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イトとカギ

「ただいまー」

「たっだいまー」

「おっじゃましまーす」

「お邪魔します」


 今日は俺と希愛、真琴、紅葉の四人で勉強会をしようという話になり、放課後コンビニに寄って飲み物とお菓子を買ってから、俺の家に来たわけだ。


「おかえり。それといらっしゃい。ゆっくりとしていってくれ」

「はーい」


 リビングからじいちゃんが出てきて、真琴達に挨拶した。


「コップ持ってくるから先に上がって待っててくれ」

「はいはーい。こっちだよー紅葉先輩」


 二階に上がっていく三人を見てから俺は台所に向かい、人数分のガラスコップをお盆に乗せて自室に向かおうとした時、じいちゃんに話しかけられる。


「それにしても可愛らしくて元気な子じゃあないか。紅葉ちゃんと言ったかの? 希愛が時々その子の話をするもんでな」

「え。あぁ、そうなんだ」


 そう言えば俺と紅葉が付き合ってるってこと、まだじいちゃんとばあちゃんには言ってなかったな。じいちゃんがあぁ言っているってことは、希愛もその事は言ってないみたいだな。今日じゃなくともいつかは言うことになるか。

 そう思っていたらじいちゃんからこんな提案をされた。


「そうじゃ。せっかく来てもらったんだから、夕飯食べていきなさいって、聞いてみてはくれんかの」

「さっき言えば良かったのでは!? 一応聞いては見るけど」

「頼むぞーい」


 それ以上、じいちゃんに対しては何も言わずに振り返って自室に向かった。



「お待たせ」

「なんか遅くなかった?」


 コップをテーブルに置きながら、遅くなった理由を話す。


「じいちゃんに、せっかく友人が来たんだから夕飯でも食べていかないかって言われて」

「お言葉に甘えます!」

「予想通りの返答でむしろ安心した」


 紅葉のことだから、だいたい予想はついてた。が、即答とは恐れ入った。


「あ。でも家に電話入れとかないと。ちょっと待ってて」

「一応私もかけておくわ」


 紅葉と真琴はカバンを下ろしてスマホを取り出し、自宅に電話をかける。一分くらいで双方の電話が終わったようだ。


「おっけー。お母さんには言っておいたから」

「私も大丈夫よ」

「急な申し入れで悪かったな。その事じいちゃんに言ってくるから先に始めててくれ」

 二人とも問題ないようで安心した。俺はその事をじいちゃんに伝えるために部屋を出て一階に降りて行った。



「勢いで言っちゃったけど良かったのかな?」


 紅葉が先程のことについて真琴に尋ねていた。


「蓮のおじいちゃんが言ったからいいのよ。それにあの人、お客さんには甘いから」

「そうなんだー」

「そうそう。この前お休みの日に来たご近所さんとも二時間くらいは話してたかな」




 伝えること伝えて部屋に戻り、今度こそ勉強会を開始。学校今日で出された課題。数学、化学、英語、その他問題集に参考書。それらと睨み合い、相談しながら勉強会をしていった。

 開始から一時間ほどしてから休憩。ジュースとお菓子をつまみつつ話をする。そうしていると紅葉があること尋ねてきた。


「これきれーだねー。こんなのどうしたの蓮君」

「ん? どうかしたかってそれ」


 紅葉の声がした方を振り向いてみるとその先は俺の勉強机で、紅葉が持っていたのは例の白い石のペンダントだった。 



「蓮こんなもの持っていたの? なんからしくないのね」

「ほんとだ。そんなもの持ってたんだ」

「いったいどうしたのこんなもの?」


 話してもいいものか悩んだが、特にはぐらかせる理由もないし、あったとしてもとびきりの言い訳が思いつかない。こんなものその辺で拾ったとか言う理由で通るわけが無い。


「昔向こうに住んでた時に、道すがらで出会った女の子から貰ったものなんだ」

「ふぅーん」

「聞いてきた割に偉く素っ気ない返しが来たな。別に嘘はついてないからな」

「分かってるわよ」

「今思うと、こんな大層なもの貰うようなことしてないんだけどな。その女の子が迷子になっていたみたいだから、少し相手をしてやっただけだ」


「お兄ちゃん。希愛にもよく見せてもらってもいい?」

「ん?別に構わないけど、落とすなよー」

「分かってるよー。希愛そこまでドジじゃないもん」

「はい、希愛ちゃん」


 希愛に言われて紅葉はそれを手渡しする。希愛が右手を伸ばし、そのペンダントに指先が触れた時だった。


「!?」


 突然希愛の体がピクっと動き、ペンダントは弾かれ、宙を舞った。


「とわっと危ねぇ!?」


 俺は素早くペンダントが舞うところに右手を伸ばし、キャッチした。


「ったく気をつけてくれ。どうしたんだよ」

「いや、なんか。触った時に静電気みたいなのがビリってして……それでびっくりしちゃった」

「静電気? 別に冬でもないし、それも金属ってわけじゃないからそんなこともないと思うけどなー」

「でもでも……」

「分かった分かった。お兄ちゃんそこまで疑わないから。今度は落とさないように乗っけてやるから手ぇ出しな」

「うん……」


 今度は弾かれることのないように、希愛の手のひらの上にゆっくりと置くことにした。

 そっと俺が手を離してやると、希愛はおそるおそる指を近づけていく。何事もなくペンダントに触れた時、彼女は安堵の溜息をついた。


「ねぇねぇ。せっかくだから付けてみてよー」

「そういうの柄でないと思うんだが・・・まぁ分かったよ」


 紅葉に頼まれるまま、そのペンダントを付けてることに。希愛からペンダントを受け取り、チェーンの留め具を外して首元に当て、首の後ろで外した留め具を合わせる。


「付けてみたら意外と小さく見えるね」

「やっぱり蓮にはこういうキラキラしたのは似合わないわね」

「でも私は似合ってると思うよ」

「俺はこういうの付けないからな。オシャレってもんでもないしな」


 特にこのまま付けている理由もないのでさっさと外そうと首の後ろに手をやろうとしたその時であった。


”でもこういうのも悪くないのかもしれないわね・・・”

”お腹すいたなー”

”それにしてもさっきのなんだったんだろ・・・”


 言葉が俺の脳に流れ込んできた。それにしてもこれは、今目の前にいる三人の言葉なのか?


「なぁ。今なんか言わなかったか?」

「え? 私は何も言ってないけど?」

「私も」

「希愛も」

「……そうか」


 三人とも何も言っていないと言う。ならさっきのは心の中で思っていたことが聞こえてきたってことなのか? とうとう心を読めるようにでもなったというのか?

 いやいやありえない。前に大桑さんが言っていた。能力は一人につきひとつで、明らか異なるような能力を二つ以上持っている人は居ないと。

 だとしたらこのペンダントが関係しているのか?そういう力がこれにはあるってことなのか?いやしかしそう言いきれる訳でもない。これだけでそう断言するのは短絡的だろう。色々調べてみる必要がありそうだな。


「俺の気のせいだったみたいだ。忘れてくれ。」

「あぁそう」

「それじゃあそろそろ再開しようか」


 確かめてみたいという欲求もかあるが、今それをすると本来の目的である勉強会所でもなくなるだろうし、それに……。

 ともかくこのことについて、今は置いておくこととして、時間のある時にでもゆっくりと考えることにした。今度こそペンダントを外して、元あった場所に戻した。



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