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連絡事項を気取った雑談

最初に言っておくと、この章は番外です。時系列は前書きに記載しておきます。


21話以降



 日曜の午後。自室の机に座り数学の課題に取り組んでいた。色々と忙しいことはあれど本業は学生。勉学は切り離せない関係だ。

「さてと。これで目標分は終わりだな」

 今日やる分は終わり、握っていたシャーペンを机に置く。


 執行班に入り二週間程。まだ大きな仕事こそしていないが、いずれはそういう時が来るのだろう。初仕事で拾ったものがきっかけでかなり事が進展しそうだと言われ、そう長くないうちに作戦をするとかどうこう言っていた。

 覚えていかなければならないことも多いし、何よりいち早く溶け込む必要もある。同じクラスということもあって崎田さんはよく声かけてくれるし、悠は同じ学年の男子としてよく話をする。ただ他の四名とは、執行班の活動の時以外あまり話すことも無い。色々と接しづらいというのもあるが、慣れないというのも勿論ある。


 ベットの上に置いてあったスマホが震え、ピコンと着信音がなる。その方に向かい、スマホを手に取って確認してみる。


【邦岡麗奈】月曜の放課後に会議を行う。その日は全員応接室に集まるように。


 どうやら伝達事項のようだ。執行班のトークグループにおいて、こうした情報伝達がされることも多い。と言っても俺は入ったばかりなので詳しいことはまだよくわからないがな。


【黒宮蓮】分かりました


 一言返信しておく。内容が何であれ、必ず返信はしておこうというのが自分のポリシーである。後からなんで返事をよこさないんだとか言われるのが嫌なのだ。希愛や真琴、大体の俺の友人はそこまでとやかく言うような奴はいなかった。でも実際そういうやつも世の中いるとか言うのでそうしている。勿論返事は、俺が目を通したものに限られるが。

 返信を送ってしばらく。またピコンと着信音がなる。送ってきたのは邦岡さんではなく別の人物であった。


【崎田紅葉】何話し合うんですかー

【邦岡麗奈】会議と言っても大層なものじゃない。簡単な報告と、配布物を渡すくらいだ。十分くらいで終わる

【崎田紅葉】はーい


 崎田さんからの質問で、それに対して邦岡さんが簡単に回答。

「まぁともかく月曜の放課後だな」

 それを確認して画面を消灯させようとした時、新しい着信が入った。


【崎田紅葉】ところで折角ですから何か話でもしませんかー

【袴田美音】あらーなんかおもしろそうねー

【リリーシェ】此度はこの私も参じることとしようではないか

【邦岡麗奈】私はしないからな。やることがある。

【崎田紅葉】黒宮君、良かったら話に付き合ってくれない?


 ただの業務連絡だったのに、崎田さんの一言で何か始まりそうな雰囲気になったぞ。いつの間にか袴田さんと北島さんまで加わっているし。

 まぁでもせっかくだから少しは参加させてもらおうか。形がどうあれ、こういう会話に入るのも、親睦を深める意味では悪くないだろう。



【黒宮蓮】まぁ少しくらいは付き合いますが

【崎田紅葉】やったー!!

【袴田美音】じゃあまずは蓮君のことについて色々教えてもらおうかなー

【リリーシェ】面白い

【黒宮蓮】何を語れば

【袴田美音】そうねー。無難なところ行くなら趣味とかかしら

【黒宮蓮】スポーツですかね。体動かすのは好きなので

【袴田美音】夜の?

【黒宮蓮】そういう変に取れる表現はやめてください。普通に野球とかバスケとかですからね

【袴田美音】ジョークじょーく

【崎田紅葉】夜のってどういうことですか?

【黒宮蓮】聞かなくていい

【リリーシェ】では其方、現代のグリモワールについて興味はないか

【黒宮蓮】?

【崎田紅葉】ラノベに興味はないかって

【黒宮蓮】頼むから直接そう言ってくれ

【リリーシェ】何を言うか。現代人を虜にし、世に革命さえも起こしうる賜物。グリモワールと呼ぶに相応しいであろう

【袴田美音】その表現面白いわねー。小説のネタにさせてもらおうかしら

【黒宮蓮】実に光栄なことだ

【崎田紅葉】それで黒宮君としてはどうなの

【黒宮蓮】ラノベとかだったらたまに読む程度

【リリーシェ】心得た。我が今度オススメの贄をソナタに教えてやろう

【黒宮蓮】そりゃどーも


なんか相手するのも楽じゃないな。邦岡さんが結構手を焼いていたというようなこと、前に崎田さんガチャ言ってたけどわかる気がする。


【草薙悠】かなりの通知が入っていたから気になったんですけど

【草薙悠】何を話し合っているんですか

【崎田紅葉】草薙君とうじょーう

【袴田美音】いらっしゃーい悠君。せっかくだからありのまま全てさらけ出して語らいましょーう。新入もいるわけだしー

【草薙悠】それは面白そうですけど、程度はわきまえて下さいね

【袴田美音】せっかくだから皆の秘密暴露大会でもしようと思ったんだけどなー

【崎田紅葉】それはやめてください

【草薙悠】今度は会った時に一発欲しいんですか

【リリーシェ】我としても、真の正体を易々と知られるわけにはいかんのでな・・・

【袴田美音】蓮君の反応が気になると思ったんだけどなー

【袴田美音】まぁお姉さんそこまでひどくはないからそうしておきましょう



 その後はコチラが一言送る暇もなく話が進行していく。もう俺にはついていけそうにない、そう思った時であった。


「おーい蓮!ちょっとこっちきて手伝ってくれんかー」

 一階から俺のことを呼ぶじいちゃんの声がした。呼ばれた以上、特に手の離せないことをしているわけではないので、行かなくては。

 何か一言送ってから行こうか悩んだが、もう全く関係のない話で盛り上がってしまっているので、メッセージは送らずに静かに退席。スマホを机に置き、一階に降りていった。


 その後はじいちゃんの作業の手伝いをして、終わったあとはそのまま夕飯、一瞬だけ部屋に着替えを取りに行って入浴。それを終えて部屋に戻ってきてみれば、夜の九時手前であった。

 体の火照りも覚めた所でスマホを手に取ってみると、真っ先にこの一文が目に飛び込んできた。

 未読のメッセージが157件あります。


「一体どれだけの時間話し合っていたんだ・・・」

 ひとまず通知を開いて、俺が席を外していたあいだのやり取りをサラッと確認してみる。少し経ってから俺がいなくなっていたことに気づいたようで着信も入っていたが、その後は仕方ないかと諦めついたはいいが、その後も相変わらず四人で雑談を続けていたようだ。それにしても四人でこれだけの会話をしていたというのか。お堅いイメージがあったのだが、それも少し払拭された気がする。

 そういえば誰かを忘れている気もするが、まぁいいか。その辺について考えることはやめにした。明日の用意を済ませ、スマホでしばらくゲームをしてから、ベットに潜った。



 翌朝のこと。

 未読のメッセージが209件あります。

「・・・何があったんだ」

 昨日唯一参加していなかった者は、通知の内容にそれ以上の言葉が出ないでいた。

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