王族の雨
『敵襲ー!!!!敵襲だー!!!!!見た事ない魔獣の大群が攻めてきたぞー!!!!!』
「は……始まったですです…!!」
休みで殆ど生徒がいないハルトリアス学園の学園長室…窓から外を見ていたシフォンは徐々に迫ってくる赤黒い雲と何処からか聞こえてくるけたたましい鐘の音で計画が始まった事を悟る。
「み、皆さん!イオリ君とターレア君はいませんが私達は計画を開始します!ターニャちゃん達は小型の魔道具を持ちましたか!?」
「ああ、ちゃんと持ってるぞ」
白と赤を基調にしたハルトリアス学園の制服に身を包んだターニャ達は掌に収まるシフォンの魔道具を見せていく。
「…大丈夫ですです!リーナちゃん達も準備はいいですです!?」
「何も問題ありませんわ」
過保護の結晶とも言える全身鎧よりも凄まじい防御性能を有する黒を基調にしたレ・ラーウィス学園の制服を身に纏うリーナ達も準備万端だと伝えるとシフォンは力強く頷き命令する。
「アリアさんの話だと冒険者と国の兵士の方々が混乱している一般人の方々を避難所であるハルトリアス学園に誘導して最低限の安全を確保する手筈ですです!なのでリーナちゃん達はそれより早く避難誘導をして、冒険者と兵士の方々が避難誘導を開始したら引き継ぎ、そこからはイオリ君とターレア君が来るまで飛行型の魔獣が王都に来るかもしれないので待機の後現れたら撃退!ターニャちゃん達は前線の映像をこの魔道具に送って国民に届け、ターレア君が来たら一緒に前線で戦ってください!」
そのシフォンの命令を聞くと皆は静かに頷き部屋を後にし…
「ふぅぅ…後は…お父さんとお母さんがここに来るはずですです…この騒動に巻き込まれなきゃいいんですですけど…」
完全に王都を覆った赤黒い雲を不安そうに見つめる…。
■
王都の門を守る守衛の誰かが叫ぶ…。
「何なんだよあれ…何なんだよあの化け物は!?」
左右非対称に、生物の形という常識から外れた多くも少なくもある不揃いに生える腕や脚、目も鼻も無く縦に裂けた口、触手のように身体を伸ばしたり縮めたり…木々の隙間から様々な異形の身体を覗かせる常軌を逸した悍ましい化け物達は一つしかない王都の門をじっと見つめていた。
「わ、わからん!!それより何であいつらは攻めてこないんだ!?」
「獲物を見定めてるって事か…?畜生!何でよりによって俺が当番の今日なんだよ!?」
………
「ケッ…あの教師はあんなバケモンまで飼ってんのかよ…本当に魔王なんじゃねぇか…?」
「そう思いたくないが…あんな悍ましい魔獣は見た事も聞いた事も無い…本当に魔王なのか…?」
騒ぐ守衛を眼下に外壁の上から化け物達を見たキースとルマは身の毛を逆立てテッタが言っていた魔王という言葉が引っかかっていた。
「…樹から詳細が届いた。あの化け物達は全部で360体だ」
「360…多すぎるだろう…」
「360も…私達…だけで…?」
「正確には私達とムーア王国の正規軍だけどあのアリア先生が生半可な魔獣を用意するはずないし、あの魔獣達に人を相手にする普通の軍が敵うイメージが出来ない…」
アーヴェントの偵察能力で化け物の数が360体と分かるとエルダ、レイカ、ティアは冒険者がパーティを組んで討伐する魔獣を対人種に特化した軍が敵うはずないと表情を暗くするが…
「あの教師が魔王だろうが、魔獣が見た事も無いバケモンだとか、軍がどうのとかどうでもいい…これからどれだけの軍人が死のうがウチのやる事は変わんねぇ、ウチはターレアの為に戦うだけだ」
ターニャだけは化け物達を鋭く睨みつけていた。
