を続ける。



「正確に言うと側を復元出来たとしても中身の効果までは復元出来ないって事」


「中身の効果…」


「唯織さ、シリカが作った武器を試し振りした時に『刻印』の血統魔法を使ってもらって魔法を刻印したでしょ?」


「しましたね?」


「その時さ、ナイフを溶かして復元して返したと思うんだけど…シリカにその剣を見せてもらったらさ、『刻印』されていたはずの()()()()()()()()()()()()()()んだよね」


「え、そ、そうなんですか?」


「うん、『刻印』の側だけは完璧に元通りだったんだけどね」



 完璧に元通りに戻したはずなのに魔法までは復元出来ていなかったという事実に驚いているとアリアは唯織の『復元魔法』について持論を述べる。



「唯織の復元魔法ってさ、イメージした形になる様に形だけを復元してるって感じなんだよね。例えるなら水の入った瓶を割って、復元したら瓶だけが元通りで水は減ったままみたいな?」


「形だけを復元…なるほど、確かに…」



 今思えば今まで復元魔法を使って来た場面と言えば治療か何かの形を戻す時…そこに付随する効果や何かが付与されたもの、魔道具の様な物を直した事が無い事に思い至る。



「復元魔法で治療が出来ているのは唯織には人体の知識があるから。物を直すのは完成形を見てそれをイメージしているから。なら、真っ黒の箱の中にある壊れた物を見ずに復元出来るかって言ったら?」


「…絶対に無理ですね」


「そう、絶対に無理なんだ。でも見て知れば?」


「…復元出来ます」


「つまりそう言う事。この変装の腕輪の残骸を今の唯織がそのまま復元したらただの銀のブレスレットになるってわけ。でもさ、それってガラス瓶だけじゃなくてガラス瓶の中に入っている水まで復元しようとすれば復元出来るでしょ?だからシリカが貸してくれた剣も『刻印』されていた魔法まで復元しようとイメージしていれば復元出来たわけさ」


「なら…僕が変装の腕輪に付与されていた魔法を理解すれば復元出来るんですか?」



 復元魔法にそんな落とし穴があるとは知らず、自分が開発した魔法を自分以上に知っているアリアに敵わないと思いながら問うと、



()()()()



 とてもいい笑みで無理だと言われた。



「そ、そうなんですか…?話の流れ的に出来る流れだと…」


「あはは、ごめんごめん。期待を持たせる言い方をしたお詫びに何で唯織が復元出来ないか教えてあげるよ」


「どうしてなんですか?」


「それはこの変装の腕輪が()()()()()()だからだよ」


「か、かきん?アイテム…?」



 耳馴染みのない言葉に首を傾げているとアリアは右目を閉じて左眼だけで変装の腕輪を見つめ始めた。



「簡単に言うと僕達の世界のアーティファクトなんだ。僕ですらどんな原理で効果を発動してるかわからないし、神ですら複製する事が出来ない物なんだ。同じ変身魔法を発動させても魔力を使い続けるってデメリットがあるのに、この変装の腕輪はただ腕に通してイメージするだけで外したり壊したりしない限りデメリットも無く使い続けられるんだよ」


「アリア先生ですらわからない…そっか、だから無理なんですね…」


「そっ。唯織に教えようにも所持者の僕自身が分かってなければ教えれないし、僕が唯織の復元魔法を使って直そうとしても直せない…だから時間を巻き戻す権能で壊れる前に戻すしか直す方法がないんだけど…」


「…今までそうしなかった理由がある、という事ですよね?」


「そうなんだよ。この時間を巻き戻す権能って神の力でしょ?神の力を使うには体力とか精神力、魔力とは別の神の力、神力(しんりょく)って言うのが必要になってくるんだ。…で、その神力がこの巻き戻しで尽きるんだよね」


「えっ!?そ、それって大丈夫なんですか…?名前からして魔力みたいに寝れば回復するとかじゃないですよね…?」


「うん。一応神力が無くなったら動けなくなるとかそう言うのは無いけど、権能が使えなくなるかな」


「使えなく…ならその神力はどうやって溜めるんですか?」


「簡単に言っちゃえば僕を神として信仰してくれる信者の祈り次第かな。でも僕ってさ、魔王で魔神な訳じゃん?普通の信仰じゃ神力溜まらないんだよね」


「というと…?」


「僕に対する負の感情が僕の神力になるってわけさ。恨まれれば恨まれるほど力を増すって感じ」


「なるほど…」


「僕達の世界では僕を恨む人はたくさんいるからすぐに力が戻るんだけど、この世界じゃまだまだ少ないから全然溜まんないんだ。本当は取り返しのつかない時の為に神力を残して置きたかったんだけど…取り返しがつかない事が起きない様に僕が頑張ればいいし、テッタに寂しい思いをさせ続けるのもね」


