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慧君は間違えない  作者: あいもめ
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昼休み

前々回「授業」の続きです

「今日はここまで」


 4時限目の授業が終わった。

 みんな大好き昼休みの時間だ。


「……ない」

「どうしたの、美咲?」


 しかし、私は窮地に立たされていた。


「お弁当忘れた」


 私はお昼はお弁当なのだが、朝にお母さんを避けたことによって受け取り忘れたのだ。


「どうするの?」

「どうしよう」


 こんなときは購買に行けばいいのだが、今は手持ちが少ない。

 ならば購買に行ってる人にお金を借りればいい。


「恋奈……って、いない」


 しかし、購買組はもう教室にはいなかった。

 購買は早いものがちなのだから当然か。

 教室にはお弁当を持ってきた人しか残っていない。


「今行けば追いつくかな?」

「行ってみる?」

「行こう」


 私は慧も連れて購買組のもとへ向かった。


「長っ」


 そこで待ち受けていたのは、長蛇の列だ。

 お弁当を持ってきていない全生徒がここに並ぶのだから当然か。

 それはともかく、クラスメイトを列の中から探す。


「恋奈!」

「え、何?」


 前の方に恋奈を発見した。


「お願い! 私の分も買って! お金は明日必ず返すから!」

「美咲ってお弁当じゃなかったっけ?」

「忘れたの!」

「あー」


 恋奈にパンを買ってもらえないか交渉する。


「ごめん。今日お金ギリギリで」

「そんな……」


 駄目だった。


「どうしよう!?」

「僕に聞かれても……」


 思わず慧に助けを求めたが、慧は財布を持ってるかすら怪しい。


「……じゃあ、僕のお弁当半分あげるよ」

「ほんと!?」

「目の前に何も食べないでいられたら食べ辛いし」

「ありがとう!」


 諦めそうになったが、慧が助けてくれるようだ。

 持つべきは心優しき幼馴染だ。


「ひゅーひゅー」

「恋奈、茶化さないで」

「ここで茶化さないと私じゃない」

「開き直り!?」


 恋奈に茶化されたが、このくらいなら今は気にならない。

 私達は教室に戻った。


「はい、美咲。あーん」

「う、うん」


 窮地は脱したと思われたが、まだだった。

 私達は、というか私は、クラスメイトから生暖かい視線を向けられている。

 私は今、慧のお弁当を慧によって食べさせられている。


(周りの視線がむず痒い)


 小声でクラスメイトが何か話しているのが聞こえる。


「美咲、どうしたの?」


 なぜ気付かない。

 慧の無頓着さが羨ましい。


「みっさきー、まだ夫婦してる?」

「うっ」


 ここで恋奈登場。

 危うく吹き出しそうになったが、乙女のプライドが阻止した。

 というか、夫婦してるってなんだよ。


「夫婦じゃないから!」

「またまた~。冗談が上手いねぇ、奥さん」

「誰が奥さんか!」


 周りからクスクスと笑い声が聞こえる。

 ただでさえ顔から火が出る思いなのに、燃料を足された。炎上である。


「慧、屋上に行こう!」

「え、でも食べてる途中だよ?」


 行儀が悪いのは分かっているが、このままでは食べられない。


「お願い!」

「分かった」


 私は慧と逃げるように屋上へ向かった。


「ここなら落ち着けそう」


 屋上には他のクラスメイトがいたので、目立たなそうな隅を確保した。

 私達は昼食を再開した。


「ごちそうさま」

「ごちそうさまでした」


 屋上では何事もなく食べ終わった。


「なにかお礼をしないとだね。何がいいかな……」

「じゃあ枕になって」

「え、何?」


 私がお礼を考えていると、慧は要求を即決した。


「おやすみ」


 慧は私の足に頭をのせて眠り始めた。膝枕である。


「え!?」


 私の足が慧の体温でじんわり温まっていく。

 そんなことをしていると、屋上でも注目され始めた。

 人肌が温かいなどと考えてる場合ではない。


「慧、こんなところで寝ないでよ」

「教室ならいい?」

「もっと駄目!」


 そんなことをされたら、お弁当よりも恥ずかしい。


「じゃあここで」

「……仕方ないなあ」


 私はこの恥ずかしさを我慢することにした。

 私は慧が寝ている間は慧の頭を撫でたり、頬に触れたりしていた。

 慧は気にしていないのか、されるがままだ。

 この行動に意味はない。身動きが取れなくて暇だっただけだ。


「……美咲」

「何?」

「……呼んだだけ」

「そう?」


 変な幼馴染だ。いつも変だが。

 私は昼休みの終わりを待った。

 だが、時計は見なかった。

ここまで読んでくださりありがとうございます

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