「とっととターレアを英雄にする為に魔道具を起動して映像を映すぞ」
「命令すんじゃねぇ…ってー言いてぇとこだがさっさとやっちまうか」
絶対にこの計画をやり遂げる為に並々ならぬ覚悟を宿したターニャ達はシフォンの魔道具に魔力を流し起動すると赤黒い空をバックに空一面にこちらの様子を伺う化け物達の映像が映し出される。
「っし、これでいいだろ。…にしてもシフォン学園長が作ったこの魔道具…どういう仕組みなんだ…?それに特訓の時のあの黒い板…」
写真を撮るという技術はあっても生の映像を届けるという未知の技術に疑問を抱いていると足元が細かく揺れ始め、次第に馬が石畳を走る蹄の音と武装がぶつかり合うガチャガチャとした音がターニャ達に届く。
「随分はえぇ到着だな…?ん…?お、おいあれ…!」
足元の門を颯爽と通り抜けていく大軍…その先頭に第一王子と第二王子、中程に守れるように国王と王妃の姿がある事にターニャは目を見開いていた。
「お、おいおい…国王達も戦場に出んのかよ…?しかも王妃まで…?」
「…なぁ、おいターニャ…オメェはあの教師から計画について何て聞いた…?」
「…昨日の夜、テメェと聞いたのと同じだ。ターレアを英雄にする為に王都を魔獣で襲ってターレアとウチ達で撃退して…可能な限り死人は出さない様に努力するとは言ってたが…」
「その中に王族が含まれてないなんて一言でも言ってたか…?」
「………言ってねぇ」
「ならそう言う事なんだろ…この計画…まだ俺らが思った以上にヤバい計画で知らされてねぇ何かが隠されてやがる…」
「…それでもウチらはもう止まれねぇ。真相は終わった後にあの教師…魔王に聞きゃあいい…」
自分達が思った以上にこの計画に闇が隠されている事に気付いたターニャ達は陣形を整え化け物達に正対する王国軍を魔道具で映す…。
『我が国の剣よ!杖よ!盾よ!我が国民を穢す邪悪な獣に恐れるなかれ!!』
第一王子アルニクスが剣を掲げ叫ぶ…。
『我らムーア王国の民を守る気高き兵なり!!』
第二王子テルナーツが杖を掲げ叫ぶ…。
『我らの崇高な血は全て民の為に!!』
王妃テルーシャが杖を掲げ叫ぶ…。
『我らの雄姿、シフォン・アンテリラが創造したこの魔道具でムーア王国に住む民と歴史に刻みつけよう!この繁栄の礎となる世紀の一戦、唱えよ聖戦の目撃者達よ!!我らムーア王国は不滅なり!!』
国王クルセントが王杖を掲げると王都が一体になり我らムーア王国は不滅なりと声と地響きが鳴る…。
『魔道隊!!上級魔法の詠唱、発動準備!!重装隊!!魔道隊の盾に!!機動隊!!魔法が放たれたのち全軍で魔獣の掃討を行う!!全軍構え!!』
だが…
『突…』
木々の隙間に身を潜めていた化け物達は姿を完全に現し、
『撃ぃぃ―――――』
声を合図に魔法が放たれ紅蓮の炎が化け物達を蹂躙していくが、声を上げたクルセントは化け物達が放った何かに頭を貫かれ…隣に居たテルーシャと一緒に兵士達に真っ赤な王家の雨を浴びせる事になった…。
『はえ…?な、何この…赤いの…』
『こ、国王様!?王妃様!?』
『み、見ろ…あの化け物共…あの魔法を食らっても無傷だぞ!?!?』
周囲に居た兵士達の様々な絶望交じりの絶叫が響き、前を向いていたアルニクスとテルナーツも後ろで血の雨が降っている事に顔を顰めるとそのまま…
『ち、父上!?母上!?…くっ…機動隊!重装隊!!命が惜しくない者だけ我に続―――――』
『くっ…我ら魔道隊は兄上の援護を行う!!誤射には気を付け―――――』
一歩も動く事なくアルニクスもテルナーツも二人と同じ結末を迎え…
『グルギャアアアアアアアァァァァァァ!!!!!』
