狩場の取り合い
〈始まりの森林〉 適性レベル5〜8
あのあと、闘技大会に出る事が決定して、俺達はパーティーを組み、レベル上げをする為、始まりの森林に来たのだが
「ここは俺達の狩場だ、お前ら出て行け」
「私達のよ。何であんた達に従わないといけないの!?」
と大喧嘩しているパーティーの人達がいたので
「よし、スルーしよう」
と呟くと、他の4人も頷く。
そして、その人達を無視して進むと
「フェイク、斜め右前にホーンラビットがいるよ」
「了解、さっき話し合ったフォーメーションで頼む」
俺は前衛に、ウイングとユール、後衛に俺とルーチェ、遊撃にチェインの、基本的なフォーメーションを準備する。
「準備OKよ。それに私もホーンラビットが見えるわ」
「なら、俺が魔法を打ち込むから、そのあと攻撃してくれ」
〈ホーンラビット〉 レベル5
俺も肉眼で見えたので、風魔法ランク2(ウインド・ボルト)を発動。魔法が木の間をすり抜けて、ホーンラビットに直撃する。
『キュィィ』
と鳴いてこちらに振り向いて、突進してくる。
「悪いけど、後衛にには近づかせないわ」
「ボク達が相手ですよ!」
ウイングが挑発スキルランク1(コール)を発動してホーンラビットのヘイトを集め、ユールが片手剣スキルレベル1(スラッシュ)で迎撃する。
「あの2人、中々いいコンビネーションだね。僕も負けていられないね」
チェインがそう言って、ホーンラビットの死角から短剣術スキルランク1(シーカー)を発動させて斬り付ける。
「あの、アタシは何をしていればいいのかしら?」
「(ウォーター・ボール)、とりあえず、前衛がダメージを負ったら、回復を頼む」
「分かったわ。でも、あの2人はそこまでダメージを受けるのかしら?」
「確かに」
俺はホーンラビットの攻撃を、完璧に凌いでいるウイングと、横から攻撃しているユールとチェインを見ながら、ある事を話す。
「俺達、いらなくないか?」 「そうね」
その後、3人がホーンラビットをフルボッコにしている光景を、俺とルーチェは見る。
そして、その後も何回か戦闘して、夜ご飯前になったので、始まりの森林にある安全地帯で20時半集合と話して、一旦ログアウトをする。
〈リアル 黒霧家〉
ログアウトして、VRゴーグルを外した後、机に置く。
その後、スマホを起動して、FTCの攻略サイトを開く。
「やはり、始まりの草原を占拠していたプレイヤーが、始まりの森林に流れているな。それに、悪質プレイヤーがバンされた情報も書かれているな」
俺は夜ご飯に呼ばれるまで、攻略サイトで情報集めを始める。
そして、約束の時間になったので、VRゴーグルをセットして、ログインの言葉を発する。
「リンク・ザ・イン」
〈始まりの森林〉 適性レベル5〜8
俺はログインすると、他の4人はすでにインしていた。
「フェイク、待ったよ」
チェインがそう言ってくるので
「悪いな、ちょっと調べ物をしていた」
「大丈夫ですよ。まだ、集合時間の10分前ですから」
ユールがこちらを見ていて、そう話す。
「そうか。あと、さっき色々調べていたけど、始まりの森林に他のプレイヤーが、かなりの人数が来ているらしいぞ」
「それはマズイわね。でも、仕方ないのかもしれないわね」
「そうですね。ボク達がいつまでも独占する訳にはいきませんからね」
これから、ややこしくなりそうだな。
そう思いつつ、ルーチェがある事を喋る。
「今日は、ホーンラビット狩りをメインにするの? それよりも、こっちの満腹度? がかなり減っているからフェイク、何か食べ物頂戴」
確かに、俺も満腹度が減っているな。
そう思って、先にシートを履いて、前に作ったハンバーグと塩おにぎりを、ストレージから出すと、4人がこちらをガン見してくる。
「フェイク、めちゃくちゃ美味しそうなんだけど、食べて大丈夫?」
「待て待て、そのまま手掴みで食べようとするな。とりあえず、取り皿を用意してあるから、少し待て」
俺はストレージから取り皿を人数分取り出して、4人に渡すと
「いただき!」
とルーチェがハンバーグを自分の取り皿に乗せる。
「ルーチェ、ずるいですよ。ではボクも、いただきます」
「僕もいただくね」「私もいただくわ」
そう言って3人もハンバーグと塩おにぎりを、自分の取り皿に乗せて食べ始める。
「ちょっ!? お前ら食べるの早すぎだろ」
「フェイクには悪いけど、こういうのは早い物勝ちなのよ」
俺は残っていた、塩おにぎり2個のみを食べて、残りのハンバーグと塩おにぎりは、他の4人に全部食べられてしまう。
「まさか、全部食べられるとは……」
「「「「ご馳走様」」」」
ほかのメンバーは満足したようで、ゆっくりしていると
「お前ら、何者だ!?」
と野太い声が聞こえて振り向くと、さっき言い合いをしていたパーティーの1つと遭遇する。
そして、ここから面倒ごとになっていくとは、この時思ってもいなかった。




