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16 感謝


 みんなで、和気あいあいとお食事。


 ノルシェもアイネも、普段通りに戻った私を見てひと安心。


 彼女たちがクロに向けているのは感謝のまなざし。


 私は平常心で、出来るだけ普段通りに振る舞う。


 なにせ今この場は、隙を見せれば甘やかされるという一触即発の地雷原。


 クロは甘やかしがご褒美だなんて言っていたが、私に取ってのご褒美はいつも通りのチームモノカ。


 この平穏を死守するために、頑張れ私の鋼の自制心。



 マクラはたぶん気付いている。


 なにせチームのお母さん。


 最年少なのに、気配り・気遣い・空気読みの能力は半端じゃない。


 ホントは私がお母さんなのに、いつも甘えてばかりでごめんよ、マクラ。


 今回の件で、お菓子作りが嫌いにならないと良いな。


 もし良かったら、シブマケーキ、後で一緒に作ろうね。



 くるくるお給仕のシジミを、そこはかとなく怪しいまなざしでチラ見しているクロ。


 無乳同盟スカウトの件なのか、


 それとも人外の存在に興味が尽きぬのか。


 食後にでも、ちゃんと聞いてみよう。


 もし診察のためとか言ってベッドに横たえたシジミの裸身を見ても、


 どっかで見たよな真っ平らボディしか見れんからね。



 食後はみんなで後片付けをして、今はまったりお茶の時間。



 そろそろクロと、シジミの件で話でもと思っていたら、


「ちょっと用事を思い出したから、後でまたね」


 そそくさと、クロが退散。



 何となく、分かった。



「毎度さまでーす」


 やっぱり来たよ、変な転送おじさんメイジこと、藪雨銘寺。



「相変わらずすごいですね、チームモノカ」


 ?



「ほら、これ」


 手渡された紙っぺらは、号外?



『特使騎士モノカ、スイーツ業界に巣食う悪女を叩っ斬る!』



 新聞は無いのに号外はあるのね、って、なんすかこの見出しはっ。


「ほれ、例のマダムシスレでしたっけ」


 あれっすか。



「お菓子のレシピをあちこちの地域から集めていたそうなんだけど」


 ほう。



「そういうのって徒弟関係の一子相伝とか代々村に伝わる秘伝とか、結構スゴいものもあるんですって」


 ほほう。



「で、欲しがりマダムが無理やり秘密を手に入れるためにやばい連中と手を組んだらしいんです」


 ほうほう。



「交渉や脅しだけじゃなくて、暴力バリバリのマジでヤバい連中」


 ……



「マダムはすっとぼけてたけど、裏では洒落にならないこと、してたみたいです」


 …………



「で、マダムのボディーガードたちが、モロその手の一味の関係者だったらしくて」


 ………………



「芋づる式に組織の深いとこまで一網打尽ですわ」


 まじっすか。



「そいつらだけじゃなくて、王家で闇資金を出していたパトロンとか製菓業界の大物とか出版業界の重鎮とか、とにかく大捕物で大忙しなんですよ、まさに今ですけど」


 こんなとこで時間潰してていいんすか。



「クロ、こちらにお邪魔していませんでした?」


 ついさっきまでいたんですけど……



「あいつに会ったら伝えてくれませんか」


 なんすか。



「シルリちゃんの村を襲った連中とお婆ちゃんちでクロたちを脅した連中、丸ごと片付いたよって」


 ……



「それじゃ、急いでるんで、また後で」



 行っちゃったよ。



 なんだよ、そんな大事なこと私なんかに丸投げして。


 それだから駄メイジなんだよって、



 この気配……



 大きな木の後ろ、肩を震わせ、声を殺して、泣いている、クロ。


 今の私に出来ることは、クロにしてもらったことそのまま。



 ぎゅっと、抱きしめる。



「済まない、モノカ」


 今だけ、甘やかしますよ。



「本当に、あの駄メイジは……」


 さすがは同志、考えることが一緒。



「ありがとう、同志モノカ」


 落ち着いたクロと、仲間たちの元へ。



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