「…すみません、僕の所為で…」



 そう言って笑みを浮かべるアリア…また自分の所為で迷惑をかけてしまったと項垂れるが、アリアの小さな手が頭に乗った。



「どうせ、ターレアの事が引っかかってるからそうやって謝るんでしょ?」


「っ…はい…」


「全く…教訓にする事と引きずる事は違う…気にするなとは言わないけど必要以上に気負う必要はない、ちゃんと事情も分かってるし、割り切れない事もあるさ。それに唯織はまだ子供なんだし迷惑をかけていいんだよ。何でも一人でやろうとして空回る程よっぽどいいさ」


「……」



 またこの手…優しく響く声と安心感を与える様に撫でてくれる手に堕落してしまいそうな、何でも頼りたくなって依存してしまいそうな、何もかもを捧げてもいいと思えてしまう形容し難い気持ちに目を閉じ…



「…はい、直したよ唯織」


「…ありがとうございます」



 腕に通された変装の腕輪を大事に抱いた唯織は過去が刻まれていない自分の身体をイメージし、ずっと全身を覆っていた黒のインナーを捲り上げた。



「………問題なく隠せてますか?」


「うーん…やっぱり感覚までは誤魔化せないか…うん、見た目だけなら問題ないね」



 筋肉質ではなく細くしなやかで引き締まった白い肌に指を添わせると火傷や切り傷の盛り上がりの感覚が指に伝わってくるが、見た目だけなら無傷そのものに変わり…



「っし、んじゃぁイヴィルタ国王も待たせてるしお風呂にいくぞ~」


「…えっ!?こ、国王様を待たせてたんですか!?」


「そうだよ~。だからちゃっちゃと入っちゃおう」



 白黒の髪の尾を揺らし白黒の尾を追いかける…。





 ■





「…隣は楽しそうだなぁ…」



 一人では寂しい大型の浴槽…湯気が立ち込める風呂場で聞かない様にしても獣人の聴覚で捉えてしまう隣からの女子達の楽し気な声に黒い猫耳を震わせていた。



「…わっ…はぁ…そろそろ上がろうかな…」



 天井から落ちてきた冷えた水滴が鼻に当たり、溜息を漏らしながら淡く光るお湯から出ようとした時…



「あれ?テッタもう上がるの?」


「アリア先生…アリア先生が入るならもう少しだけ…」


「お、裸の付き合いがわかってんじゃん」



 腰にタオルを巻いた少年姿のアリアが浴室の扉を開き白靄から姿を現した。



「今回加入した仲間も女の子でごめんね?男が唯織だけだと肩身狭いでしょ?」


「あ、いや……まぁ、はい…」


「まぁ、詩織達はそう言うのを感じさせない様に接してくれるけどこういう時は流石に混浴~なんてねぇ…」


「こ、混浴!?」


「あ、今エッチな事想像したっしょ?」


「っ!?し、してませんよ!!」


「あはは、そういうお年頃なんだし想像したり気持ちを抱くのは健全な証拠だよ?でも、学生期間中に行き過ぎちゃダメだよ?せめてキスぐらいまでにしときなね?一人で責任とれる様になったらその先を楽しめばいいさ」


「きっ!?…」


「ははっ、可愛いやつめ」



 初心過ぎて耐性が無い話題の所為でお湯で赤かった顔を更に赤くして口までお湯に沈むテッタに笑い声をあげるともう一度戸が開く音が浴室に響いた。



「あれ?テッタいる?」


「えっ!?い、イオリ!?」



 うなじを晒す様に頭の上に纏められた白黒の髪、女性の様な仕草で胸から前をタオルで隠している身体のライン、白靄にも負けない程の真っ白な肌…今まで一度も唯織とお風呂に入った事が無かったテッタは思わず立ち上がり頭の上に乗せていたタオルをお湯に落とした。



「…え?や、やっぱり…イオリって女の子だったの…?」


「え?何でそうなるの?」


「だって…タオルで胸隠してるし…」


「…ああ、これは()なんだ」


「そ、そうなんだ…」


「……」



 女性らしい仕草を癖と言う唯織…テッタはそうなんだと納得したがアリアは過去を知っているからこそすぐさま「んんっ」と空気を切り替え…



「まぁ、そう言う事で今日からは男三人でお風呂に入る事になるだろうからボーイズトークでも楽しもうか」



 アリアと唯織は身体を洗い始めボーイズトークに花を咲かせる…。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