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誰を頼りますか?

今度の今度こそ行動開始。その前で既にだいぶくるものがあるんだが、ここでリタイアしようものなら今回の件は解決しやしない。気を取り直して、希愛とは反対の方向に歩いて行った。


「とは張り切ったものの・・・。どうすりゃいいものか」

 あぁ言って動いたものの、いざとなると具体的にどうすりゃいいもんかわかったもんではない。

 何か手がかりみたいなものがあるわけでもないから、そもそも何を探せばいいんだという話になる。じゃあ誰かに話を伺おうか。というわけにもいかない。その辺の人に話しかけて事情説明したところで分かってもらえるわけないだろうし、それ以前にこんなこと誰かに話せるもんじゃない。

 そらそうだろう。私実は男なんですよー。って言ったところで、たとえ能力使ったとしても信じてもらえるわけなかろう。こういう時に頼れそうな人・・・。

 その場に立ち止まって考えてみた。そして一つの答えに、ひとまずは辿り着いたので人の目のないところに移動してから、スマホを取り出して電話をかける。


”はい・・・、もしもし”

”急に済まないな。ちょいと相談があってな・・・”

”何よかしこまって。らしくない”

 まぁ真っ先に思い付いたのは、長い付き合いでもある幼馴染の真琴だ。何かと話というか相談する分には気兼ねなく話せる。

”何というかな・・・。今日起きてから何か変わったこととかなかったか?”

”変わったこと?・・・特にないけど急にどうしたの?てかなんか声変じゃない?”

”えぇと・・・”

 今普通に声を発すれば、当然いつもの男の声ではなく女の声が出てくる。今は何とかそれっぽい感じで何とか話しているが、さすがに限界がある。こうして相談しているわけだし包み隠すのも野暮であろう。というか下手に引き延ばしをしたところで厄介なことになるだけだというのは容易に想像がつく。

”・・・口で説明するより手っ取り早くわかってもらえる方法がある。テレビ電話に変えてかけなおす”

 真琴の返答を聞くことなく電話を一度切って、さっきの言葉通りテレビ電話にしてからもう一度真琴に掛けなおした。

”・・・・・・・・・”

”こ・・・、こういうわけで・・・”

 画面の向こうに映る彼女は無言であった。それが三十秒くらい。まぁ・・・そうだよな。幼馴染から電話がかかってきたかと思えば、画面に映っているのは見知らぬ女の子なんだもん。

 ずっと目をぱちくりさせてたり、自分の頬を引っ張ってみたり。これは夢であろうという彼女の考えではあるが、そういうわけでもない。間違いなく現実なのだ。

”あんた・・・。わざわざ女装の報告?”

”そんなことするほど堕ちちゃいない。非常事態だからこそこうして相談してるんじゃない”

”そんなもん、あんただったら能力で解決しないの?”

”もう試したわ。でもだめだった。どういうわけか今は能力発動してるときだけ元に戻るんだよ”

 試しで一度能力を使って、煙に巻かれて一時的に元の姿に戻る。数秒経ってから能力を解除。煙とともにさっきの姿に戻った。

”ホントね・・・。てか何で私にそんなことを?”

”他に相談できる相手も中々いなくてな・・・”

 今日朝あったことから今電話をかけるに至った経緯についてまで。分かっていること説明のできる範囲で彼女に説明する。勿論希愛も同様の状態にあることも説明した。

”ていうかお前はいつものままなのか。今更なんだが隣の家だし同じようなことになってるかと思ってな”

”あぁーそれなんだけどねー。今色々と事情あって京都にいるの。いくら広範囲に効果ある能力にしても流石に此処までは影響はないでしょ”

”そら200キロぐらい・・・かは離れてりゃなぁ”

”てか喋り方がさっきから定まってないじゃないの。とうとう頭までおかしくなった?”

”どっちかにしたって、あんたからすりゃ違和感しかないでしょう”

 当然今のなりで普段通り話しているのも変だし、演技で見かけ通りに話していても、彼女の知る黒宮蓮としてみればやっぱり違和感があるわけであって・・・。

”俺・・・私どうすりゃいいんですかね・・・”

”私が知るわけないでしょー。アドバイスするにしたって何言えばいいのかわからないし。というよりそろそろ出掛けないといけないからもう切るわね”

”え!?あ、おいちょっと・・・”

”元に戻れるよう祈っとくかんねー。バイバーイ”

 自分らでどうにかしろってことか。はぁ・・・。仕方ないか。ある程度理解はしてもらえただけでも収穫ものか。


 気を取り直して今度は、執行班の他のメンバーにでも話をしてみるか・・・。少なくとも面倒ではない人で。

 このことは結局はメンバー全員の耳に届くことになるかもしれないが、最初の報告は頼りになる人にしたい。袴田さんと北島さんは、考えるまでもなく却下だ。あの二人の場合、最終的にどうなるか知れたもんじゃない。少なくともだがネタにされたり存分にイジられたり、弄ばれたり着せ替え人形にされたり、変なあだ名とか通り名つけられたり・・・。これくらい容易に色々と想像がつくくらいにだ。これ以上言わないでおこう。とにかくこの二人は除外だ。

 天王寺さんは・・・、・・・。やめとこう。何というか・・・こう・・・なんだ。説明し難いがなんかこう・・・うん。申し訳ないが相談相手ってことには向いてないような感じがする。

 悠にこのことを説明するのも、なんか別の意味で言いにくい。

 あとは紅葉か邦岡さんになるな・・・。彼女にこの姿で話をするのもなんか気が引けてしまう。ここは邦岡さんに相談することにしよう。あの人は冷静に物事判断できる人だ。今の俺の姿を見たなら驚きはするだろうが、何とか取り合ってはくれそうだし、捜査にも協力してくれそうだ。そうと決まればさっそく電話を・・・。


 そう思った時、背後から声をかけられた。

「そこのお姉さーん」

 男性の声だ。ゆっくりと声のした方を振り向いてみると、声をかけた男のほかに三人の男が。

「あのー、私に何か?」

「そーそー君のこと!お姉さん今一人?」

「えぇ・・・まぁそうですけど・・・」

「よかったら俺等とお茶しない?お兄さんがもつからさー」

 あれ?もしかしてナンパされてません?不味いぞ、ただでさえ時間がないっていう時だっていうのもそうだが、言っとくが今はこんななりでナニがないって言っても、実際の俺は男だからな。それがばれてみろ。いろんな意味でお終いだ。とにかくやんわりと断らなければ。

「こんな私なんかをお誘いしていただいてありがとうございます。お気持ちは嬉しいんですが、今急いでいるところで弟を待たせてしまっているので・・・、申し訳ありません」

「そっかー・・・。なら仕方ないかー」

「弟思いのいいお姉さんなことで」

「でもお姉さんお綺麗ですから、そんなこと言わずに自信持ってくださいよー」

「そうですよー」

「ははは・・・。ありがとうございます・・・」

 なんだろう。少しばかりか悠の気持ちが分かってくるような気がする。何とも複雑だ。

 まぁでも何とか丸め込めたし、お相手さんも快く理解してくれたようでしつこく絡んでこなかったのは幸いだ。

「では私はこれで・・・。失礼しますね」

 立ち去ろうとしたその時であった。微笑みが苦笑いになったのは。


「何してるんだーい。あんたら」


 なんか面倒な奴が現れたぁぁぁぁ!?

 

「どうかしましたか桐生さん。目が泳いでいるようですが?」

「あー、いえ。何でもないです」

「(あの人、結構好みかもしれない・・・)」


 後々大変なことになりそう。

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