そして石油が全てを動かす時代となった。
一連のイランでの問題解決後、1970年代に入ると世界の石油は何かしらの元売企業によって支配されるような形となっていく。
その形態に反旗を翻したのは当初こそ米国主導で作られた存在が、相次ぐ戦争によって関係が希薄になった隙を利用したOPECだと言えるが、OPEC自体の石油価格操作の試みは、最終的に中東が常に戦地になるという悲劇を生むこととなった。
今日、シリアを含めた中東の状況を日本では「宗教の対立」と表現している。
しかしである、もし現代においてロックフェラーやマーカスらが生きていたとしたら否定することだろう。
彼らは生前「利権無き所に火の手が起こることなどない」と主張していた。
実際、今日において殆ど紛争がない地域というのは先進国にとって「資源もなけりゃ利益もない」といったような場所。
宗教的思想の対立だけなら、ここまで列強の国々が介入したりなどしない。
そこに十分な見返りがあるから介入するわけだ。
常に紛争が起きている地域は何かしらの利益がある。
戦争と紛争の背後には金と利益。
現時点において日本国周辺がある程度平和な理由も「仮に火種を起こしたとしても、政治的、国家的利益が毛ほども存在しない」からである。
9条とかいう謎バリアーでもなんでもない。
例えば、スターリンですら、晩年にもなるとアジアへの勢力拡大を諦めていたきらいがある。
それは「この辺りの場所を獲得しても現状では反共主義も芽吹いてきて何1つ利益にならん」ということで、ソ連崩壊後に独立した国家の大半は「独立に支障をきたさない地域」ばかりであり、逆に「独立によってロシアの地盤を揺るがす」なんて場所はウクライナのように強引な手法でロシア領土に再び組み込まれてしまうわけだ。
例えば、近年、バルト三国はロシアへの緊張を高めているが、実際にロシアがウクライナのような強引な手に及ぶかといえば、殆どの政治家が「NO」と答えている。
確かに分断工作などについては活発だが、軍を利用してというほどのものはない。
一方、ウクライナのクリミア半島に関しては軍という存在を利用してまで強引に奪った。
そこにはクリミアがあの周辺の地域では石油産出量が多く、太平洋を含めた勢力圏拡大を画策するにあたり、「これほどにまで貴重な中継拠点はない」と判断されたことによる。
バルト三国は石油の殆どを輸入に頼り、自国での産出など殆ど期待できない。
領土的にまるで旨みが無い。
一方、今中東と並びロシアがご熱心の日本の北方領土。
なぜ突然ここまで強硬政策に出たのかというと、「ちょっと真剣に調査したら海底に10億tもの石油を発見したった(笑)」というのが影響している。
近年、ロシアが極東地域における資源開発を急ぐ理由は、本来は「くれてやってもいい」とされた地域が「宝の山だった」ことに起因しており、その石油埋蔵量は尖閣周辺の地域の比ではない。
国内での報道では「極東での石油開発を推進している」としかかかれないが、「じゃあどれだけの量が眠っているんだ」ということについては伏せられている。
なぜ伏せているか。
それを国内で問題視されたら「北方領土なんて返還は無理だな」と、諦めムードが漂うメンタル弱小国家が日本だからである。
現在の日本国首相はその点で「共同開発」という形にもっていこうとしたが、金だけもっていかれて完全に閉め出しされる状況。
これを叩き潰して取り戻すのは簡単なものではない。
それこそ「石油に代わるエネルギーで頂点に立つ」ことでも出来ない限りは優位に立つことなどできない。
ちなみに、その中東の石油開発で2000年代頃からずっと協力体制にあるのがエクソン・モービル。だ
元スタンバックの米国系企業である。
そう、戦前から戦後までは「それなりの関係」をもっていたあのスタンバックである。
このような行動を起こした理由と彼らの狙いはあくまで「金が稼げるから」ではあるが、米国企業はこれまで語ってきた通り、そのためなら「平気で米国政府とも敵対する」といった存在。
かつてはACJと手を組んで戦った者たちが、今まさに「敵対」に近い関係となってしまっている。
つまり、現時点でこの企業は「日本の敵」である。
