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第五章開始 色付きの花束と透明な花  作者: 絢奈
第四章 運命の奴隷
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英雄誕生

 





『グルギュアアアアアアアアアアアアア!!!』



 巨大な身体を起こし咆哮する死龍…その体躯は直線にして120mはあるであろう『巨躯の死龍』の咆哮は頭上から押しつぶす様な圧となって唯織達に降り注がれる。



「っ…凄い音だ…エルダさん!お願いします!!」


「承知した!『全身竜化』は魔力の消耗が激しいから時間制限がある!それまでに何とかしてくれ!!」



 四肢を地面に付き、制服を突き破る様に背中から純白の羽が生えると徐々にエルダの顔付きが竜の顔付きへと変わり、純白の鱗を身体に張り付け体躯を『巨躯の死龍』を二回り小さくした大きさまで膨らませていく。



『グルル…いくぞ屍ぇ!!!!』



 咆哮の代わりに頭に直接響く様な声色で怒声を上げたエルダは、身体の調子を確かめる様に丸太とは比較にならない太い尻尾で地面を二度叩きつけ、雨を含んだ地面をまき散らしながら『巨躯の死龍』へ組み付いた。



『グギャアアアアア!!!!』


『っ!!その見た目で何処にそんな力が…!!予想以上に力が強い!!長くは持ちそうにない!!』


「わかりました!!アンジェさんは右!フリッカさんは左から羽を狙ってください!!あんな見た目でももしかしたら飛ぶかもしれません!!」


「了解した!!」


「わかった!!」



 羽が狙いやすくいつでもフォロー出来る近すぎず離れすぎない絶妙な位置に向かって泥の上を跳ねる様に移動する二人を見送ると、雨で色が戻った真っ白の前髪をかきあげて次々と指示を飛ばしていく。



「キースさんとルマさん、レイカさんとキリンさんは尻尾をお願いします!!あの大きさで薙がれたら一溜まりもありません!!」


「オレに指図すんじゃねぇ!!」


「わかった!!尻尾は俺達で何とかする!!」


「あんな尻尾叩き切ってやるわぁ!!」



 悪態をつきながらも雷を纏いルマとキリン(レイカ)と一緒に竜化したエルダの足の間を抜けて尻尾へと向かうキース達を見送ると、泥の中から一掃したはずの化け物が再び生まれ始めるがそれは唯織の想定の範囲内だった。



「やっぱり…師匠!テッタ!魔法は使わなくていいのでエルダさんの護衛をお願いします!」


「詩織ちゃんかしこまり!」


「わかった!!」



 魔法が使えなくても強い詩織とテッタに『巨躯の死龍』を押さえ続ける無防備なエルダの護衛を任せると、アコーニトを回して巨体を支え続けている『巨躯の死龍』の後ろ脚を見据える。



「みんな流石だ…リーチェは僕と後ろ脚!左は僕、右は任せるよ!時間が惜しいからあの中を突っ切るけど問題ない!?」



 数が少ないからか難なく二対一の状況や、泥から這い出る無防備な状況を利用して処理していく皆に称賛を送り、暴れる様に動くエルダの尻尾と両脚、更には暴れ狂う泥と地面、化け物とその護衛の為に縦横無尽に動く詩織とテッタの間を突っ切る一番危なく最短なルートを提案すると、リーチェはニヤリと口端を吊り上げる。



「少し会わない間に私の速度を忘れたんですか?逆において行かれない様に付いて来てくださいね?」


「わかった…いくよ!!」


「ええ!」



 最初の一踏みで泥を爆ぜさせ、まるで競争をする様に前傾姿勢で加速していく唯織とリーチェ。



「二体…突っ切る!」



 左手で山茶花(さざんか)の鯉口を切り、腰の後ろに交差させて吊るした魔法を反射するアネモネを右手で抜くのと同時に後方へ投げ捨てると、持ち手の部分から右手を繋ぐように雷が伸び…



「『雷切(らいきり)流・雷影(らいえい)』!!」


『『!!!』』



 走りながら身体を右に回し、雷の軌跡を残しながら遠心力を乗せた居合を放つと近くにいた化け物を一刀両断、更に少し離れていた化け物も山茶花の動きに追従したアネモネが少し遅れる様に視界外から化け物の身体を黒い刀身が一閃。



「っ!凄いねリーチェ!」


「これぐらい足を止める理由になりません!それより前、三体来てますよ!」



 黒い体液を刀身から振り払ったアネモネが自然とリーチェの鞘へ収まり、速度を全く落とさず二体を即座に斬り伏せたリーチェに負けじと唯織も前から来る化け物達をスッと目を細めて見据え…



