カフェにはもう1人の可愛い子
中に入るとそこはとてもおしゃれなカフェだった。周りを見ると明らかにカップルであろう組がチラホラと見られる。自分達も案内された席に着く。
「こちらのお席へどうぞ…」
「いいカフェで良かったな…オシャレじゃないか?」
そう言いながらセシルの方に目を向ける。その時横から声がかかった。
「…ありがとうございます。実はここ、私の実家で…」
驚いた。この店の看板娘といった所だろうか。よく見たら普通に人間だし可愛い。先を巻いた黒髪に黒目が大きな瞳。うん。可愛い…
「…今航平さんは脳内で(子供を)作ってワ○ワ○!の
音楽が頭に流れましたね?」
「流れてねえよ!!ワ○ワ○さんに謝れよ!」
突然の下ネタに驚いた。というか実際は言ってないんだけど。多分こいつの頭の中は考えているだろう。
「…そういうのは。ここでは言わない方がいいと思うよ?」
顔を赤らめて横から躊躇いがちに声をかけられる。うん。可愛い。この子は純粋らしい。
「なるほど…ボ○リも共演するんですね…」
「ボ○リ君って誰だよ!!せめてゴ○リ君にしろよ!!」
…ボロリくんとは誰だろうか?おそらく間違いなく下ネタにだろう。
「え?秘部を常に晒したド変態ですが…」
疑うまでもなくド下ネタだった。
「はぁ…」 思わずため息が漏れてしまう。
「なるほど、航平さんが一物を出してボ○リ君として共演するんですね?」
「共演しねえしさせねえよ?!」
思わず店内にも関わらず叫んでしまった。
その時肩をある人物に叩かれた。
「…あ、すみません…うるさくしちゃって…」
後ろを見るとそこにはガタイの良いおじ様が立っていた。
「…てめぇ。俺の娘に何しようとしてんだ…?」
…どうやらお父様らしい。
「いや、ちょ…その…こいつが…」
「…ちょっとこい。」
そのまま店の裏側に連れてかれる。何をされるんだろうか。
…殴られた。思いっきり。右ストレートで。
「俺の可愛い娘に何してくれるんだてめぇは?!次やったらぶち○すぞ!!」
…とてつもなくお怒りだ。この人は多分親バカなのだろう。確かにあの子も可愛いけど。
そんなこんなで右ストレート1発と凄まじい一喝を買い席へと戻る。
「…何をされたのですか?まさかナニをお尻入れてナニをしてきたのですか?」
「…なんもしてねえよ。」
こいつのせいで自分が殴られたため何も変わらないコイツに少しイライラしてきた。
「そんなにイライラしてると良い子供も生まれませんよ?ほら。いつもみたいに私の胸を揉んで…」
「うるせぇな!!1回黙れよ!!」
…しまった。イライラに任せて口が滑ってしまった。
「…すみません。ちょっと外に出てきます。」
「あ…ちょ。おい!!」
手を伸ばしたが行ってしまった。大丈夫だろうか。
「…行った方がいいと思うよ…?よく分からないけど…」
横で看板娘の女の子に声をかけられる。そういえばこの子の名前は何なのだろう。
「今俺が行っていいのかな…先に怒鳴ったの俺だし。」
「辛い時ほど好きな人に傍にいて欲しいものだよ…?女子は。…と言っても私は好きな人いないから分からないんだけどね…」
そういう物なのだろうか。確かにセシルが去ってしまって自分自身寂しい気持ちもした。今は考えてる暇は無いんじゃないだろうか。
「…俺、行ってくるわ。」
「はい。…戻ってきたらゆっくりお茶してくださいね?」
その言葉に微笑みをかけ椅子から立ち上がる。どこに行ったのだろうか。まだ近くに居てくれ。頭の中でそんな事をめぐらせながら俺は走り出した。