日本はこの動きに対し、実は面白いことをやっていたりする。
それはエクソン・モービルの締め出しだ。
昨年、日本が「エクソン、エッソ、モービルのかつてはエクソン・モービルが用いていた国内ブランドのガソリンスタンドを全てエネオスに統一する」と主張し、話題となった。(補足するとゼネラルもこれに巻き込まれる形となった)
その背景には日本にも政治介入まで含めて好き勝手しようと試みたエクソン・モービルの日本支社をまずは買収したことが起因しており、
買収理由は単純に「こんな連中の手が及ぶなど怖気が走る」という国家的な理由が大きい。
無論、買収するまでには「いや、共同開発とかの可能性があるのでは?」といったことも判断されたが、その可能性が微塵もなく、また戦後、この企業がした仕打ちを覚えている日本は「信用など元よりしていなかった」ので、JXTGガスを通じてこのような状況へと持ち込んだわけだ。
無論、表向きはJXTGガスの独断とされているが、よーく目を凝らして現首相のブレーンを見てみると、元東燃ゼネラルの社長など、「そっちの人たち」ばかりである。
つまり、現政権の参謀を担う存在とJXTGガスは実質的に「つながりがある」も同然なわけだ。
こういった立場に石油企業の者がいるということは、様々な政治情勢を企業側が把握できる環境があるわけで、経営戦略に「国の事情が関わっていない」など言い切れるわけがない。
一方で、その割には買収した後、10年近くもの間ブランドを継続していた謎がある。
この裏ではJXTGガスとなった東燃ゼネラルが、日本でも石油事業を展開するエクソンモービルの企業を買収したあと、しばらくの間は様子見ということで「有名ブランドだから」と使っていたものの、
今後「紛争になってブランドイメージを低下させうる」「というかもはや日本にとっては敵」ということが確定的なったことが起因……というか引き金となっている。
見定めた理由はやはり「かつてはスタンバックだったから」ということが大きい。
共同開発の話題を出したのも、他でもないエクソンモービルによるものだったからだ。
(まぁ、どうやら最近の動きを見る限り、エクソンモービルも極東開発から締め出されるのが確定的になったのでまた動きがありそうだが)
逆に、関係性はほぼ希薄になったのにブランドをそのまま継続している昭和シェルは「昔から日本を支え続けた企業であり、今後も対等なパートナーとして付き合う」という姿勢があるからこそ、今でも貝殻マークとシェルの名前を用いているわけだ。
実際には昭和シェルはRDシェルから独立してしまっているので、今は同じブランドを用いる必要性はない。
出光側の創業者の親族が「え? 昭和シェルを買収して出光に統一するんじゃなかったの?」と勘違いしたのがこれが原因。
むしろ今では「出光ブランドの方が消えそう」ということで、創業者の親族と経営者で争いとなっていたりする。
このように、日本ですらかつてロックフェラーが唱えたように、石油は国家を背後から動かす強大な力と化してしまった。
中東については言うまでも無い。
シリアに関していえることは、中東で数少ない友好国であり、何としてでも勢力を維持しなければならないロシアと、テロリストを扇動し、自らに火の粉が及んでもなお「こいつらにシリアをめちゃくちゃにしてほしい」などと願う欧米や欧州の姿が浮かび上がる。
その炎の蠢く風の動きを読み間違え事で欧州や欧米は自分たちの手でもって火消しを行わなければならなくなっものの、
一時期はそのテロリストたちがなぜか「欧米諸国の最新鋭武装を保持している」などというふざけた状況があった。
それまでテロリストといえば「AK-47などから始まるソ連製の武器を持っている」ことが当たり前だったことが崩れ、現地調達が容易なのと、敵味方の判断がつきやすいという理由から、なぜか現地でAK-47を使う米国の特殊部隊が見られるようになるなど、「何がなんだかわからないよ」といった混沌とした世界が広がっており、現在もその流れは動きが小さくなったものの続いている。
こういった状況の中でも尚、昔ながらの手法でもって国家から信用をとりつけ、石油を販売しようとがんばるメーカーの中の1つに黄色いホタテを掲げる企業があるのだ。、