『……うわああああああああああああ!?!?!?!?』
たった十数分の間に起きた絶望に屈した兵士達は我先にと門を目指して走ってくる化け物達に背を向けて王都に逃げ込み始めた…。
「マジっ…かよ…マジで王族をやりやがった…」
「…ビビってる暇はウチらにはねぇ。360対7…絶望の中でのみ英雄は生まれる…!!ウチは王都にバケモン達が入れない様に壁を創る!!死ぬ気でやるぞ!!キース!ルマ!アーヴェント!ティア!エルダ!レイカ!」
「…っ…クソが!!ああ!!やってやんぜ!!!ついてこいルマ!!!」
「…ああ!!いくぞみんな!!」
「俺が後ろからサポートしてやる!前衛は前だけ見て背中を俺に預けてくれ!!!」
「ターニャの魔道銃が壊れるまでは私も後ろからサポートする!!」
「ここは私達の死地じゃない…!私も全身竜化は温存する!!アーヴェント、ティア!後ろは任せる!!」
「いこうキリン…ターレアと…仲直り…する為に………えぇ、本気で暴れるわぁ!!!」
そして、英雄と肩を並べる為に英雄達は外壁から身を落とし、絶望を前にたった七人で立ち向かう…。
■
「皆さん魔獣が攻めてきます!!焦らず落ち着いてハルトリアス学園に避難してくださいまし!!」
「避難…ってもなぁ…」
「なぁ…?いくら魔獣が来たからって王都の中まで入ってこないだろ…」
「それにどうせ騎士団とか軍がどうにかしてくれるだろうし、ロイヤルナイツもいるしな。この後の戦勝パレードの方が楽しみだわ」
「…危機感が全くありませんわね…これは今どういう状況なのか体感しないと動きそうにありませんわ…」
大声を張り上げて避難誘導をするリーナ達を失笑する国民達…空が赤黒い雲に覆われていたとしても王都が安全だと、軍や騎士団、ロイヤルナイツがいるからと危機感を一切感じず日常生活を続ける者達に苛立ちを感じるリーナ達。
「…はぁ~…これだから平和ボケした奴らって嫌いなんだよね…んで、決まってヤバくなったら他人を押しのけて自分だけ助かろうとする奴ばっか…」
「悪く言いたくないけど…この平和ボケはシオリが魔王を人知れず倒してくれて平和を守ってくれてた事も関係してるんだよ?」
「うっ…」
「だから僕達は根気よく声をかけてこう?」
「はぁ…仕方ないか…」
テッタに痛い所を突かれ渋々避難誘導に戻る詩織だったが詩織の抱いた気持ちは皆も持っていたのか表情を渋い物に変えて呟く。
「だがこれは大分骨が折れそうだな…ハプトセイル王国なら私達が貴族である事を知っているからもう少し楽なんだが…」
「当主ならいざ知らず、娘の私達がこの国で知られてないのは当たり前。それに今は学生、どっちにしろ意味ない…」
「たらればが漏れただけでちゃんとわかってるさ…」
「でもこれはたらればが漏れても仕方ないよ…ちらほら移動してくれる人はいるけど…」
「うぅ…あ、危ないから避難…してくださいぃ…!」
お年寄りや小さい子供がいる家族は万が一とリーナ達の指示に従って移動してくれているが…
「…ふぅ、これはどうにもならなさそうですね。駄犬が映像を流せば否が応でも危機感が芽生えると思いますのでそれまでは飛行型の魔獣の警戒に専念しましょう」
「…そうですわね。そうしま…?」
リーチェの言葉でどうしようもならない状況に飛行型の魔獣が攻めて来る事を考え警戒に移ろうとした時、遠くから馬が石畳を叩く蹄の音と武装がぶつかり合う音が響き始め、国民達は歓喜で声を上げる。
「おおおお!!!王国軍だ!!!」
「お、おい!?国王様に第一王子、第二王子…!更に王妃様までいるぞ!!」
