墓地での戦い side トモ
俺は、グラールとの距離を詰められないでいた。
両者ともに最高の剣士。故に目下では激しい戦いが広がっていた。
それはゆうに10分を超え、双方に激しい疲労の色が見え始めていた。
そんな拮抗を破ったの一人の男だった。
まず初めにおこったのは二人を巻き込むほどの大きな衝撃波だった。
少し前まで極度の集中力でいた二人だからこそ回避行動まで瞬時に動けたのであり、普通に戦闘していたらまず避けられないであろう一撃。
その攻撃開始地点にいたのはヤイチの親友、トモ。
そして攻撃線上には胸に穴の開いたワイトキングがいた。
そして誰かがトモの前から逃げ、それを合図に笛の音が墓地に鳴り響く。
「ここまでか・・・」
グラールがそんなことを言い出した。
「どういうことだ?」
「なに、簡単なことさ。時間切れだよここにもうすぐ聖騎士たちが来る。ほかの憲兵は俺達が殺したからな」
「・・・それはお前の意志か?」
「・・・YESかNOかで言えばNOだ。だがな、それを他者の言い訳にするわけにはいかない。だからな、もし次合うようなことがあればな―――」
「な!?」
「―――頼んだぜ?」
そういうと彼は闇の中へと消えて行った。
「・・・グラール。お前」
ヤイチはグラールの願いに戸惑いを覚えた。
「ヤイチ様」
「・・・おわっ、ミチカゲ。そうか、死体の回収か?」
「はい。それと聖騎士が来てますので師匠とおもに転移を」
「了解。・・・トモは?」
「目立った外傷はないです。ただ・・・」
「ただ?」
「少し雰囲気がおかしいというか・・・。少し気になる程度なのですが」
「お前にもわかるくらいなら少しまずいかもな」
「え?」
「こっちの話だ。その件は俺に任せてくれ」
「了解です」
そう言ってミチカゲは下がる。
「さて、激怒っぽいトモを慰めるには・・・あった」
俺はある物をストレージから取り出し、トモの下へ駆けて行った。
※※※
「ふざけるな、何が魔神だ!しかもあいつら俺の仲間を下に見てやがる・・・あいつらはな―――」
トモは一人いらだっていた。
それは先ほどのワイトキングに起因する。
時を少し遡ることになる。
ヤイチと別れてトモは愛刀〈無銘〉を取り出す。それを地面に立て、自分はその上に手を置く。まるで、明治時代の将軍のようなトモは続いてスキルを発動させる。
「概念武装〈精霊皇〉スキル〈魔力槍〉+〈付与:6属性〉+〈並行展開:1000〉結界師スキル〈ターゲット〉」
そういうとトモ周りに無数の魔力の槍を展開させ、それに属性を付与する。
精霊には4色赤・緑・青・黄色のほかに黒と白と呼ばれる希少な精霊がいる。
白が聖属性(+光)、黒が冥属性(+影)を持っており、悪魔のような負の塊には聖属性が天使のような正の塊には冥属性が効くと言う仕組みになっている
無数に表れた槍に紋章が付けられてゆく。
そしてそれは対をなすようにアンデットの一部にもついており、それは結界術によって簡単にははがれないようになっていた。
「解放」
トモのその掛け声と共に放たれた千の槍は一撃でアンデットを消滅させ、貫き地面に刺さった余波で他の個体を消滅させてゆく。
残ったのはワイトキングと・・・
「いるんだろ、爺さん」
僕は気づいてしまった。
あれだけ仲良く話していたあの老兵がこの場にいる事に。
「ほほ・・・何時からじゃ?」
「わるいが最初から・・・と言いたいところだが。ここに来た時だ」
「・・・その目が教えたのか?」
老兵はわざとらしく目を開けそう聞く。
「そうとも言えるが、これが無くてもわかる方法はいくらでもあるぞ?」
「フフ、やはり貴様は面白いのう。見込んだ通りじゃ」
「そのワイトキングは貴様を媒介として動いている。リソースをそいつに使いすぎたせいだんな雑魚アンデットしか呼べなかったとしたらお前はとんだ貧乏くじを引いたことになるな」
「そうじゃな。こやつは儂の命令で動くが、残りがこれだけ問うのものう。小Z基部化に恵まれなかったのはこれで2度目じゃからな」
「向こうで8英雄とか聞こえたが?」
「ああ、あれの1人に儂は殺されたのじゃよ」
「ロノクか?」
「・・・察しが良すぎはしないかのう」
「あなたがロノクと言う言葉に反応したからそう言ったまでだよ」
「・・・あれは正義感が強すぎた。その為に潜入捜査とも気づかずわしを殺し、そのせいで奴は自らの地位を追われ、自殺した」
「あれにそんな過去がね。でも悪いがあの亡骸は消えてもらった」
「フフ、そうか。わしも殺すか?」
「ああ、ここからは僕達若者たちの時代だからな」
「その生きがいはよし。故に一ついいことを教えてやる」
「うん?」
「・・・貴様の中に眠る〈傲慢〉の悪魔について知りたくはないか?」
「な、に?」
「わしは知っておる。この世界の創造主の名とそれに集いし6名。そして対をなす7つの天使を」
「知りたければ、わしと共にこい。そしてお前と来た女神の使者を殺せ。そうだあの坊主でいい。一番弱そうだし、バカそうだ」
「・・・魔神か。そういうことか。全部わかった。あの自称女神。偽物じゃねか。魔神?あんなのただの公爵級悪魔じゃねえか。この世界ではそれが神だ?なんどそりゃあ。・・・てかさぁ」
トモの雰囲気が変わる。
殺気は膨れ上がり、今にも目の前のすべてを壊しそうな勢いだった。
「・・・今俺の仲間を侮辱したな?」
その眼に光はなく、まるで悪魔を見ているようだった。
そして、その瞬間トモからの強烈ない一撃が大地をえぐった。




