10 入浴
お部屋に運ばれてきたお料理の数々に、みんな大満足。
食後は自由時間。
マクラがアイネを連れて宿の中を探検に。
マクラが探検を口実に宿のサービス各種を目を光らせてチェックしているのはバレバレ、
さすがは宿屋のひとり娘、もうすぐひとり娘じゃなくなるかもだけど。
お風呂は、さすがに全員一緒は無理なので、各自随意に。
現在、ノルシェとシジミが入浴中。
ノルシェめ、今度バスタオルテロを起こしたら剥ぎ取って先っちょピンポンダッシュの刑だ。
お風呂上がりのノルシェはほんのりお色気度アップのしっとり乙女。
今回はちゃんと着るもん着てやがるぜ、あんにゃろ。
「シジミが緊張した顔で話しかけてくるんで何事かと思ったら、これからは呼び捨てでお呼びすることをお許しくださいませ、ですって」
「お顔が真っ赤っかで、すごく可愛らしかったですっ」
情景が目に浮かぶようだねぇって、シジミはどうした?
「アイネが来るまでお風呂で待機だそうですっ」
アリシエラさん謹製の防水ボディは優秀だねぇ。
「モノカはまだ入らないのですか?」
今日は最後にのんびり入りたいですね。
アイネとマクラがご帰還です。
「マクラ、お母さんと入るっ」
マクラがご機嫌だということはお宿チェックは合格みたいですね。
「お先しまーすっ」
ゆっくりシジミと語り合ってきてくださいな。
「キャーッ、シジミちゃん!」
うぉい、どしたアイネッ。
浴室では、ぐったりシジミを介抱している大慌てアイネ。
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バスタオルに包まれてベッドに横たえられたシジミ、
「申し訳ありません皆々さま、です。駄メイドシジミを叱ってください、ませ」
「のぼせたの?」
額は、まだ熱い。
「許容熱量を見誤るとは一生の不覚、なの。ぜひきっつい罰をお与えください、です」
「そうだね、無茶してみんなに心配かけたんだから、きっつい罰をね」
みんなの非難のまなざしを無視して、
「これからマクラはシジミお姉さんって呼ぶのを禁止!」
「シジミちゃんって呼ぶこと」
一同、きょとん。
「お風呂でのぼせるなんてマクラでもやらないよ」
「つまりマクラの方がシジミよりお姉さんだから、マクラは妹をシジミちゃんって呼ぶこと」
「分かったよお母さん、マクラがんばってシジミちゃんのお世話するねっ、だって私お姉さんだもんっ」
頼むぞマクラ、チームモノカのお母さん。
「私にとっては今まで通りですねっ。可愛い妹分ですっ」
頼むぞノルシェ、ちなみに私が長女だからな。
「もう、おっちょこちょいなところまでモノカにそっくりなんだからっ」
頼むよアイネ、ってそんなこと言っちゃっても良いのかな、自分の格好のこと忘れてないかい。
「はっくしゅっ」
アイネのくしゃみとともに、身体に巻いていたバスタオルが、するりんと落ちた。




