06 大道芸
クロの隠れ家を後にした私は、街中を散策しながら集合場所の宿を目指した。
なかなかに活気がある商店街に入ると、何やら人だかりが見えた。
自分の背の低さを少々恨みながら、人混みの隙間から覗いてみる。
可愛らしいメイド姿の少女が、スカートの下から様々な品物を取り出すたびに歓声と拍手が湧き上がっている、って、
「何をやっているのかな、シジミ」
「ハロー、マイマスターモノカ、さま。 ただいまシジミのエンターテイメント魂が炸裂して喝采なう、なの」
そういえば、シジミのスカートの中はお荷物出し入れ自在なマジックバッグ的な空間となっている。
確かに、子供たちはあり得ないような大物がスカートの下から出てくるたびに大喜びだが、
大多数の男たちは、シジミのスカートがめくれ上がるキワどい姿に大喜びなのではなかろうか。
慌てて前に出て、危ない大道芸を終幕させた。
「チームモノカの一員として、もっと恥じらいを持った行動をとって欲しいのだが」
「ノープロブレムですマスターモノカ、さま。 アリシエラママ入魂のモーションプログラムで全年齢向けチラリズム以上のサービスは殿方たちにお見せしませんことよ、うふっ」
「丸見えじゃなくても何かイヤなのっ。 おんなじ身体なんだから、もっと自分を大事にしてくれないと」
「了解ですマイマスターモノカ、さま。 束縛される快感を胸に秘めながらご命令を遂行する私をお許しください、ませ」
「あと、この機会に呼び方も修正しちゃおっか。 もうチームの一員なんだからマイマスターとかさまとか禁止の方向で」
「それは危険が危ないの、です。 呼び捨て呼称ルーチンの作動は頭部への大量の血流の急増をうながしちゃうので冷却が間に合わずオーバーヒートからの失神もといフリーズの可能性が無限大、なの」
「慣れるようになるまで頑張れ、なのっ」
「メイド使いが乱暴で強引なご主人さまは嫌いじゃないのです、モノカ……」
何か、新しい世界に目覚めちゃいそう、なの。