『!!』


「ふっ!!」



 薙ぎ払う太い触手が身体に触れるか触れないか、紙一重のタイミングで前傾姿勢のまま左腕を身体に巻き付ける様に振り抜き、少ない遠心力で太い触手に背中から乗り上げる様に身体を回して回避し、全身で回転した事によって得られた遠心力とアコーニトの重さを乗せて一体目を斜めに刈り取り、



『―――!!』


「せいっ!!」



 怪音を発しながら大口を開けて突っ込んでくる化け物を勢いそのままにアコーニトを地面に突き刺し、アコーニトを支えとして勢いと腕の力だけで身体を斜めに浮かせて化け物の後ろへ回り、地面から引き抜いたアコーニトで掬いあげる様に化け物の胴体を背後から斜めに刈り取り、



「はぁっ!!!」



 最後は怪音も行動もさせず、乗りに乗った全身の力と遠心力を上乗せした振り下ろしで化け物を脳天から縦に刈り取り、アコーニトを利用した棒高跳びで高く跳躍し速度を落とさず走り出す。



「な、何というか…大鎌で戦うのは独楽というか大味というか…凄い迫力ですね…?」


「まだまだアリア先生みたいにうまく扱えないけどね…!右はお願い!」


「ええ!任せてください!」



 遠くから振り抜かれる別の化け物の触手をトリッキーに躱しながらリーチェと離れ純白の門を潜り抜けると、エルダの右足を守るテッタが漆黒のガントレットで触手や飛んでくる黒い物体を防ぎ、両手に持ったアンドロメダで化け物達を斬り捨てていたが、泥の中から触手が現れテッタの足に巻き付いた。



「テッタ!」


「うあっ…と、大丈夫!」


「っ!」



 足を取られた事に少し驚いたテッタだったが、アリア特注の制服とルマとの試合の時に使っていた植物の外骨格を纏っていたおかげで巻き付かれた足を豪快に振り上げると、芋づるの様に泥の中から化け物が掘り起こされ、化け物の触手を巻き付けたまま両手を足の様に地面について身体を持ち上げ、足を振り回し即席の鞭へと変えて化け物達を薙ぎ倒していく。



「な、何かテッタの戦い方が強引になってる…」



 テッタの振り回しを膝からのスライディングで身体を寝かして潜り抜け、実力も見た目も頼もしくなったテッタに苦笑する唯織はアコーニトに魔力を流し、大鎌形状から大剣形状へと変えると、既に右足へ辿り着いているリーチェが鞘を背負う様に背中で立てる独特な居合の構えを取っているのを横目に腕を引き絞り…



「おれっ…ろおおおおおおおお!!!!」



 腐肉を纏っていない黄土色の部分に狙いを付けた渾身の突きを放つとバキッ、という音が響きヒビが走るがそれ以上は押し込めず…



「これで…どうだああああああ!!!!!」

「『雷切流・轟雷(ごうらい)』!!!!」



 突き刺さったアコーニトから手を離し、身体を回転させて石突きに回し蹴りを放つとバキンッ!という先程とは段違いの音が響きながら突き刺さり、更に右足側ではババンッ!と雷が立て続けに二度落ちた音を響かせてリーチェが右足を一閃…二閃していた。



『っ!?ゴアアアアアアアアアアアアアァァァァ!?!?』


『っ!!ガアアアアアアアアアァァァ!!!!!』



 巨躯を支えていた足が片方は砕け、もう片方は断たれ、更には羽も尻尾も失った『巨躯の死龍』が馬鹿なと言っているであろう咆哮を上げ、その隙を逃さずエルダは『巨躯の死龍』を力尽くでねじ伏せ喉元に喰らい付き、おまけだとばかりにゼロ距離の白炎を『巨躯の死龍』へ叩きつける。



『今だ!!核を探して砕け!!!もう持ちそうにない!!!』


「っ!!全員化け物達が下敷きになっている内に近くにいる所で核の場所を探してください!!!」



 純白の竜が自分の口元を黒く焦がし、気高さを象徴する鱗を跳ね上げた泥が汚していく…その光景が無垢だった自分が両親を殺すという復讐に身を窶す事になった心傷(トラウマ)を想起させたがすぐに頭を振って思考を追い出した。



