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第7話 大男との再会

 ローゼとコルネリアが落ち合う場所にしたリビルドというものは、ビルダー達――やることはモンスターだけでなく犯罪者も捕まえる要は何でも屋なのだが――にリクエストといわれている依頼などの仕事を斡旋し、街の治安を守る役目を担っている。


 リビルドのあるところビルダーあり。


 大体の街にはリビルドがあるものだからか街の自警団と呼ばれていたりもする。

 ビルダーとしてはむず痒い呼ばれ方なのだが。

 勝手気ままに自分の為にしたことを褒められているのだから、何ともいえない気持ちが生まれるが、酒を一杯でも飲めば(二人は酒は飲まないが)忘れてしまうようなビルダー達だった。


 日々の要望はリビルドやコネクトのアンダーマイン情報を管轄するqualifiedシステム――通称Qシステムに集まる。


 要望はリビルドの事務員たちの手によって仕分けされ(便宜上リクエストと呼ばれる)それらを適任だと判断できるビルダーにそれぞれ宛がう。


 リビルドは依頼を受けビルダーとの仲介をする。

 ビルダー達は人々の困り事を仕事とし解決したりしながら暮らす。


 ここのところ犯罪者のアンダーマインを捕獲する仕事が年々増えている。何か原因があるのではと囁かれてはいるのだが……。


 ビルダーにも色々いる、一人で働くもの、二人一組のもの、多人数のパーティを組むもの、パーティ同士が合同してリクエストを受けることもある。


 全国各地に点在しあらゆる場所にあるにも関わらず、どこのリビルドでもほぼ同じ扱いを受けることが出来る。

 このことはビルダーが遠征するのをあまり嫌がらないことにも繋がる。


 リクエストを受注したリビルド以外でも報酬を受け取ることが可能だが、あまり推奨はされていない。

 リビルド側の話ではなくビルダー側の話として浸透している。


 マナーとしての問題でもあるのだが、あるビルダーはこう言う「馴染みのリビルドを持つ方がビルダー稼業が楽になる」と。


 リクエストを優先的に紹介してもらえたり、ホテルを提供してもらえたりと同じリビルドを何度も利用することに損することはほとんどないといえる。

 それどころか恩恵が多い。

 ふらふらと旅するビルダー達にとって馴染みのリビルドというのは我が家同然。

 帰る場所があるのは心の拠り所となる場合が多い。


 別のビルダーはこうも言う。

 「同じリビルドで回数を重ねて受注するのがビルダーで食っていく為の近道だ」


 リクエストにもいうまでもなく様々なものがある。

 アンダーマインなどを捕まえるもの、探し物をするもの、力仕事を任されるものなど。


 ローゼ達もあらゆるリクエストを受け生計を立てるビルダーだ。


 それぞれ買い物を終えた二人がリビルドで合流した。


「よっ。良い魔法は見つけられたか?」

「うん! 早く実戦で使って使いこなせるようになりたいな。ローゼはどうだった?」


 弾む声で今すぐにでも新しい魔法を試したいといった感情を見せるご機嫌なコルネリア。

 多分この笑顔にヤられる男性は多いのでは? と思わせる。


「おうよ、良い武器が手に入ったぜ。これでオールマイティなビルダーに近づいたっていえるよ」


 今にも入手したばかりの武器で戦いに出そうなほど燃えているローゼ。

 この闘争心にヤられる男性は多いのでは? と思わせる。


「やったね。夢に近づいたね?」

「ん、ああ、まぁその、そうだな」


 夢と改めていわれると何だか照れくさいローゼは、早く行こうぜとカウンターへと急かすのだった。


 先客がいるらしくルドルフは誰かと話している最中だった。


 特に珍しくもないよくある光景だったのだが……、ローゼが毛を逆立て威嚇した。


「コルネリア! ほらっアイツだよアイツっ!」


 血気盛んに腰の短剣に手を伸ばしかけたところに、コルネリアから心への声がけが!


『だ、だめだよ! ロージィ落ち着いて。リビルド内で武器を出すのは違反になるよっっ!』

「ああっ! わかってるよ!」


 ローゼはコルネリアのように心に話しかける術がない為、普段は独り言かコネクトの通信を装って返すようになど慎重に気を配っているが、頭に血が上っていて思わず大声で返事をしてしまっていた。


 リビルドにいた人達からすれば脈絡なくローゼが大声を上げたようにしか見えず皆の注目を集めた。

 皆の中にはカウンターにいる二人も含まれている。


「お前……昨日のか」


 本来の熊の方が暖かみがあるのじゃないのかと錯覚させる、見たものすべてに攻撃を仕掛けてきそうな獣に似た、大柄な男がローゼにというより独りごちた。


 そう、偶然か必然かローゼが新しい武器を購入するきっかけともなった相手が目の前にいた。


 もう一度会ったなら本気を出させたいと思った相手が思いがけずいた為に、一時的に混乱したローゼだった。


 さっきよりは息も整い、いつもの調子を取り戻しつつある。

 深呼吸を意識的にする。コルネリアに悪いことをしたという気持ちがしのぐ。


「コルネリア、ごめん」

「良いよ。ローゼの気持ちはわかるから」


 とりあえず話してみよ? というコルネリアの提案を受け、カウンターに歩み寄った。


「来たぜ」

「リクエストのお話を聞きに来ました」

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