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闘技大会のお知らせ

 〈始まりの街 ビギニング〉


 俺はログインしてベッドから立ち上がると、運営からのお知らせが来ていた。


 内容は、ゴールデンウィークに、始まりの街ビギニングの闘技場で、大会が開かれるといった内容だ。


 そして、この大会で優秀な成績を残したプレイヤーはリアルマネーの賞金と、レアアイテムが手に入ると書いていた。


「これは、かなりのプレイヤーが参加しそうだな。しかも、優勝賞金が個人で10万円、パーティだと1人5万円だと!?」


 俺は思わずベッドから立ち上がってしまう。


「これは出たいな。でも、目立ちたく無いな」


 俺はお知らせの内容を細かく読んでいると、フレンドの誰かからメッセージが飛んで来る。

 

「誰だ、ユール?」   


 ユールからのメッセージは『今から中央広場で会えないですか?』と書いてあった。


 俺はとりあえず、『大丈夫だよ』と送っておく。


 すると、その数分後に『ありがとうございます』と送られて来たので、中央広場に向かう事にする。


 〈始まりの街 ビギニング〉 中央広場


 俺は中央広場に到着して、ユールを探していると


「こっちです、フェイクさん」


 とルーチェと一緒にいたので、割と早くに見つけられた。


「呼び出しに応じたくださり、ありがとうございます」


 ユールがそう言って頭を下げて来たので


「大丈夫だよ。それよりも用件はなんだ?」


「それは、今回の闘技大会の優勝を目指す為に、フェイクさんもボクと一緒に戦ってほしいです」


 なる程、そう来たか。


 だが、俺には翔真と翼がいるので


「すまないが、それは難しい」


 断る事にした。


「あの、理由を聞いてもよろしいですか?」


 ユールが少し顔を伏せながら、問いかけて来たので


「俺には、リアルで中のいい友達とやっていて、これからもその2人とやって行くから、ソイツらに聞いてみないと分からない」


「なる程、ボクとルーチェがその2人を説得すればいいのですね」


「いやいや、まずなんで俺とチームを組みたいんだ。」


 俺はそこが気になったので、聞いてみると


「それは、ボクとルーチェがお腹を空かせて倒れているのに、他の人は見て見ぬ振りで通り過ぎて行く中、フェイクさんは無視をせず、ボク達を助けてくださいましたので、決めました」


「あと、右も左も分からなかったアタシ達を、なんだかんだ言ってレクチャーしてくれたのも、ポイントが高いわよ」


 二人はこちらをガン見しながら答える。


「あのな、正直俺はそんな出来た人間じゃ無いぞ。それと、簡単なレクチャーは、ベータテスターや攻略サイトを見ている人なら、大体の人は出来る事だからな」


 俺はその事を伝えるが


「でも、時間を割いてボク達にしてくれる物好きはそんなにいますか? ちなみに、知り合いがフェイクさんしか居ないのもあります」


 絶対そっちだろ。


 俺は頭を抱えたくなりながら、その話を聞いていると、ピコンとメッセージが届いた音がする。


「すみません、メッセージが来たので確認するけどいいか?」


「大丈夫ですよ」


 ユールから許可を取って、メッセージを開くと、送り主はウイングで『さっきチェインと合流したけど、フェイクは何処にいるのかしら?」と送られて来た。


 なので俺は、『昨日会ったフレンドさん2人と中央広場の近くのカフェに居る』と送る。


 すると、そのすぐ後に『その相手は女子なのかしら?』と、何故か威圧を感じる文章が届く。


 流石にここで誤魔化すと、後が面倒なので『男の娘と女子だよ』とメッセージを書く。


 そして、数分後。『そこに行くから待ってなさい』と送られて来たので、とりあえず『わかった』と言って、ここで終わる。


「あの、フェイクさん。表情が無くなっているように見えますが、大丈夫ですか?」


「あぁ、それよりも俺の仲間の2人がここに来るらしい」


「それなら、交渉するにはぴったりじゃん」


 ルーチェがそう言って立ち上がって準備体操をしている。


「そうですね。その方達にボク達の実力を認めて貰って、チームに入れて貰いたいですね」

  