「クソが!!何処にあんだよ!!!」


「さっきの再生はここを中心としていた!!探せキース!!」


「何処にっ…!あんのよぉ!?」



 後ろに倒れ込んだことで『巨躯の死龍』の首元が近くなった屈強で荒々しい獣人達と鬼は白炎の熱をその身体で受けながら腐肉を荒らし、



「くっ…!見つからない…!」


「もっと中心に…!!」



 妖精達は『巨躯の死龍』の胸の上で踊る様に光刃を振り抜き銃を放ちながら腐肉を散らし、



「どこだ…どこだ!!」


「魔法が使えたら楽なのにこのままじゃエルダを巻き込んじゃう…!ああもう!!」



 黒豹は自慢の二本の爪で、元勇者は似つかわしくない漆黒の剣で『巨躯の死龍』の腹を破り、



「ない…何処にもないです!!」


「何処かに核が……っ!?」



 戦乙女は不可視の刀で、白い死神は命を刈り取る大鎌で『巨躯の死龍』の下半身を蹂躙して…気付く。



「ま、まさか…頭!?」



 ルマの言う通り胸を核の中心として再生した『巨躯の死龍』…普通なら胸の何処かに核があるはずだが、弱点を晒した上でその弱点をそのままにしておくわけはない、この首から下の巨躯の何処かに隠されていると頭が勝手に考えたいた。



「先入観が…邪魔したっ…!」



 ましてや頭なんてこの巨躯の一割にも満たない小さな隠し場所…生物であれば誰もが弱点となりえるその部分に『巨躯の()()』が最大の弱点を隠すなんてあり得ないと頭が真っ先に除外した答え…その答えを確かめようと白炎に向かってその身体を弾いた時、



『―――――――――ァァァァァ!!!!』


『あガッ!?』


「っ!?え、エルダさん!?」



 耳を劈く高音が響き、目の前に行く手を阻む黄土色の巨大な壁…否、腹から巨大な骨の棘が突き出し赤い雨が唯織達を濡らしていく…。



『ギャギャギャァァァァァ!!!』


『す…まない…うぐっ!?』



 邪魔者を仕留めたとばかりに不快な音を出す『巨躯の死龍』が腹から突き出た骨を戻すとエルダの身体には赤黒い雲が見える程の風穴が開き、皆を巻き込まない様に最後の力を振り絞って泥へ背中から倒れていく…。



「「「エルダ!?」」」


「エルダ!!!」


「くっ…!イオリ!!我々は治療に専念する!!エルダは死なせない!!」


「お願いします!!みんな退避!!!」



 倒れていく中、徐々に元の姿に戻り頭から落下するエルダをキース達の悲鳴にも似た叫びを背にいち早くフレデリカとアンジェリカが掠め取り、押さえつける邪魔者が居なくなった『巨躯の死龍』は失った身体を徐々に再生させながら顔を王都に向けた。



「…?何もしてこない…?」



 ただじっと顔を固定して身動ぎ一つすらしない『巨躯の死龍』に警戒を解けずにいると、髑髏の口が紫色の光を蓄えながらを開いた。



「っ!!ブレスです!!全員離れてください!!!!」


「…!!このままじゃ王都が…僕が防ぐ!!」


「魔法を使っちゃダメだテッタ!!!()()()()()()()!!!」


「任せる!?誰に!!!」


「もう来る!!!いいからこっちに!!!」



 王都に放たれようとしているブレスの盾になろうとしたテッタの手を強引に引き寄せて、余波から守る為に空間魔法で空間を捻じ曲げる様に結界を張ると僅かに見えていた人物に唯織は叫ぶ。



「ターレア王子!!!!見せ場です!!!!!!」


「ああ!!」


「「「「「「!?」」」」」」



 浮いているわけではない、ましてや飛んでいる訳でもない…空を踏みしめ、見えない道をマントを翻し颯爽と駆け抜けるその姿は皆の眼を見開かせるには十分な光景で、



『ッゴアアアアアアアアアアァァァァァ!!!!!!』


「アースウォール…『停止(ステイシス)』!!!」



『巨躯の死龍』からやや上気味に放たれる紫の奔流がターレアを飲み込む瞬間、紙の様に薄い土の壁が挟まり紫の奔流が花を咲かせた光景にテッタだけは酷く驚いた。



「な、何で!?何であんな薄い壁であれが防げるの!?」



 もし自分が防ぐならきっと壁は直撃で分厚いのが五枚以上は必要…なのにターレアはあんな薄い壁で、しかも地面から離れて支えすらない空中で何故防げるのかと答えを求める様に唯織に声を上げると唯織は少しだけ笑みを浮かべる。



「あれが僕との特訓で編み出したターレア王子の『時間停止』っていう血統魔法の応用、『停止(ステイシス)』と『空駆(エリアル)』だよ。原理はとっても簡単だけどね?」


「『停止(ステイシス)』と『空駆(エリアル)』…『時間停止』…もしかして()()()()()()()()()()()から壊れなくて、()()()()()()()()()から空を歩けてる…って事?」


「そう、滅茶苦茶簡単でしょ?今までターレア王子は『止まった時間の中を自分が動く』って考えだったんだけど、それなら『特定の物の時間だけを止める』方が魔力の消費も抑えられるし応用も利くからね」



 今まで無意識に出来てた事だから疑問を持つのも難しい…唯織はアリアの何気ない言葉がフラッシュバックしたのかまた一人でクスリと笑みを浮かべると、薄い土壁の裏でターレアが動いたのを見て眉を顰める。



「あの構え…もうやるつもりですか…!」


「え…?」



 唯織の言葉に自然と視線が吸い寄せられるテッタは今だ衰えない紫の奔流を防ぐ薄い土壁の裏、じっと唯織の愛剣を上段に構えるターレアを見つめ、ターレアはこれからやる事が成功する様に祈りながら全身に力を込めていた。



(絶対に当てる…!ブレスを撃ってる間ならこいつは間違いなく無防備…!!動く前に早く…早く()()()…!!!)


