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理性とコスプレと

47話の後くらい

 応接室のドアを開けて真っ先に目に飛び込んできたものは、どういうわけか安らかな表情で倒れていた邦岡さんであった。



  もともと今日は非番だったんだが、帰ろうとしたところに袴田さんに来てくれと、連絡があったもんだから何かしらあったんだろうかと思ってきてみたらこれであった。今わかる状況について詳しく説明してみるとこんな具合だ。

 まずは最初に話した通り、安らかというか尊さでも知ったような顔で倒れている邦岡さん。色々とコスプレ道具を持っていた袴田さん。でもって制服姿で猫耳カチューシャつけてた崎田さん。と、魔法使いにも似た服きてる北島さん。……こんな所だろうか。


 成程。……かわいい。


 じゃなくてだ。ともかくこのよくわからん状況と、倒れてる邦岡さんを何とかするほうが先だ。ひとまずは話を聞こう。




「あの。いったいなにしてたんですか」

「あ、あらーいらっしゃい。ちょっとこうして持ってきたコスプレ道具、色々と使っていたのだけど……」

「一体全体どうした経緯でこうなったんです」

「演劇部の友人にいろいろ頼まれちゃってねー。こうしてメイキングしていたんだけど」


「そういうことは演劇部の部室でやってもらえませんか」

「その前に執行班のみんなに見てもらいたかったから。どうかしらー?」

「ねーねー、どうかなー黒宮君」


 崎田さんがその場でくるんと一回転してから俺のほうに近づいてきた。回っていた時に見えたけど、猫の尻尾まで付属していた。


「……いいんじゃないか。可愛らしくて」

「ホントー!! ありがとー!」


 もっかい言わせて。めっちゃ可愛い。



 っていかんいかん。このままじゃ向こうのペースに流されてしまいそうだ。そうなっては蟻地獄にハマったも当然だ。




「邦岡さんをそこに寝かせてとくとしまして……。何となく今の状況になった理由について想像はつきますけど、ひとまず聞かせてもらってもよろしいですかね?」

 ひとまずは倒れていた邦岡さんをソファーの上に寝かせてから、三人から話を聞くことに。

「まぁー。大体はさっき袴田さんが言っていた通りなんだけど……」


 猫耳つけたままの崎田さんから説明された。




「本日は如何様なお呼び出しで」

「それにその大きなカバン。中身なんですか」


 大きめのカバンを持った袴田さんがそれを床におろしてから説明した。


「この前演劇部の友達にちょっと頼まれたことがあって、こうして家にあったものを持ってきたのだけど、せっかくだから二人とも着てみない?」


 彼女がカバンから取り出したのはコスプレ用の衣装やアクセサリー。


「流石にオプションまでは持ってくるの大変だったから諦めたのだけど、それでも持ってこれそうなものは大体持ってきたのよー」

「ホントにいっぱい。でもいいやつって結構値段しますよねこういうのって」

「流石にそこまでいい奴じゃないのよこれ。もちろんそういうやつは欲しいのだけど、お財布もふくよかじゃないのよね…」

「その痛み、我も同じように感じるものよ……」

「まぁとにかくこういうのも、向こうの参考になればと思ったからさー。ほらほら、遠慮せずにさー」

「なんか楽しそうです!」


 部屋にいた三人であれやこれやと衣装を選び、袖を通す。最初に気に入ったであろうものに、崎田と北島が着替え終わったところで誰か入ってくる。



「おーい。呼ばれたもんだからなにをして、る……」


 入ってきた邦岡さんの目に最初に映ってきたものは、猫耳カチューシャつけた崎田紅葉であった。


「あ。邦岡さん」


「……」


 邦岡は入口で立ち止まったままになる。何やら口元が僅かに動いているようだが、何を話しているのかについては、本人以外には分からないであろう。



「(袴田の差し金だということは考えるまでないことだが、それよりもすごい可愛い。本物じゃないコスプレにしたって、崎田がすごく可愛く見えてくる。まるで本当の猫なんじゃないのかいやそれすら通り越して天使なんじゃないだろうか。もふもふしたいもふもふしたいもふもふしたいもふもふしたいもふもふしたいもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふ……)」


 もう彼女の頭の中はもふもふという単語でいっぱいであった。そして思考回路がショートしたのか、満たされたのか。背中から抵抗なく倒れてしまう。



「あぁー!? 邦岡さんが倒れたー!!」

「人々を魅惑する波動を有しているというわけか。流石は其方の魅力故のことよ…」

「麗奈には効果抜群って所かしらー」

「あー。それよりも……」

「ちわーす」


 また応接室に一人、入ってくる。


「「「あ」」」

「……」



 ということで現在に至るというわけだ。崎田さんの格好を見た邦岡さんが何を起こしたか倒れたというわけか。あの人、大の猫好きだったっけ。


「まぁ……だいたい分かりました。とりあえず邦岡をどうにかしませんか。とりあえず保健室に……」

「麗奈ならすぐに起きるから大丈夫よ。それよりも蓮君。せっかくだからあなたにも協力してもらおうかなー」

「いや、それよりもで済ませないでください」

「じゃあ……」


 もう俺をよそにして三人で話し始めていた。何をするつもりなのだろうか。邦岡の寝かせてあるソファーから離れたところで三人が話していたので、それを見て決心した。


「それで黒宮君」

「汝にも協力してもらいたいのだが……」


 気がつけば黒宮の姿はそこにはなかった。



 少しして、彼とすれ違いになるように天王寺が応接室に入ってきた。


「何してるんだお前ら」


それを見た三人が真っ先に彼の元に駆け寄って質問する。


「それよりも天王寺さん。黒宮君見てませんか!?」

「……さっき邦岡を抱えて行ったのを見たが、何かあったのか?」

「「「あ、逃げられた」」」






「悪いが付き合いきれねぇ……」


 隙をついて逃げ出し、邦岡さんは保健室に運んでおきました。

夜。

”崎田紅葉が画像を送信しました。”

「一体なんだ」


この後即保存した。

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