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22 仲間


 ノルシェの短剣が鍛冶屋さんから戻ってきました。


 少しくたびれていた愛刀の復活した輝きにノルシェ大満足。


「おかえり私の相棒、やはりリリシア様からお預かりした細剣とお前がそろっていないと心細くてねえ」


 知ってるんですよ、その愛刀の銘は『リリシアン』


 いつも寝る前に頬ずりしていたこともね。


 今晩からは思う存分に頬ずりなさい、我が永遠の誓いの騎士。




 アイネはちょっと不機嫌。


 街に買い出しに行った時、元ファンクラブ会員に見つかって追い回されたとか。


 ギルド公式ファンクラブがあったことはびっくりだけど、こうも有名税的厄介ごとが続くと容姿を変貌させる隠蔽魔導具の準備を真剣に考えないと、ね。


「他人事みたいに言ってるけど、モノカも危ないんだからねっ」


 何をおっしゃるアイネさん、私なんかが有名税をって、


 なんすかそのチラシは!



『新刊案内:孤高の特使騎士モノカ、その知られざる素顔に迫る問題作、近日発売予定』



 うぉい、なんだよそれ、許可も許諾も許した覚えないぞ。 もしかして異世界は著作権も肖像権も治外法権なやったもん勝ちの世紀末状態なのかよっ。


「その出版社って、このあいだのマダムシスレの事件で重役さんが逮捕されたところじゃなかったっけ」



 ほう、報復ですか。


 よござんす、受けて立つのが女の花道って、


 なんだい、マクラ。


 お母さんは今、やる気スイッチが入ったばかりのクールな槍使い、売られたケンカは百倍返しって、



「お母さん、クロ先生にご挨拶っ」



「長々と世話になったね、みんな」


「いつでも大歓迎ですよっクロ先生っ」


「また美白化粧術のこと教えてくださいねっクロ先生っ」


「お母さんを元気にしてくれてありがとうございますっクロ先生っ」


「あーもうっ、可愛いなっ。 どうだろうモノカ、おひとりくらいお持ち帰りしても良くはないか?」


「良からぬ考えはそれくらいにしといて、ありがとねクロ。 これからもチームモノカをよろしくだぜ」


「おやすい御用さ。 ただしみんな、くれぐれも体には気をつけるんだよ。 間違っても『エリクサー改』のご厄介になどならないようにね」


「あれの効果はこの目でしかと確かめたけど、若返りが必要なメンバーはチームモノカにはいないよ」


「何やら誤解があるようだが。 渡したバッグに仕様説明書が入っているから、薬を使う前にはちゃんと読んで用法・用量を絶対に守る事を厳守だからね」



 クロから渡された新薬各種入りのマジックバッグを掲げながら、最後の挨拶。



「またねっ」 ×四人



 漆黒のローブをまとった闇医者が見えなくなるまで手を振る四人。



「さてと」


 幌馬車モードのシブマ1号に近寄る。


 御者席に置かれている板状の魔導具から、すすり泣く声。



「クロ、行っちゃいましたよ、シジミ」


 クロと別れたくないと駄々をこねたシジミは幌馬車状態に己を固定した、いわば引きこもり状態。


 始めの頃は診察を嫌がってクロから逃げまわっていたシジミが、いつのまにやらすっかり懐いてしまって今では駄々っ娘引きこもり。


 これもこの娘の成長なのかも知れぬが、お姉さんとしては何とかせねばならぬ。



「どうしますかシジミ、今ならまだクロに追いつけますよ」


『モノカのいじわる』



「知らなかったんですかシジミ、可愛い女の子たちを無理やりさらってきてあんなことやこんなことをしちゃうオゲレツ大悪党が、このクールな槍使いモノカなんですよ」


「早くここから逃げ出さないと、あっちの世界仕込みのワンダフルテクニックで可愛いシジミが恋の奴隷になっちゃいますよ」



『どうしましょうあなた、アイネが恋の奴隷にされちゃうそうですよ』


 ?



『オゲレツ大悪党と一緒の旅は少し困るかな』


 ??



『女の子たちをさらうとは、騎士として断じて見過ごせんなっ』


 !



『私のこの身体にもそのワンダフルテクニックとやらをぜひっ』


 !!



『話に聞いていたよりも、なんだかずいぶんと元気そうですよぅ』


 ……



『シジミは言葉の暴力には屈しないのですよ、モノカ』


「どうして懲りないんでしょうねっ、モノカって」


『耳が痛いんじゃない? アラン』


『気持ちは良く分かるが、頑張れっモノカさん』


「大丈夫だよっお父さんお母さん、オゲレツ大悪党は真っ赤になってしゃがみ込んでるっ」


『アイネさんはもうとっくに恋の奴隷ですもんねっ』


『シジミさん、ちゃんと後でモノカさんにごめんなさいするんですよ』


『了解ですっメイドマスター。 それでは皆さま、ご支援ありがとうございました、です』



『またねっ』 ×10人



「お母さん、大丈夫?」


「クロ、まだその辺にいないかなぁ、マクラさんや」




 私の名前は秘崎萌乃果。


 仲間って、いいよね。



 あとがき


 リヴァイスという世界は、ひとりの少年がプレイしている仮想現実ゲームです。


 彼は長い時間この世界を旅するうちに『鏡の賢者』と呼ばれる存在になりました。


 お供のメイドさんは『伝説のメイド』と呼ばれております。


 ここで暮らしている人々はいわゆるAIですが、それなりに大変なこの世界を楽しく生きているみたいです。


 リヴァイスの物語は、そういう人々のあれやこれやを短編として紹介するものとなりそうです。




 iPadのメモ帳につらつら溜め込んでいたショートストーリーや小ネタをひとつの世界にまとめようとしたら、こういう設定になりました。


 整合性や何やらいろいろアレですが、お話しがまとまり次第投稿したいと思っております。



 楽しんでいただけたら幸いです。


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