№6 目指すべき方向 ~ちょっとした息抜き要素あり〼~
「あなた方勇者を中心とした国を作ってほしいと考えています」
「勇者を中心とした国ですか?・・・こう言ってはなんですが、私たちは勇者と言えるか怪しいのです」
「では、来訪者と呼びましょうか?今までに異世界からの迷い人と言うのはいまして彼らをそう呼んでいましたから」
「来訪者?・・・それはどういった?」
「危機的災害・・・まあ、強力なモンスターが現れたときに現れる天の軍勢ですね。たまにこの世界に残りますが、ほとんどは討伐すると光となって消えます」
「あの、それは過去に氷針鼠や八岐大蛇などですか?」
「ああ、それは東大陸に出現したものですね」
「・・・そうですか」
実は今言った2体は最近ゲームでの緊急特別イベントだったモンスターだ。
1時間前に緊急告知され、復活はできなくリスクは大きいが討伐後の報酬がデカい上級者向けのイベントだった。
確かにそのイベントは強制転移の上、やけにNPCがリアルだったりと噂になっていた。
まさかそれは本物だとは思わなかった。
「勇者を中心とした国造りの件ですが・・・考えさせてください」
「断りはしないと?」
「一応は。依頼はこの国の復興を手伝う事くらいならみんなは納得するとは思います。ただ、われわれが統治するのは少し彼らが望んでいる結果ではないような気がします。ですがこれは個人的な見解。ほかのみんなにも聞いて、決めます。・・・それに伴って私からいくつかようして欲しい物と質問を幾つかいいですか?」
「ええ、できる限りは」
「では詳しい話を聞きましょう」
※※※
トモは先ほどの話し合いを思い出しながら廊下を歩いてゆく。
『あなた方勇者を中心とした国を作ってほしいと考えています』
・・・あの目は本気だった。
正直言って、彼らを怪しんでいる自分がいいる。
しかし、神からの依頼を叶える上でこの国を指揮する立場にいるのは何かと都合がいい。
しかし、自由度が失われる恐れのあるこの案件はかなり重要なことと思われる。
そうこうしているまに全員のいる部屋に着き、中へと入ると―――
・・・女性陣が背中を拭いてもらっていた。
「・・・すまん!?」
そう言ってトモは扉を閉める。中からは甲高い声が響くのを聞きながら僕はその部屋から離れた。
少し歩くと同じくこの世界に来た二人に遭遇した。
「あ、トモ。もしかして入ったのか?」
「あ、ヤイチに・・・」
「ミチナガです。Select・gardenではロビンと名乗っていました」
そう言ってさわやかな雰囲気を出す青年は僕にあいさつを返してくれた。
「ロビン?・・・ソウオウの名を持つ?」
「それを言ったら、トウシンの名を持つあなたの方が有名人ですよ」
Select・gardenに置いて同名と言うのはあり得ない。
あのゲームでロビンと言えば『ソウオウ』で名高い遠距離射撃系盗賊として有名なプレイヤーだ。
「はは、レギオン殿でも動揺はするのですね」
「自分も健全な男子。いたって普通の反応です」
ミチナガがそう言って笑うので、トモもしっかりと反論した。
しばらく僕は二人と雑談・・・と言うより自己紹介をしていた。
僕の名前の知っていた優しそうなイケメンは男の方は町川 八一。
プレイヤーネームはエイジで僕の病室のルームメイトだった男だ。
彼は生まれつき心臓病に掛かっており、それが補われて神の心臓と言うのを手に入れたらしい。ゲーム内では国となったギルド。聖王国ギルド名〈騎士皇の国〉のトップを務めていた。
もう一人の清楚系好青年は花柳 道長。プレイヤーネームはロビン。元々耳が聞こえない病気らしいが神の耳によって今は聞こえるが、アニソンが二度と聞けないことが悲しいらしい。それと、元々最年少マスタークラス執事と言う肩書を持ったコンシェルジュらしくこれからの行動を執事として動きたいらしい。ちなみ所同い年の18。
二つ名はソウキュウと義賊頭。義によって族となるロビンフットのようなプレイヤーでそれなり現地の配下や自作NPCも多く、かなりの有名人だった。
それから先のエドワードとの会話をかいつまんで話し、少し討論しているとドアがノックされる。
「どうぞ」というと、着替え終わりましたので部屋に来てほしいそうです。とおそらく侍女の方が言ったので部屋に戻る。
・・・ちなみに僕は一番最後尾にならんだ。
...べつに彼らを盾にしたわけではない。なぜなら、彼女らはしっかりと僕に枕を投げつけてきたからな。
・・・くそ、いたいじゃないか。