 ユールも立ち上がってルーチェと同じく準備運動を始めている。


 俺はこれから起こる事を考えて、頭を抱えてしまう。


 それから10数分後、ある意味予想通りの展開が起こる。


「ねぇ貴方、私と決闘デュエルしなさい」


 ウイングの第一声がこれである。


「いいですよ。ボクもそう思っていた所です」


 ユールも売り言葉に買い言葉でそれを引き受けている。


 そして、その状況を見ている俺とチェインは


「フェイク、確か君が昨日レクチャーした人達であっているよね。なんでこうなったの?」


「チェイン、今日のお知らせ見ただろ。その事でパーティーを組みたいと言われて、俺はお前らに、許可を取らないといけないと言ったらこうなった」


「さっぱり分からないね」


 チェインがお手上げ状態になっている。


 ちなみに、ルーチェは


「ユール、相手はあんまり強く無さそうだから、余裕を持って大丈夫よ!」


 と思いっきり煽っている。


 ちなみにデュエルのルールは、体力が0になったら負けのシンプルなルール。

 

 でも、デュエルで減った体力は、終わったらデュエルする前に戻るので腕試しや模擬戦によく使われる。


 なので、そのパターンかなと思っているが、2人の殺気がかなり凄い事になっているので、周りの人も引いている。


「悪いけど、私はムーンブラックシールドを装備するわ。貴方は強そうだから油断は出来ないわね」


「なる程、でもボクも、貴女は強いと思ったので、本気で行きます」


 ウイングがコンソールで決闘デュエルの画面を開いて、申請をユールに送ってそれを承諾した。


 その後、30秒後に開始と出て、2人の顔の近くにライフの数値が出る。


 そして、2人は少し離れて武器を抜いて、ついに開始された。


 〈ウイングVSユール〉 制限時間20分


 先に仕掛けたのはユールだ。


 片手剣を両手で持って、ウイングの胴を狙い横薙ぎをする。


 でも、ウイングはそれを盾で塞ぎ、反撃の突きを繰り出す。


 ユールはそれを片手剣で上手く受け流して、2人とも一旦バックステップを踏む。


「なる程、かなり強です。フェイクさんが前衛を任せるのが分かります」


「そうよ、フェイクは私が守るわ。貴方に付け入る隙は無いわ」


 なんか話がズレているような気がするが……。


 そう思いつつ、次はウイングが攻める。


 盾を構えて、ユールに向かって突撃をする。


 だが、ユールはそれを簡単にかわして手を狙って攻撃する。


『キィィン』


 盾で防御は難しかったみたいで、ウイングは右手の片手剣で防御した。


「うぐっ、貴方ファイターなのよね。今の私と互角の力を持っているとは思ってもいなかったわ」


 でも、体力の方はウイングは1割も減ってないが、ユールの方は1.5割位減っている。


「やっぱり、何かありますね。攻撃回数はボクの方が多いのに、ダメージがこちらの方が多いです」


 ユールがそう呟いたので


「あれ? 昨日は殆ど何も知らない、初心者だったと思うが、ダメージとか知っているんだ」


「それは、昨日の夜に、私達はFTCの基本の事を調べたので当たり前よ」


 ルーチェが胸を張りながらそう話してくる。


「でも、なんでユールの方が攻撃しているのに、相手の方がダメージが低いのかしら?」


 不思議そうに見ているので


「それは3つの理由があるからな」


「3つの理由?」


 ルーチェがこちらに振り向いて来て、そう喋る。


「そう、3つの理由。1つ目はユールは前衛攻撃職のファイターでウイングは盾職のナイトだ。それで、ナイトの方が防御力がかなり高いからユールが攻撃してもそこまで大きなダメージにはなりにくい」


「なる程ね。でも、あと2つは?」


 2人が有効打がないまま、拮抗状態になっているが、俺は話しを続ける。


「2つ目は、レベルの差。俺達の今のレベルは5だ。多分ユールはそれよりも低い可能性が高い。それでステータスに差が出ている」


「そうよ、私達はレベル2だからね。それならダメージに差が出るのは分かるわ。それで、最後は何よ」


 ルーチェが焦ったように聞いて来るので


「3つ目は、今ウイングが装備している盾だ。あの盾は特殊な装備でステータスがかなり高いからな。それを超えて致命傷を与えるのは、殆ど無理だと思うぞ」


 俺は前に見た、ムーンブラックシールドの性能を思い出しながらそう話す。


 そして、2人の決闘デュエルは続いていく。

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― 新着の感想 ―
[良い点] フェイクは性格的にも後衛タイプなので、前に出てどんどん進めるより状況に合わせて指示を出したり、明らかになった情報を整理したりする役割なので、面倒見は良いけれど、前にでて体を張ることはまだや…
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