エルフはエロとトンチンカン
「ある日目が覚めたらそこは日本のようで日本ではない場所だった。」
こんな話を聞いて信じてくれる人はまず居ないだろう。
俺の名前は杉村 航平 平凡な大学2年生…のはずだった。
「…ここはどこだよ!!!」
目を覚ました途端。俺は公園のベンチに寝ており、周りは明らかに日本なのだが居る人種が…見たことの無いものばかりいる。エルフに漫画やアニメなんかでも見る獣人もいる。だが、もっと分からないのは俺のすぐ横に座っているエルフの可愛い少女である。白髪に黄緑色の綺麗な瞳。何故ここにいるんだろう。
「…目が覚めましたか。ご主人様。それでは私達の愛の巣へ行きましょう。」
何を言ってるんだろうか。突然の言葉に頭痛がしてきた。
「…え?ご主人様?愛の巣?何を言ってるのかわかんないんだが」
「…家に帰って私と子作りしようと言っているのです。恥ずかしいので言わせないでください。」
ぶちまけたよこのエルフ!!せめてオブラートに包めよ!!清純そうに見えてどうやらこの子、普通では無さそうだ。
「言わせてねえよ!!勝手に言ったんだよ!…それで君は俺の隣で何をしてるんだ?」
「え?俺の隣でナニをしてるんだって?…そんな事してませんよ。恥ずかしい人ですね。」
本気でナニについて何を言ってるんだろう。
「言ってねえよ!お前の頭が1番恥ずかしいよ!…で、何をしているんだ?」
「…だからナニはしてませんよ。」
しつけえよ!!天丼かよ!…あ、天丼とは同じボケを繰り返すことです。って俺は誰に説明しているんだろう。俺まで頭がおかしくなったのだろうか…
「はぁ…いいや…。で、ここはどこだ?どうも俺が知ってる日本とは違うんだが。」
「日本?ここはJapanです。」
もう突っ込むのもめんどくさい…これから大丈夫だろうか。
「…一応。確認のためだ。織田信長って知ってるか…?」
本当にここは日本なのだろうか。確認のため簡単な武将を上げてみる。
「織田信長…?変なことを言う人ですね。織田信短なら知ってますが。
のぶたんですよ。のぶたん…」
「知らねえよのぶたん!!可愛すぎるわ!…じゃあ織田信長は家臣に下克上されたんだよな…?その家臣の名前は?」
どういう事だろうか。こいつがふざけてるだけだろうか…再度確認してみる。
「あぁ…暗智 闇秀ですか。そんな事を聞いてどうしたのですか?」
「誰だよそいつ…ただの根暗野郎じゃねえか!」
俺のツッコミに何も動じず首を傾げる。ふざけて言っているつもりは本人は無いようだ。
「…最後の質問。その下克上された時の有名な出来事は?」
「なぜそんなことを聞くんですか。変態寺の話ですよね。
…そんなこと聞かなくても貴方なら相手しますが…」
「それはただの変態しかいねえ寺の話だよ!!…それは。マジか?…じゃなくて!!」
一体どうなっているのだろう。…そして一瞬期待してしまった俺がいたことは見逃していただきたい。
「…はぁ…仕方の無い人ですね。我が家へ案内します。着いてきてください。」
我が家…?この世界には俺の家があるのだろうか。とりあえず着いていく。
「お待たせしました。ここが今日から貴方の家です。」
案内された場所は完全に街に建っている怪しい光のホテルである。休憩一時間6000lilyと書いてある。なんだか割高に見えるのは気の所為だろうか。というか問題はそこじゃない。
「ラ〇ホになんか住んでねえよ!!どんだけヤリてぇんだよ!」
「…失礼致しました。間違えました。」
絶対わざとだ…。先が思いやられる。また道案内をされる。
「…何処まで続くんだ?」
さっきから大分歩いている。先程から森に入り結構進んできたような気がする。
「もう間もなくです。…着きました。」
本当にものの5分程度で着いた。そこには木でできた家が立っており森と相まって立派に見える。
「こちらが森のラ〇ホです。」
「やっぱりラブホなんじゃねえかよ!!」
そろそろ声が枯れてきた。そして思わず隠すのを忘れてしまった。こんなやり取りがいつまでも続くんだろうか。
「冗談です。本当に我が家です。どうぞお入りください。」
扉を開かれ中へ案内される。恐る恐る入るとそこはしっかりと整理され、暖炉がありとても綺麗な室内であった。
「…おぉ。本当に家だったのか…」
その室内に感嘆の声を漏らし見入ってしまう。
「そして寝室はこちらです。」
「だからしつけえよ!!」
部屋に来てからも続くか。この世界にいればツッコミの道が極められそうだ。
「…そうだ。まだ聞いてなかったな。…名前は?」
無難に、変に取られないように質問する。
「…私の名前はセシルと申します。」
「セシルか…俺は杉村 航平。まぁ…なんだ。これからよろしく。」
謎のエルフとの共同生活が始まろうとしていた。