だいなし
目を閉じれば、そこは私だけの、世界。
さあ、今日も、楽しい夢を見ましょう。
さあ、今から、祝宴のひと時を味わいましょう。
欲しいものは、ほら、思い浮かべるだけで、ここに。
願うことは、ほら、今、叶う。
空を飛びましょう、無限に広がる蒼穹へ。
海に潜りましょう、紺碧の漂いへ。
世界は私の元で郭大し、瞬く間に掌へと落ちる。
ああ、夢の世界。
私だけの、世界。
私は、今日も、夢を見る。
偉大なる夢を。
果たしない、夢を・・・。
「あのね。」
「はい。」
「がんばってるとは、思います。」
「はい。」
「難しい言葉、調べたの?」
「はい。かっこいい、言葉を選びました。」
「すごく良い感じにまとまってる。」
「ですよね!!!」
「でもね、最後で、台無し。」
「え?」
「果てしない夢を、だね、これは。」
「…。」
「もっと言葉を勉強してから、難しい言葉を使いなさいね。」
「はい…。」
顔から火が出た。
「これを見ろ!」という意気込みで、提出した詩の宿題。
自分の未熟さで、自信は恥へと、華麗に変化を遂げた。
すばらしい言葉をつないでも、たった一箇所の失敗で、自分の未熟さを披露する場に変わる。
恐ろしい話だ。
しかし。
もっと恐ろしいのは。
今でも、自分の失敗に、微塵も気づかず、恥を晒し続けているわたし。
今でも、自分の未熟さを、これでもかと晒し続けている、厚顔無恥な、わたし。
誰かが笑っている事に、ほくそ笑んでいる、私。