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04 悩み


 想いを、告げた。


 あの秀逸なパーティーメンバーたちのリーダーとしてふさわしくあろうと努力するも、空回りとやらかしで苦悩する後悔の毎日。


 愛娘マクラの悲鳴が解放してくれた私の全身全霊でも、師匠の槍を失いアイネを守れなかった。


 そしてシジミの加入。


 生みの親のアリシエラさんによれば、シジミは仲間たちの技の全てを納めているとのこと。



 私は、リーダーで、良いのだろうか。



 強く優しく麗しい仲間たちは、まるで奇跡のようにチームに集ってくれた。


 私は、どうなのだ。



 真っ直ぐ私を見据えながら聞いてくれていた先生が、問う。



「リーダーは一番強くなければなりませんか」


 強さは相対的なものだ。


 見様有り様によって刻々と変化するものに一番は無い。


 無敵の存在などというものなど幻なのだということは、馬鹿王子との戦いで身に染みている。


 それでもやはり、何かを失うことなど到底耐えられぬ私は、リーダー足り得るのだろうか。



「リーダーは一番優しくなければいけませんか」


 優しさがパーティーを窮地に追い込むような事態となった時、


 きっと私は何も出来ずに立ち尽くして、ただ泣くばかりとなるだろう。


 非情さや冷静さをいざという時に行使出来ない腑抜けなど、リーダー足り得るのだろうか。



「リーダーは一番麗しくなければ駄目なのですか」


 奇跡のような宝石たちが結集した我がチームモノカ。


 ノルシェのいじらしさ、リリシアさんに追いつかんばかりの凛々しさ。


 アイネのはち切れんばかりの若さ、リノアさん譲りの気高さと気品。


 マクラの愛らしさ、『女神』保有者にしてその力の執行者足り得る無限の優しさ。


 シジミの危うげな魅力、受け継いだ力の数々を更なる高みへもたらそうとする真っ直ぐな姿勢。


 自分が何を持っていて何が足りないのかを理解することすら拒んでいる私は、リーダー足り得るのだろうか。




 先生が、諦めたように語りかけてきた。


「たぶんだけど、今の私の気持ちがあの娘たちの気持ちそのものなんだろうなぁ」


「何だか、危うくて放ってはおけない感じ。 そりゃあそばにいて一緒に旅したくもなるよね」


「本当、君たちがうらやましくしょうがないよ」



「危うい、のですか」


「もし今、君の悩みを全て解決してあげるからその身を捧げなさい、って言ったら簡単に堕とせそうじゃないか。 だから、危うい」



「放ってはおけない、のですか」


「あの娘たちの優しさと人助け精神が筋金入りなのはモノカさんが一番ご存知だろう。 目の前にこんなに危うい乙女がいたら放っておけるわけないじゃないか」



「それって……」


「モノカさんが悩めば悩むほど、あの娘たちは心配して近寄ってくるわけだ」


「ひとつ悩みを解決してカッコ良いところを見せれば、あの娘たちはもっと君が好きになって近寄ってくるわけだ」



「つまり……」


「モノカさんがこの状況を放り出して逃げ出さない限りは、ずっとこのまま続くだろうね」


「そして君はあの娘たちにベタ惚れだから自分から別れるなんてことは有り得ない」



「結局……」


「モノカさんは貴重な休日をおのろけ語りで過ごして、私はせっかくのデートの機会を失ったっていうことになるね」




「面目ない、です」


「いいってことさ。 貴重な無乳同盟の同志のためとあらば、ね」


「今すぐその同盟を脱退させてください」


「そんなモノカさんに、良い新薬があるのだが」



 その話、詳しくっ。



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