「王族の方々が私達の為に…!!頑張ってくださいー!!!」
様々な歓喜と激励の言葉を受けて王国軍が道を通り抜けていくと王族が自ら私達を守ってくれるなんてと涙を流し始める者達まで出始め、遂にリーナ達の避難誘導に耳を貸す者はいなくなる…。
「これは完全に打つ手無しだね…リーナ、早速僕達は王都が見渡せる時計台の上に移動しよう。…リーナ?」
「…いえ、これからが本番ですわ」
「え…?どういう事?」
「皆さん!ちょっとこちらに来てくださいまし!!」
「うわっ!?」
賑わう国民に反して表情を厳しいものに変えたリーナは近くのテッタの腕を掴み人目に付かない路地裏に引っ張ると皆も路地裏に姿を隠した。
「いきなりどうしたのリーナ…?」
「どうしたもこうしたもありませんわ。今の軍の進行を見て何かおかしいとは思いませんでしたの?」
「え…?何処かおかしかった…?」
「…シャル、リーチェ、アンジェ、フリッカはわかりますわよね?」
何処がおかしかったのかわからないテッタは首を傾げシャルロット達を見つめると少し考え込みゆっくりと口を開く。
「…そうだな、わざわざ魔獣が攻めて来ただけで王族は前線に姿を現すはずがないな」
「それに王妃も何故かいた。不可解だし、守りの手が増えて邪魔」
「武に明るいアルニクス第一王子だけが先陣を切ってるだけならおかしくないし、手柄を取られまいとテルナーツ第二王子が動く可能性も考えられなくはないけど…国王と王妃まで動くのはあまりにも不自然過ぎるね」
「…」
「そうですわ。それに今までわたくし達が行っていた避難誘導…余りにも無駄ですわ」
ハッキリと今までしていた避難誘導が無駄だと言い切るとせっかく頑張っていた詩織は少しだけ眉を立てる。
「無駄?一応何人かは避難してくれてたじゃん。無駄にはなってないっしょ?」
「そう言う事を言いたいわけじゃありませんわ。シオリはこんな非効率的な事をアリア先生がすると思うんですの?」
「非効率…まぁ、確かに非効率だったけど…」
「で、でも…確かにリーナの言う通りです…この程度の避難誘導ならわ、わざわざアリア先生は私達に言わないと思います…」
「ティリアの言う通りですわ。皆さんには『可能な限り死人は出さない』とぼやかして言っていましたが、アリア先生はわたくしに『力を持たない一般の方々は絶対に襲わない、国を守る為に命を落とす事を覚悟した軍人と金銭と自身の命を秤にかけた者達のみの被害に抑える』と言いましたわ。そんな事を言っていたのにも関わらず、王都の中にいる力を持たない一般の方々を死なせる可能性がある魔獣…飛行型の魔獣を王都に侵入させるわけがありませんわ。それにアリア先生の口から避難誘導とは言ってましたが飛行型の魔獣がいるかも知れないと言ったのはシフォン学園長の後付けですわ」
「確かにアリア先生の事だから伝え忘れは無いと思うし…アリア先生の事を全面的に信頼してる僕達にしかわからない事だね。…でもそれがさっきの進行と避難誘導が無駄で、これから本番とどう関係してくるの?僕達平民からしたら国王とか王子とか、貴族の人達が前線にも現れる事はあるんじゃないかなって思うんだけど…」
アリアを全面的に信頼しているからこそ考えられる今までの無駄…そのテッタの疑問に答える様にずっと口を閉じていたリーチェが呟く。
「この場合の最効率…国王、王妃、王子二名の戦死、からの新たな国王誕生…今回の場合はターレア第三王子の事ですね」
「えっ…!?」