「…え?血?何で…?」


「それは…」



 上段に構えた漆黒の剣をピクリとも動かさず両手から血を流し始めるターレアにテッタは疑問を持ち、その答えを出そうとした唯織の視界に紫の筋を躱しながら駆けてくる二人の姿を見つけ叫ぶ。



「っ!ティリアさん!ティアさん!」


「ティアっ!?魔力切れじゃなかったのか!?」


()()()()()()()()()()!!エルダの代わりにそいつを押さえる!!!」


「雨が降っていれば水人族(私達)の独壇場ですっ!!」



 水を得た魚、もとい雨を得たティリアとティアは身体に潤いと魔力を与えてくれる雨に感謝しながら魔力を起こすと、地面に落ちるだけだった雨粒がその場に留まり二人の背後に形を成していく。



「「『巨水の三腕(ティアリス・リュイン)』!!!!」」


『―――――――ァッッ!?』



 ティリアの第三の腕が『巨躯の死龍』の首を絞め上げて固定し、ティアの第三の腕が顔を握りしめて強制的に口を閉じさせると逃げ場を失った紫の奔流が水の中で爆ぜ…



「ターレア!!仕留めて!!!」


「持つべきものは信頼できる仲間…だな…!」



 肉親が死んでも涙は出なかったのに今は目が熱い…頼もしい仲間達に吹っ切れた笑みを浮かべたターレアは砕け散る土壁に頬を傷つけられながらも姿を晒し、剥き出しになった核を見据え…



「イ…オリィィィィィィィィィィィィィィイイイイイイイ!!!!!!」



 何度も腕と脚を斬り落としてくれた悪魔で、何度も何度も何度も心を折ってくれた死神で…それでも仲間を守る術を教えてくれた殺したい奴で、運命に抗う事を教えてくれた憎たらしい奴で、そして仲間にも明かしていない全てを曝け出した友人であり、救ってくれた命の恩人の名を叫んだ。



「っ!二人ともこっちへ!!巻き込まれます!!」


「「っ!?」」



 その叫びに応える為にティリアとティアに手を翳して強制的に自分の後ろに転移させた唯織も叫ぶ。



「今まで自分を縛り付けてた運命の鎖も!悲しみも!諦めも!絶望も!!自分の手で振り払ってください!!!自分の手で未来を切り開いてください!!!僕に何度もボコボコにされた怒りも殺された恨みも何もかもを思う存分ぶちまけてください!!!」


「ッ!!!!!!!!!!!」



 唯織の叫びに限界まで目を見開き、手から血飛沫が上がる程に力を籠めたターレアは喉を震わせ声で裂く。



「我が名はターレア・ムーア!絶望を知り!絶望に飲まれ!絶望に折れた者なり!そしてこの剣は絶望に抗い道を斬り開く希望の一振り!民よ!絶望は我が退けよう!民よ!!絶望は我が斬り開こう!!民よ!!!絶望に希望の道を開く我に続け!!!」



 口の中に広がる王族と大切な人の血の味…業を背負い、決して歩みを止めない決意と覚悟の味。



「道化に身を窶した我が名はターレア・ムーア!!!英雄へ至る者なり!!!この一撃は英雄の証明ッ!!!!!!!」



 手から流れる血を希望への血路へと変える為にターレアは遂に全身全霊の一撃を『巨躯の死龍(絶望)』に振り下ろした。



「『偽英雄の一撃(イクス・カリバー)』―――――ッ!!!!!!!!!」


『――――――――――――!!!!!!!!』



 振り下ろされた『偽英雄の一撃』…空を裂き、赤黒い雲を裂き、雨を裂き、空気を裂き、音を裂き、森を裂き、地面を裂き…そして英雄の道を示す様に、希望を失い絶望に染まった民の道標となる様に『巨躯の死龍』を斬り裂き…



「ハッ…俺も…死ぬ気になればこんな事が出来るんだな…」



 割れた大地を見つめ、小物でもない、無能でもない、道楽王子でも残念王子でもない英雄は、割れんばかりの歓喜の声を背に、斬り裂いた赤黒い雲から覗く青空を見つめ静かに涙を零した…。

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