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墓場の決闘 side:ヤイチ

 


「これは、死霊魔法。エバンと同じ。いやそれ以上だな。死体は・・・なるほど」


「トモ・・・?」


 ヤイチはトモ雰囲気がかなり悪いことに気づく。

 トモは戦闘時や賭け事、勝負事において、表情を面に出すことはあまりない。

 ただ、長くともにいたヤイチにはわかった。


「・・・トモ、()()()()()()()()?」


「!」


 トモはヤイチの言葉に今自分がどうなっているか察したようで、ひとまず深呼吸をする。


「メレーヌ、君は僕の言葉覚えている?」


 そういうとトモは彼の腕の中にいた女の子メレーヌにそう聞く。


「・・・わかっているわよ」


「メレーヌ?」


 彼女の名前に反応したのはミリだった。


「ミリ、久しぶり」


「メレーヌ!」


 ミリはメレーヌに抱きついた。


「・・・トモ?」


「感動の再開と言うやつだ。水を差すのは無粋と言うやつだよ。ぼくも・・・おまえらも」

 トモの気配に明らかに殺意が混ざった。

 戦闘態勢に入っている。

 ヤイチはそう判断し、自分も目を瞑り心を鎮めるすべての感覚を剣に集中させる。


「・・・ヤイチ僕が死霊系を狩る。君はあの暗殺者を」


「・・・了解」


 トモにそう言われたヤイチは目を開き頷く。

 その目には光は無くどこまでも引きずり込まれそうな闇が満ちていた。


「概念武装〈精霊皇〉霊王の守護結界」


 自らのジョブ結界師に精霊皇のもう力をプラスして張った結界。

 今この場にこの結界を敗れるかの性を秘めたものはおそらく背にいる親友一人だろ。

 トモはそう思い、背後の親友の心図よさを感じる。


「じゃあready、GO!」


 そう言ってヤイチとトモは互いに反対方向へ走り出した。




 ※※※



 Side:ヤイチ


 俺の前にはあのときの黒装束の人間のようなやつ。

 ・・・でも今は正体はわかっている。正直気分が悪い。


「・・・いるんだろう。死霊術師」

 そう言い手も出てこない。するとやつらの一人が短剣を投げてきた。

 俺はそれをつかみ、近くにある木に向かって思いっきり投げつける。

 その剣はまるで雷のような音をたて空気を切り裂きすすみ、ぶつかった木をへし折りその先の木々を数本倒していった。


「・・・たっく、あぶねえな」


「おまえは・・・」


「ふふ、ひさしぶりでーす。英雄さん」


 倒れた木の影から出てきた人物を俺は知っていた。

 あの吟遊詩人の四人組の一人の男だった。


「お前が死霊術師なのか?」


「正解・・・と言いたいところなんですけど。残念ながらそうじゃないんですよね。僕も自分の体を思い通り動かせませんし。でもまあこの集団を動かしているのは否定しませんね」