「そうですわ。国王、王妃、王子の二名が戦場で命を落とせば必然的に王座が不自然じゃない形で空き、尚且つターレア王子が今後命を狙われる心配がなくなり、更にシフォン学園長が作った魔道具で国民にその姿を見せれば否が応でもこの騒動を解決させるターレア王子がこの国の英雄兼国王になりますわ」
「うぇ…胡桃ちゃんマジか~…ほんっとうに何でもしちゃうんだね…」
「と、という事は…リーナのさっきの本番というのは…」
「ええ、この後ターニャさん達が空に前線の様子を映し、国の象徴とも言える王族四名が戦死してしまえば王国軍は敗走する可能性…即ち王都に駆け込む可能性が出てきますわ。そして国を守るはずの国王達と軍のそんな姿を見れば守られるはずだった住民はパニックを起こしますわ」
リーナとリーチェの推察が正しかったと答え合わせをする様に空に前線で化け物達を対峙する軍の姿が映し出され、国民は未知の現象に驚きながらもその映像に映された国王達の雄たけびと雄姿に声を上げ、大地を揺らす様に力強く片脚を踏み鳴らし始める。
『我らの雄姿、シフォン・アンテリラが創造したこの魔道具でムーア王国に住む民と歴史に刻みつけよう!この繁栄の礎となる世紀の一戦、唱えよ聖戦の目撃者達よ!!我らムーア王国は不滅なり!!』
「っ…最悪のタイミングですわ…!もっと早く気付いていれば冒険者ギルドに行って避難誘導を強引に依頼出来ましたのに…!!」
「ど、どうする!?」
「…この中で一番足の速いリーチェに冒険者ギルドまで走ってもらい、パニックになった際に人とぶつかったり転んで踏まれて怪我をする人が出るかも知れませんので、こことここ以外の避難誘導の人員を増やすのと同時に回復魔法を使える冒険者を派遣するようギルドを説得してくださいまし!」
「わかりました」
リーナの言葉を聞いて妥当だと判断出来たリーチェはすぐさま冒険者ギルドへと駆け出し…
「次に足が速いアンジェは生産者ギルドに怪我をした人を治療するポーションの提供の掛け合い、フリッカは王城に行って門番でも誰でもいいので前線に出ていない兵を避難誘導と安全確保の人員に割り当てる様ダメ元で掛け合ってくださいまし!」
「了解した」
「わかった」
望みが薄くても備えられるならとアンジェリカとフレデリカは背中に妖精の羽を生やして姿を消し…
「シオリはすぐにハルトリアス学園に戻って校庭に追加の人員を受け入れられる様にとにかく大きく崩れない避難所と負傷者を分けられる場所を上に向かって作ってくださいまし!」
「横に狭けりゃ階層式にして縦に簡易避難所と治療所を増設するってわけね。おっけー!詩織ちゃん承り!」
「ティリアは校門前を氷魔法で塞いで駆け込もうとする住民と兵士達を抑えて落ち着いて避難できるようにしてくださいな!焦れば被害が大きくなりますので聞き分けなければ力尽くでねじ伏せていいですわ!」
「わ、わかりました!」
「テッタさんはゴーレムを作って血統魔法で避難誘導の人員確保と負傷者がいれば重症、軽傷で切り分けて優先順位が分かる様にして治療効率化を上げてくださいまし!」
「わかった!」
詩織の手を握り一緒に転移魔法で移動するテッタとティリアを見送り…
「シャルは万が一の時にすぐ動けるようわたくしについてきてくださいまし」
「わかった。とりあえず時計台の上まで一緒に行こう?後ろ乗って」
「助かりますわ」
今最善だと思える行動を指示しシャルロットのアルメリアに腰を下ろしたリーナは空に映された映像を見つめ…
「わたくしに今出来る事は…」
王族の戦死、逃げ惑う軍、混乱に飲み込まれ狂乱する住民、絶望に立ち向かう七人の背を見つめ自分が今出来る最善を思案する…。




