トップ攻略パーティー
〈始まりの森林〉適性レベル5〜8、安全地帯
さて、面倒な事になったな。恐らく相手は攻略パーティーだよな。
なら、とりあえず
「俺達はホーンラビットを狩りに来ただけの、その辺のプレイヤーですよ」
と言っておく。
「お前ら、俺達〈剛魔の牙〉がかなり苦戦したホーンラビットを狩りに来ただけだと、笑わせるな」
あれ? なんか思っていた反応と違うような。
「フェイク、この人達はホーンラビットを倒すのがギリギリなんじゃないかな」
「ちょっ、貴方。それはわたし達が弱いと言っているの?」
〈剛魔の牙〉のクレリックぽい女性の人が、少し怒りながら口を開く。
なので
「それは違いますよ」
と、否定しておくが、空気が悪くなって来たので、他の4人とアイコンタクトして
「とりあえず、俺達は他の所に行きますね。それでは」
と言って、この場から離れようとした時
「ハァ、やっと安全地帯ね」
と他のパーティーも安全地帯に入ってくる。
それを見た〈剛魔の牙〉のリーダーは
「チッ、なんで〈天女の集い〉がここに来るんだよ」
と言って、周りの木を蹴る。
俺は〈剛魔の牙〉と〈天女の集い〉と聞いて、ある事を思い出す。
「まさか、攻略サイトに載っていた、トップ攻略パーティーか」
「フェイク、僕も確信は持てなかったけど、このパターンは本物だね」
チェインがそう話して来たが
「あのさ、この人達有名なの? 正直あまり強そうには見えないけど」
ルーチェが、2つのパーティー見た、感想を喋ってくるが
「ルーチェ、この人達はベーターテスターで、その時にかなり攻略したパーティーのトップ2つよ」
「えっ!? フェイク達はトップでは無かったの?」
「俺達はベーターテスターには当選しなかったからな。それで、攻略サイトなどで調べただけだそ」
そうやって話していると
「ねぇ、そこにいるイケメンとその他のパーティーは何なのよ?」
「俺に聞くな! それよりスワン、貴様こそなんでここにいる!」
「何よ! それはこっちのセリフよホーク!」
〈剛魔の牙〉のリーダーの名前はホーク、〈天女の集い〉のリーダーの名前はスワンが、また言い合いの喧嘩している。
とりあえず、一触即発状態なので、今度こそ離れようとした時、〈剛魔の牙〉の盾使いがウイングの盾に気付く。
「あの、ホークさん。少し良いですか?」
「どうした、ウルフ?」
「あのパーティーの盾使いが持っている盾、ベーターの時でも見た事が無いやつだ」
俺はそれを聞いて、マズイ、ここから離れないと。
と、考えていると、
「おい、スワン。一旦言い合いは中止だ。とりあえず、コイツらが何者なのかを聞き出す」
「そうね。あと、そこのイケメンにも興味があるわ」
そう言ってこちらを見てくるので
「申し訳無いですが、貴方達に話すことは無いですよ」
ユールがそう言って一礼した後
「悪いが、それは聞けないな。オレ達の攻略の為、情報を吐いて貰うぞ」
「断るわ。それに私達が情報を吐いて何か得はあるのかしら? それに無理矢理聞き出そうとするなら、こちらも運営に通報するわよ」
「ウイング、流石に言い過ぎた。でも、こちらも大事な情報だから、タダで話すわけにはいかない」
流石に、こちらも苦労して手に入れた情報を簡単に渡すわけにはいかない。
そう考えていると
「もちろん、タダでは無いわよ。わたし達が持っている情報と交換よ」
「おい待て、その権利はオレ達が先だぞ」
なんか、向こうはまた喧嘩が始まったので、俺達は少し離れて作戦会議を始める。
「ねぇ、フェイク。大変な状況になったけど、どうするのよ!」
「とりあえず、1番はこの場所から逃げる事だけど、多分それだと後が面倒だ。他には、向こうの情報の分だけこちらも話す事だな。俺が持っている、ムーンブラックソードを見せる所からスタートだ」
「でも、ムーンブラックソードを見せたら、多分欲しがられて、交渉する事になると思うよ」
「そうだよな。でも、こちらが切れる手札は限られているからな」
難しいな。他の情報はユニークボスの事だけど、それを話すとさらにややこしくなるからな。
そう考えていると
「あの、フェイクさん。他には何か方法は無いのですか?」
「そうよ。アタシ達は悪く無いのに、なんでこんな事になるのよ」
ついにルーチェが怒り出したので
「仕方ない。いい加減、あの言い合いには俺もイラッと来たからな」
俺は言い合っている、〈剛魔の牙〉と〈天女の集い〉の間に入って
「これ以上、言い合うなら情報を渡さないからな!」
と伝えると
「「なら、どっちのパーティーに先に情報を渡すんだ(よの)」」
と言って来たので
「それは、そちらが何を提供出来るかで、決まりますね」
「じゃあ、お前は何が欲しいんだ」
ヤバイ、何が欲しいのかは相談していなかった。
なので、俺はとっさに
「あんた達はトップパーティーだろ。なら俺達が困った時に助けてくれるならいいぞ。つまりは〔貸し〕だな」
その言葉に相手の人達は顔を見合わせた。