「エイト!そいつ死者のにおいがする」


「そういうことか。あのロノクとかいうやつ同じってことか」


「・・・ロノク?あなたロノクを知ってるの!?」


 メレーヌはロノクという言葉に反応する。


「その話を聞きたきゃ、トモに聞くことだ。俺はよくは知らねえ!」


 俺は彼女にそういう。

 そして正面の自称吟遊詩人と向かい合う。


「・・・自己紹介させて下さい、英雄殿。私の名な教王国建国の祖、イクシマ様と共にこの地を平定した八英雄が一人、剣闘士 グラール」


「新生ヤマト法国、国家元首 勇者 ヤイチ」


「あなたは強い。できれば1対1で戦いたかった。だが術師がそれを許さぬので集団で戦闘することをお許し下さい」


「はは、その言葉づかいに合わないな」

「そうですか?あの人とは偉い人会うのが多かったしに身に着けたんだがな。まあ俺も違和感だらけだからいいてことよ」


 彼はそう言って頭をかく。


「いいって。おれが王様だろうが英雄だろうが。敬語なんてつかわれるより普通の方が接しやすい。何せ俺は根っから庶民なんでね」


「そりゃあすごくわかるわ。・・・くそ、そろそろ戦わないと体乗っ取られそうだわ。頭の中がさっきから戦え、戦えってうるせえ」


「じゃあさっさとこい。楽にしてやる」


「・・・それじゃあ、お言葉に甘えて」


 そういうと彼も周りの黒装束の人物たちが動く。


「概念武装〈剣聖〉。聖剣師 スキル 聖剣召喚」


 そういうと俺の背中に一本の剣が現れる。その柄に手をかけ名をよぶ。


「聖剣 クラウソラス」


 そういうと剣は鞘が白く染まり、持ち手部分は晴天時の空のような透き通る空色。

 それを抜くとそこには光を凝縮したような輝く黄金色の刀身がその身を照らす太陽の光を反射する。

 それに呼応するようにもう一つの剣も自分にの鞘を外すことを懇願してくる念が飛んでくる。


「これ頭言いたくなるな。いくら自己成長型剣(インテリジャス・ウェポン)と言ってもこれはたまが痛い」


 そう言いながら、トモに教えてもらったこの剣の新名を開放する。


「鞘から抜きしその身はまた鞘の中。新名を持ってその解放せよ、万色の(エクスカリバー)


『我は創造主たちが認めし、汝にその身をゆだねよう』


 そう言って、剣は俺に少女の声でそう語りかけ俺から聖剣の聖属性を取り込み代わりに万色の魔力を供給する。

 万色の魔力とは敵弱点属性に自然と変わるまさに万色の魔力らしい。

 今回の敵は死霊。よって色は聖属性の白。

 聖剣は金白色の光を放ち、エクスカリバーは青白色の光を放つ。

 まずは5体。

 5方向から襲ってきた敵のうち、左右2体ずつに剣で斬撃を飛ばす。

 斬撃は予想以上に早く敵はその攻撃を剣やナイフまたは盾で受ける。

 しかしそれはまるで豆腐を切るかのように、入り込み彼らを真っ二つにする。

 唯一、攻撃されなかった正面の一体はそのまま俺の攻撃を仕掛けてくる。

 だがそのまま歩き、彼は俺との距離が5メートルあたりで空中からの一撃を与えるために飛びあがる。

 俺にそれをよける気はなく、そのまま歩き・・・歩きつづけた。


「・・・なにがおきてんだか」


 そう言ったのはグラール。彼は見ていた。

 空中に飛びあがった見方がそのまま塵となるのを。

 まるでシュレッターに掛けられるように。


「こりゃあ、まずいわ。全員で行こうか」


 そういうと残りの10体全員で襲い掛かって掛かってくる。

 2体が後ろから弓を3体が魔法を放ち、残り5体は身体強化系の魔法で身体強化の光をはなちながら迫ってくる。


「剣聖+聖剣師複合スキル〈双剣砲〉」


 俺は2本の剣を斜め下に向け、魔力を剣に譲渡する。

 剣は光を強め、一度点滅する。


解放(バースト)


 剣から光の線が走り、後方の5体を消滅させる。


「剣聖スキル〈見切り〉〈縮地〉聖剣師スキル〈補正〉〈スキル制限軽減化〉」


 俺はそう言って移動する。

 ――――グラールの前へと。


「あいつらと戦うのをやめて親玉の俺を倒そうと?・・・て、わけじゃんえよな」


 そう、()()()()()()ここにいるのだ。


「マジでどうなてるんだよ」


 そういう彼の目の間で、彼の仲間は敵を見失い止まった。

 そしてそのまま、胴体だけが止まることを忘れたように前へと動きごとりと音をたて堕ちる。

 そのまま遅れて下半身が倒れる。


「・・・あとはお前だけだな」


「うわー、まじで強いな―お前。・・・でも」


 そう言って彼は剣を抜く。


「その方が燃えるからいいよな」


 彼はそう言ってうれしそうに笑った。




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