09 マダムシスレ
スイーツ横丁は大盛り上がりだったそうだ。
『家族で作ろう、きらきらスイーツ』
普段はこの街在住の一般のご家族が楽しくお菓子作りする催し。
今日はなぜか、貴族のご子息やお料理学校の生徒さんたちの本気の戦場に。
それというのも審査員に大物が一名。
マダムシスレ
若くしてスイーツ界を席捲した時代の寵児
その大胆で繊細なスイーツの数々は業界のみならずファッション界や王宮にまでファンを広げているとか
「お母さん、この人っ」
マクラが持ってきた本『最新スイーツ100選』の表紙にも、
『監修:マダムシスレ』と金箔押しである。
で、たまたま出場キャンセル枠を引けたアイネ・マクラペアが作ったお菓子が優勝しちゃった、と。
「私はほんのちょっとお手伝いしただけ、マクラちゃんのケーキ、本当すごかったんだからっ」
幌馬車モードのシブマ1号を模したロールケーキに、チーム五人全員の飴細工の人形。
「そっか、幌馬車モードだけど、ちゃんとシジミ人形も作ってくれたんだね」
恥ずかしそうに照れるマクラをぎゅっと抱きしめるシジミは泣きそう。
「どうしましょうモノカッ、涙腺攻撃力が圧倒的でパネェ、ですっ」
「マクラちゃんはお料理だけじゃなくてお絵描きや工作も大好きですものねっ」
いつのまにかお風呂上がりのノルシェも、って、
バスタオル一丁かよっ。
なんだよそれ、私ちゃんと胸元にストッパー完備してますからみたいに見せつけやがって、
どうせ私はノンストッパーでバスタオルもストーンな、危険な突起が皆無の衝突安全ボディだよ、
「はしたないぞノルシェ」
脱衣所にぶち戻してやりましたともさ。
「ところで、そのマクラ特製シブマケーキは?」
「ごめんね、みんなに見せたかったんだけど、マダムシスレとかいう人がどうしてもって」
残念そうなアイネを励ますように明るいマクラ。
「あそこにいたみんなが喜んでくれたからいいのっ」
「お母さん言ってたもん、今日面白くなかったら明日面白くすればいいって」
「もっとスゴいシブマケーキ作るからみんなで食べよっ」
シジミに続いて涙腺決壊の危機だったんで、マクラに抱きついてごまかしましたよ。
いつのまにかマクラを中心にチームモノカ総員抱っこっこ状態です。
こらノルシェ、石けんの香りを振りまきながら抱きつくんじゃありませんっ。
ところで、今お腹が鳴ったのは誰だい?