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昨夜のその後

 


「ねえ、エイトにレギオンさんは今有名な勇者なんだよね?」


 ミリは小さな子で僕達に聞いてくる。メレーヌも興味があるのか中々においししい朝食をほおばりリスのようにながら聞き耳を立てている。


「それは・・・」


「そうだよ。それに関してあとで話をさせてほしいかな?」


 僕は表情を変えずそう返す。そして言葉には少しの不快感を混ぜた。

 彼女はそれを察したのか、「ごめん・・・」と少し落ち込む。

 僕はヤイチを肘でちょんとつき、フォローするように促す。


「ていうか、俺は呼び捨てでこいつはさんづけか?」


「お前らは仲がいいんだな」


「「どこが!」」


「息揃ってますね、ミリ」


「メレーヌまで!」


「はは、いいじゃないか。この後服を整えて少し市街を歩こう。や・・・エイト、その前に少し話いいか?」


「ああ、わかった」


「女の子は準備に時間かかるから長めに話してていいよ」


 空気を呼んだのか二人はそそくさと部屋へと戻って行った。



 ※※※



「スキル〈防音結界〉・・・ヤイチ。これでいい。話してくれ」


「・・・」


「どうした?」


 ヤイチの表情はどこか暗く、どこか心配するようでもあった。

 僕がさらに何か言おうとすると先にヤイチが言葉を発した。


「・・・封印が解けかけたのか?」


「!?・・・さすがだね。でも、あいつはもう契約の名のもと僕の体は奪えない。まあ、暴走する心配があるのはわかる。そのための計画は水面下で進めているから安心してくれ」


「そうか、お前はやっぱりしっかりしている。・・・その、なんだ」


「どうした?」


 ヤイチは照れたように頬を掻きながら言った。


「・・・前の世界の俺とは違うんだ。できるだけ頼ってくれるとうれしい」


「・・・ぷッ。ははははは」


 僕は呆けた後思わず口と腹を押さえて笑い出してしまった


「そんな笑うな防音結界のせいでお前が変な奴に見られても知らんからな」


「・・・くっく。すまない。そうだな、もうあの世界とは違うんだよな」


 そう言うと少しだけさみしくも感じてしまった。


「・・・で、彼女たちを外した理由をそろそろ聞かせてくれるか、トモ」


「ああ、昨日の夜『R』に行ったときの話を聞かせてほしい」


「ああ、そうか。本来お前が合いに行くはずだったんだもんな。訪問そうそう侵入者と言われて襲われたよ。あああとお前が裏切ったという声まで聞こえてな、そいつは半殺しにしてしまった」


 そういってヤイチは頬を掻いた。


「・・・それは何とも済まない」


「必死の弁明をつづけ、俺の後をつけてきたミリが現れると一人のおじさんが号泣したことで収束した」


「・・・やはりか」


「え?納得しちゃうの?あのおじさん・・・バルトスって言ったか?あの人のことミリに聞いてもいせてくれなかったんだけど」


「時が来ればおしてやるよ」


「なんだよそれ―!まあそのあとあの爺さんとミチカゲ混ぜて酒飲みながら作戦についてはしたのが大まかな昨日の流れ」


「作戦について教えてくれ」


「えーっとなんだっけ、・・・ミチカゲ頼む」


「御意」


 そう言うとミチカゲがヤイチの隣に座る。


「・・・ミチカゲくん、ちょうどよかった」


「・・・はい?なんでしょうか?すごく嫌な気がするのですが」


 僕は腕を伸ばし彼の肩をつかむ。


「なぜ作戦会議中に酒を飲んでいる?」


「へ?・・・あ!ちょっと、ヤイチさん!」


「はは、お前がこいつにはどうしても言えないっていうからだぞ」


「いえない?何のことだ?」


「お前、こいつに余計なこと吹き込んだろ?」


「余計なこと?・・・どれだ?」


「おい、まさかあれ以外にもあるのか!?」


「師匠、『リアジュウバクハツシロ』のことです」


「ぶっ、お前本当に言ったのか。まああのことあんな感じじゃな、言われてもしょうがないだろ」


「お前はメレーヌさんといい感じなくせに」


「そんなわけあるか。ただの協力関係にしかないだろうが」


「・・・本当に鈍いやつ。それだとまさか、ホシカやレライトの気持ちにもか?」


「ホシカにレライト・・・(ボンッ)」


「え?・・・おい、何急に赤くなってるんだよお前らしくもない」


「・・・なんでもない」


「おい?本当に何があったんだ?え?商会連合国の旅行のときか?そうだろ?そうなんだろ?」


「・・・ヤイチ、その話は終わりだ」


 少々どすの利いた声でそう言ってしまった。

 あまりにヤイチがうっざかった僕は逆切れしてしまったのだ。


「・・・お、おう。すまない」


「・・・ふう、ミチカゲ」


 僕が精神を穏やかにするため深呼吸しミチカゲの名をようと彼はビクッと震えた。


「ひゃい」


「あ、お前まで怯えさせたか。すまない。・・・それで昨日は話したと言う作戦について教えてくれ」


 そういいてミチカゲの肩を少し強くたたき、意識を戻す。


「あ、了解です作戦としては師匠の考えた方法を採用そして―――」



 ※※※



「―――以上です」


「よくわかった。ありがとう。手筈は整っているんだな?」


「はい、今日しかければかなりの恩が売れますし、『R』の戦力把握もできます」


「それでだ、この件乗り込みは俺とヤイチだけで行う。・・・いいな?」


「俺はいいぜ」


「私もいいです。正直聖騎士の誘導妨害が一番ネックでしょうから」


 二人はそう言って頷くと、視線をトモへと移す。


「じゃあ、ヤイチはこれからミリさんとメレーヌに説明に行く。あとは頼んだミチカゲ」


「御意」




 そういって、ミチカゲは消えた。

 その後僕達は時間を確認する。


「20分たったな」


「そろそろ戻るか」


「だがこれで着替え中に鉢合わせとか恥ずかしと言うか、やばいぞ」


「じゃあ、とりあえず俺の部屋来るか?確かお前の部屋に服用意してあげたんだろ?」


 今ミリとメレーヌは外出用兼変装用の衣装(女性用)の中から着替えを選んでもらっている。

 その衣装を持っていたのは自分なので自分の部屋で彼女に見せてその衣装の入ったトランクを彼女に預けたのだが、その際にあのミリと一緒に選ぶように言ったのだ。

 つまりミリは今メレーヌと俺の寝ていた部屋にいるということになる。

 ちなみに着替えが終わったら元の部屋に戻ってもらいように話していた。

 つまり安全なヤイチの部屋に入り、ミリがいれば着替え終了。いなければ着替え中と言うことになる。


「とりあえず君の部屋で確認しよう」


「了解」


 そう言いて二人そろってヤイチの部屋へ向かい扉を開けた。

 扉を開けたその先には、違う服を着ようとしたのかワンピースを床に落とし、下着姿のミリにサイズが小さいのかお尻のラインがしっかり出ていて上には下着のみのメレーヌいた。

 僕とヤイチは固まり、また向こう二人も固まる。

 その中でいち早く硬直から戻った僕はドアをすぐさましめ、防音結果をすぐさま展開。

 今だ硬直の解けないヤイチを連れて僕の部屋へと戻るのであった。


 その後、顔を真っ赤にしてやってきた二人が僕とヤイチ委の頬に紅葉の後をつけたのは言うまでもない。






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