ホーンラビットとの初戦闘
俺は、今中央広場にいるが、そこではある事が起こっていた。
それは
「ねぇ君、俺のパーティーにはいってくれない?」
「シーフ募集しています。もし良ければ一緒にしませんか?」
「ナイトです。後衛の方おられないですか?」
といった勧誘合戦が多発していた。
「ここにいたらマズそうだな。とりあえず少し避けるか」
俺は少し歩いてベンチに座っていると、深緑の髪色をした少年と金髪の少女が、こちらに近づいて来た。
「あの、すみません。フェイクで合っていますか?」
「合っていますよ」
俺がそう言うと少年は頷いて
「良かった、フェイクはリアルの見た目がそこまで変わってなくて分かったよ。ちなみに僕はチェインだよ」
「チェインか、という事は」
そう言って少女の方を見ると
「そうよ、私はウイングよ」
そう言って左手につけている盾を見せて来る。
「とりあえず三人合流出来たね。それじゃあ自分が選んだスキルを説明しようか。僕はシーフだから短剣術、探知、隠蔽、鑑定だよ。次はウイングの番だね」
チェインがウイングの方を向く。
「分かったわ。私はナイトだから片手剣術、盾術、挑発、VITアップよ」
「かなり防御寄りの構成にしているな」
俺はウイングにそう話すと
「当たり前よ、盾役が倒れたらそのパーティーは戦うのはかなり厳しくなるでしょ。それならガチガチに固めておく方がいいと思ったのよ」
「確かにそうだね、僕とフェイクだけだと近接戦は辛いからね。最後にフェイクはどんなスキル構成にしたの?」
「俺はマジシャンでスキル構成は水魔法、風魔法、長杖術、ストレージ容量アップだ」
俺は二人にそう話すと
「なる程、フェイクはバランスがいいね」
「まあな、それよりフィールドに向かうか? 早くしないと満員になるぞ」
「そうね。それならフィールドにレッツゴー!」
とりあえず合流出来たから街の近くのフィールドに向かう。
〈始まりの草原〉 適正レベル1〜3
ここはレベル1〜3の初心者向けの弱いモンスターが存在して、駆け出しにはもってこいのフィールドなのだが
「遅かったか……」
「そうだね。よくよく考えてみたら、このゲームの初期販売生産数は10万本だからこうなるよ」
そう話している俺達の目の前には
「おい! このモンスターはオレ達が周りつけていた奴だぞ!」
「なんだと! おれ達が先に攻撃したからおれ達のだ!」
「誰よ、せっかく分裂したジェルを火魔法で焼いたのは!」
と大人数のプレイヤーが、モンスターを取り合っている光景をが目に映る。
「どうするの? このままだと私達は何も出来ないわよ」
「流石にこの光景は予想外だね。これなら、他のフィールドに向かうのが良さそうだね」
「俺もチェインと同じ事を考えていた。でも、他のフィールドはここよりも少しレベルが高いぞ」
「確かにそうだけど、このゲームのデスペナルティは経験値が1%減るだけだから今は大丈夫だと思うよ。それで、僕はある事を思っていたんだよ」
「ある事? それは何よ」
ウイングがチェインにそう聞くと
「それはここから少し離れたフィールド、始まりの森林に向かうのはどうかな?」
やはりか、俺もそう考えていたので頷こうとすると
「始まりの森林!? 確か攻略サイトでも出ていたけど、そこは適正レベル5〜8だったはずよ。私達が行ってもボコられるだけよ!」
と喋って来たのでチェインが
「それは、奥に行ったらだよ。入り口付近はレベル5で基本単体しか出てこないから、パーティーのバランスが良かったら倒せると、ベーターテスターの人達がネットで書いていたよ」
「でも、それが出来る人は一部かもしれないわよ」
確かに、証拠が無いから俺達には分からないな。
でも、
「このままだと、僕達何も出来ないよ。それなら少し背伸びをしてみるのもアリじゃないかな?」
「ウイング、すまないが俺もチェインの意見に賛成だ。このまま何もしないのはこのゲームを楽しめないからな」
