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ユニークボス討伐戦

 〈リアル 黒霧家〉


  FTCからログアウトしてVRゴーグルを外したあと、机に置いて時計を見ると


「18時半か、まだ夜ご飯まで時間があるな」


 そう思ってスマホでFTKの攻略サイトを見ているとドアをノックする音が聞こえた。


「兄ちゃん、入っても大丈夫?」


「咲良か、別にいいけど何かあったのか?」


 ドアが開いてジャージを着た、妹の咲良が部屋の中に入って来た。


「兄ちゃんは今までVRゲームをやっていたんだね! 私も友達とさっきまでやっていたよ」


 咲良は俺と違って活発なタイプだから友達も多い。


「そうか、でも今日がサービス開始日だから人が多かっただろ。実際に街から一番近いフィールドは大勢の人がモンスターを取り合っていたからな」


「私達も見て、それで他のフィールドに行ったけど負けてデスペナを受けたよ。やっぱりレベルの差は辛いね」


「そうだな。でも、上手く戦術を組み立てたら勝てそうだぞ」


 俺は椅子に座っている咲良を見ながらそう話す。


「兄ちゃんは、頭が回るからそう思うけど、私達は突っ込むから何も考えなかったよ」


「あのな、最低限の作戦を考えておかないと戦うのが厳しいと思うぞ」


「でもさ、ゲームだから私は兄ちゃんみたいに難しく考えないよ。それに考えすぎて頭が回らなくなるかもしれないからね」


「まぁ、そこは別にいいか」


 俺は咲良にそう喋る。


 それから夜ご飯に呼ばれるまで、FTCの事で色々話した。


 それから約1時間後、夜ご飯と風呂を済まして20時位に自分の部屋に戻って来て、スマホで攻略サイトを見ていると時間になったので


「そろそろログインするか」


 俺は机に置いてあるVRゴーグルを掛けて


「リンク・ザ・イン」


 と言ってログインする。


 〈始まりの街、ビギニング〉 


「しかし、宿屋もしっかり作られているな」


 俺は宿のロビーに移動して椅子に座りなら独り言を呟いていると


「フェイク、一人で何呟いているの?」


 ログインして来たウイングが横の椅子に座りならそう言ってくる。


「別に、何でもない。それよりも準備とかは大丈夫なのか?」


「大丈夫よ」


「それはよかった」


 俺達はそうやって話していると


「フェイク、ウイング、待った?」


 チェインがそう言ってこちらに近づいて来た。


「別に待ってないわよ。それよりもこれから何をするの?」


「それは考えていたんだけど、始まりの森林の奥に行くのはどうかな?」


 確かに、入り口付近ではある程度戦えていたから良さそうだな。


 俺も口を開こうとすると


「いいわね、経験値稼ぎにもってこいだよ」


「そうだな。俺も賛成だ」


「なら向かおうか」


 俺達は三人ともの意見があったので、宣言通り始まりの森林に向かって歩き始める。


 〈始まりの森林〉 適性レベル5〜8


 俺達は始まりの森林に入って、8匹のホーンラビットを倒してレベルを1つ上げ、奥に進んでいると森が開けて、大きな岩や小さなクレーターが出来ている場所にたどり着いた。


「なんか嫌な予感がするけど気のせいか?」


「僕もログインするまで攻略サイトで始まりの森林のエリア情報を見ていたけど、こんな開けた場所の情報は無かったよ」


「それじゃあ、私達は攻略サイトには載ってない所に来たの?」


「その可能性が高いね。それよりもこれはエリアボスの可能性があるね」


 エリアボス、1つのエリアにいる中で1番強いモンスターの事を指す。(例外あり)


