表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/13

やまこえたにこえ

「ボクたちはとっても耳がいいんだ!」

「つかれたー!」

「ちょっと休憩しようか」


 岩山を登ったり下ったりしながら進んでいきます。

 道中、メディアちゃんとりんごのお菓子を食べて休憩しました。



 山を登っていく途中、ぽっかりと暗い穴を見つけました。

 周囲は切り立った崖になっていて、迂回するか、ここを通るしかなさそうです。


「こずえちゃん、洞窟があるよ。入ってみる?」

「うーん。真っ暗で、何も見えないよ……。明かりになるものは……」


 ポーチを漁ると、マッチがありました。でも、木に火を点しても、すぐに消えてしまうと思います。油と布があればいいのですが……。


「ボク、暗いところでも、よく見えるよ!」

「そっか。じゃあ、メディアちゃんに着いていこうかな。あと、メディアちゃん。洞窟の奥から、風の音は聴こえる?」


 メディアちゃんの獣耳がぴこぴこと揺れました。


「うん。聴こえるよ。ごおーって、音がする」

「きっと、どこかに繋がっているんだと思う。行き止まりは、よくない空気が溜まっていることがあるから、気をつけないといけないよ。メディアちゃん、風の音がするほうに進んでくれるかな」


「まかせてー! こずえちゃん、しっかりとボクにつかまっていてね」

「うん……メディアちゃん、ゆっくり進んでね」

「わかった! ゆっくりだね」


 メディアちゃんの右肩につかまって、身体を寄せます。メディアちゃんの身体は、ぬくぬくしていて、全く汗をかいていません。


 洞窟に入ると、僕には、ほとんど何も見せません。ごつごつした岩に足を引っ掛けそうになりながら、慎重に歩いていきます。


 メディアちゃんは急に足を止めました。


「うぅ……。こずえちゃん、ぴちょーん、って、変な音がするよ」

「音?」


 耳を澄ますと、何かが跳ねるような高い音が、小さく響いて聴こえてきます。


「これって……えっと……メディアちゃん、平気?」

「こ、こわくないよ」


 メディアちゃんは身体を小刻みに震わせながら、慎重に歩を進めていきます。

 何度も響く音は、だんだん僕たちのほうに近づいてきました。


「メディアちゃん、この音は……」

「つめたっ」


 メディアちゃんの身体が小さく身震いします。


「ボクの頭につめたいものが当たったよ! ……つめたっ」

「メディアちゃん、たぶん水だよ。地下水か何かだと思う」


「えっ、お水? 飲めるの?」

「ちょっとわからないかな……」

「そっかあ」


 僕たちは水滴から離れて、風の音のするほうへと進んでいきます。

次回、第7話。

「リコリスさん」


あたしはスキウールス・リコリスだよ。

よろしくな。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