「うぐっ、チェインはともかく、慎重派のフェイクがそう言うなら私も一回挑戦してみるわ」
そう言ってウイングがこちらを見て来たので
「それじゃあ決定だね、始まりの森林へ行こう!」
「その前にチェイン、この事だけは言っておくぞ。今回は奥には行かないからな」
「分かっているよ。僕もボコられるのは嫌だからね」
俺達はそう話しつつ始まりの森林に向かう。
〈始まりの森林〉 適正レベル5〜8
街の入り口から20分ほど歩いて、だんだん木が多くなって来たので、俺はコンソールを開いてマップ機能を使うと、現在いる場所が始まりの森林と書かれていた。
「ここからが始まり森林だな。ウイングは前衛に立って盾役、チェインは詮索を頼む」
「「了解」」
ウイングは俺の前に立って左手にファーストシールド、右手にファーストソードを持った。
それから少しして、チェインがファーストダガーを腰から引き抜いて声をかけて来る。
「前からホーンラビット・レベル5が近づいて来るよ」
「分かった。じゃあ、俺が攻撃魔法を使って攻撃するからそのあと、ウイングが挑発スキルでヘイトを取ってくれるか?」
「了解よ。でも、私の仕事は分かったけどチェインは何をするの?」
「それはウイングよりもヘイトを稼がないように攻撃してくれるか? チャンスがあればスキルを使ってくれ」
「なる程、僕の仕事も分かったよ。でも、最初は君から攻撃するから、ファーストアタック上手く頼むよ」
「それは分かっている。それに、ホーンラビットも見えたし、戦闘開始!」
俺は風魔法ランク1(ウインド・ボール)を発動して、ホーンラビットに向けて発射した。
「ピュィィッ」
ホーンラビットの泣き声が聞こえて来てこちらに振り向いて来た。
なので次に水魔法ランク1(ウォーター・ボール)を発動して攻撃したが
「ピュイ」
と右にジャンプされて避けられた。
「なら、これはどうだい?」
ホーンラビットが避けた方にはチェインが居て
「短剣術ランク1(シーカー)」
とスキルを発動して、ホーンラビットを斬りつける。
「キュィィ」
ホーンラビットはチェインの方を見て突進しようとしたが
「そうは行かないわよ。盾ランク1(パッシュ)」
ウイングに阻まれ突進と盾スキルがぶつかった。
ガキンという音がして、ウイングがホーンラビットに押された。
「ちょっ! ライフの2割が持って行かれたわ」
ウイングのライフを見ると確かにライフが2割減っていたので
「ウインド・ボール、とりあえずウインドは防御メインでチャンスがあったら攻撃を頼む。チェインはウイングのライフが半分になったら前衛を頼んでいいか!」
「了解」「大丈夫だよ」
そう言っている間にもウイングを攻撃しているので
「ウォーター・ボール」 「シーカー」
俺達はホーンラビットに攻撃する。
「キュィィィ」
「よしチェイン、そっちにヘイトが行った! 攻撃はあまりしなくていいから回避メインで、ウイングはポーションを飲んで回復を」
「ちょっとキツくない!」「分かったわ」
ウイングのライフは残り3割位だったのでいいタイミングだ。
「おっと、ほっ、よっと」
チェインがホーンラビットの攻撃をかわしていると、グサッという音が聞こえてツノが木に刺さった。
「フェイク、今がチャンスだよ」
「よし、ウインド・ボール!」
俺は風魔法を発動して打ち込むとホーンラビットはついに紫色の煙になって消えた。
「やった! 私達、時間は掛かったけどホーンラビット倒せた!」
ウイングがそう言って喜んでいる横で
「うーん。経験値はかなり手に入ったけど、レアはないね」
とチェインが言っていた。
「とりあえず、初戦闘勝利して良かったな!」
と俺は言いつつ戦利品を見ると
「おっ! レアがあった!」
「ちょっ! なんでフェイクに落ちているの?」
「それはチェインの運が悪いだけよ」
「まぁ、言い合いはそこまでにして、少し休憩したあと、次の相手を探そうぜ」
俺がそう言ったあと、少し休憩してホーンラビット狩りを開始した。