「それなら一回戦ってみたいわ。ここまで来て何も無しだったら面白くないわ」


「そうだね。ウイングがそこまで言うなら僕も賛成だね。フェイクはどうする?」


「俺も賛成だな。ただ、お前達にこれを渡しておくな」


 俺はコンソールを開いてトレード画面を出して、チェインとウイングにレベル1回復ポーションを10本ずつ渡す。


「ありがとう。でもフェイクのポーションが減るのは大丈夫かい?」


「別に大丈夫だぞ。それに俺は後衛だから回復ポーションを使う前にやられる可能性が高いから、そっちの方がいいと考えたからな」


「分かったわ。私はフェイクを守るからちゃんと攻撃してね」


「了解だ。それじゃあ行くか!」


「「おぉー!」」


 そう話して俺達が開けた場所に入ると


『プレイヤーの反応を確認。これよりユニークボスを召喚します』


「「「えっ……」」」


 ユニークボス? なんかヤバイような……。


 そう考えていると目の前に、高さ3メートル位で額には月の痣がある大きなウサギが現れた。


 〈UB、ムーンソウルラビット〉 レベル8


「とりあえず作戦は、まずは様子見で回避と防御重視で、相手の攻撃パターンが分かったらその時に指示する」


「「了解」」


 二人のその言葉を聞いたあと、俺はさっき覚えた新しい魔法を使う。


「風魔法ランク2(ウインド・ボルト)」


 魔法陣から風の弾丸が出現してボスに目掛けて飛んで行く。


 《キュィィ》


 風の弾丸がヒットしてボスは俺の方を見てくる。


「悪いけど、アンタの相手は私よ!」


 ウイングが剣を盾に打ち付けて挑発ランク1(コール)を発動したのでヘイトが俺からウイングに移った。


 ボスはウイングに向かって突進したので


「盾スキルランク2(ガード)」


 とウイングの盾が光ってボスの突進を受け止めた。


「うぐっ、まさかガードを発動してもライフを2割も持ってかれるなんて」


「ホーンラビットと初めて戦闘した時と同じだね。でも、体が大きいから攻撃しやすいよ」


 チェインは短剣術スキルランク2(ビース)を発動して斜め上から斬りつける。


 《キュィィィ》


 と甲高い声が聞こえたと思ったら、ボスの体が光って飛び上がった。


「二人とも何か来る、岩を盾にして下がるぞ!」


「「了解」」


 俺達はその場から少し離れて岩に隠れたと同時に、ボスが着地して衝撃波が生まれたので、俺達はしゃがみ込んだ。


「うわっ! まさかこんな事が起きるなんて」


 俺達が立ち上がってボスの方を見ると


《ピュィィィ》


「ヤバイわよ、メチャクチャ怒ってそうよ」


「恐らくこれは攻略サイトに載っていたボスの怒り状態だ。攻撃力が上がるから気をつけろ」


 俺はボスを見ながらそう話すと


 《キュィィー》


 と鳴いて俺の方に突進して来た。


「マズイ」


 俺は今いた場所から岩を盾にしつつ逃げる。


「フェイク、私の方に来て!」


 ウイングが盾を構えて少し離れた所からこちらを見てくる。


「了解、でもどうするんだ!?」


 俺はなんとか攻撃を回避しながらそちらに向かう。


「こうするのよ。片手剣スキルランク2(スラッシュストライク)」


 ウイングの片手剣が光ってボスに向かって突撃して行く。


 そして、ボスの動きが止まった時に、ウイングの攻撃が額の痣にヒットした。


 その時


 《キュィィィィィ!!》


 とさっきよりも甲高い声で鳴いたので


「これはもしかして、ウイングが攻撃した所は弱点の可能性が高いよ!」


「マジか! それなら痣の場所を狙ったらダメージ増だな。ウイング、離れてくれ」


「分かったわ!」


 ウイングが少し離れた時を見て


「風魔法ランク2(ウインド・ボルト)」


 俺は痣を狙って魔法を打ち込んで見ると


 《キュィィィィ!》


 とまた鳴いたので


「ここで弱点を見つけられたのはチャンスだ! チェインは横から攻撃してウイングは防御しつつ攻撃!」


 今は俺の方がヘイトを稼いだみたいなので


「フェイク、私のライフは3割だから一旦下がって回復するわ!」


「了解、すまないがチェインが前に前衛に立ってもらえるか?」


「わかった、でも長くはもたないと思うよ」


 そう言ってチェインが岩を盾に使ってボスの横から攻撃する。


「悪いけど、今回の相手は僕だよ」


 と言ってスキルを発動して斬りつけていく。


 そして、少ししてウイングのライフが回復したので


「ウイング、頼むよ」


「もちろんよ!」


 ウイングが前線に戻ったので俺も攻撃を再開する。


 そして、約1時間後


「ハァハァ、流石ボスだね。ここまでタフなのは驚いたよ」


「そうね。それに私達のポーションがあと数本しかないからこれ以上は厳しいわ」


「なら、一回勝負してみるか!」


 俺はレベル1魔力ポーションを飲み干して相手を見る。


「勝負ってどうするの? 正直何か手があるといいけど僕には思いつかないよ」


「チェインとウイング、左右から挟み撃ちしてもらえるか?」


「分かったわ。でもそれでどうするの?」


「さっき攻撃して分かったのだけど、魔法には適性距離があるみたいで、それを一回試してみたい」


 ウイングがボスの攻撃を盾で防ぎながら


「とりあえず、フェイクの案に乗るわ」


「僕も同じく」


「ありがとう、それじゃあ行くか!」


 ボスの後ろからチェインがスキルを打ち込み、ボスがそちらに振り向こうとした時に


「風魔法ランク2(ウインド・ボルト)


 俺は風魔法をボスの弱点に当てた。


 すると


 《キュィィィィィ》


 と鳴いてボスが紫の煙になって消えた。


 そして、エリアボス討伐成功の文字が浮かんだ。


「俺達は勝ったんだ!!」


 俺はへたり込みながらガッツポーズすると


「フェイクのキャラがズレているけど、今回は気にならないよ。それよりも勝ったよ!」


「やったわ!」


 そして、俺達の初エリアボス戦は成功に終わった。

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― 新着の感想 ―
[良い点]  徐々にボスの戦術を理解して、こちらの策にうまいことのせる。 戦ってるうちに弱点を導き出してより集中した攻撃に移れるようになる。 持久戦に持ち込んでしのぎを削り、いちかばちかのところで出し…
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