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ミリとヤイチ

 


 俺はトモにおいて行かれ、ミリと二人っきりで過ごすことになってしまった。


「で、どうします?」


「俺は君を守ると言っただけで特に計画はないしな。町を見て回るか?こっちも観光したいし」


「追手がいるのにですか?」


「そのための護衛でしょ?」


「はぁ、まあいいです。そうだ、最後に寄ってほしいところが・・・」


「うん、いいよ。とにかく出かけようか?まだ昼だし、君お腹は?」


「で、デザートを食べてません」


「そうか、まだ食べるのか・・・」


 俺は苦笑いするしかなかった。


 ※※※


 外に出ると月詠の一人ミチカゲが接触してきた。


「我々は師匠より観光許可を得ましたがあなた様が危険な状態となれば即座に向かいます」


「すまないな。そう言えばトモはどこにいるかわかるか?」


「師匠ですか?すみません」


「いい気にするな」


『エイト~?』


 向こうで彼女の声がする。


「あー、王様」


「その呼び方はやめてくれ」


「えーっと、じゃあ覇王様・・・」


「もっと悪くなってる。名前でいい。名前で」


「では、ヤイチ様。我々はこれで・・・えーっとたしかこういう状況の捨て台詞は『リアジュウバクハツシロ』であってますよね?」


「おい、それどこで?」


「師匠がヤイチ様は絶対にどこかで女の子のトラブルに巻き込まれるから協力してあげたときに言えと言われました」


「・・・じゃあ、それをお前の師匠にも言ってあげろ。(命の保証はしないが)」


「え?・・・ああ。そういう意味の言葉なんですかこれ?でも師匠の場合、こっちの人達には全くモテませんからね」


「・・・それ一応トモに言っておくわ」


「ッ!?ま、待ってください。殺されます。殺されてしまいます!」


「じゃあ、さっきの言葉きちんとトモにも言えよ」


「・・・はあ、わかりました」


 そう言って彼は掛けて行く。


「あ、エイト。何やってんの?」


 ミリは僕を見つけるなりそう言ってきた。そのほっぺたにはクリームついている


「ちょっと動くな」


「え?」


 そういって俺は彼女の頬のクリームを取りそれを食べる。


「意外とおいしいな」


「!?」


 すると彼女の顔が真っ赤になった。


「・・・不意打ちは卑怯だ」


「何か言ったか?」


「何にも!・・・それで、おまえはなにしてたんだ?」


「ああ、少し店を探していてな」


「お店?どんな?」


「サクラ商会」


「・・・ああ、あの最近有名な」


「有名なのか?」


「有名よ。侍女たちがあそこの化粧品はいいとか、騎士にはあそこのアイテムの品質は中々と言っていた」


「そうか・・・少しうれしいかな」


「どうして?」


「そりゃあ・・・あ、よ、傭兵なんだからそういう任務も受けるからだよ」


 俺は思わず泣かなのやっている商会と言いそうになって急いでほかの言い訳を考えひねり出す我ながらファインプレイだ。


「ああ、材料採集ね」


「そうだ。薬草ひとつにしたっていい抜き方や、全滅させないようにする気づかいがいる。こう見えて色々頭つかっているからな」


「へぇー、そうなんだ。・・・あ、着いたよ?でも、」


 サクラ商会の店の前には品切れの看板いにcloseの立札がかかって。


「やっぱりか。トモは後回しにしているだろうと思っていたし、俺だけでも着ておいてよかった」


 俺はそう言ってドアを3回叩く。

 すると奥から人が現れる。小柄なエルフの少女だ。(見た目ね)

 俺は彼女に首からかけてあった漆黒の盾に5枚の桜のマークの描かれたペンダントを見せる。

 すると彼女は慌てて店を開けて俺を中へ招く。

 戸惑うミリを引き入れ俺は中に入った。

 中に入るなり彼女は頭を下げる。


「失礼いたしました。我らが会頭、レライト様の盟友のお方の来訪とは聞いておりましたが最高ランクの方とは思いませんで・・・」


 彼女はそう言って俺の着けてたペンダントを見る。

 このペンダントは実は鉄や黒曜石ではなくアダマンタイトでできている。

 これは偽造防止であり、俺たち勇者のみに配布されたものである。


「あの・・・ではあなたが副会頭の―――」


「すまない、トモは別件で後日くる俺はヤイチという」


 その瞬間、彼女は冷や汗を流し、流れるように土下座体勢になった」


「申し訳ありません、我が国の新王―――」


「ああ!・・・気にしないで。それよりトモから預かりもの。品切れになっていたら渡せって言われてたから」


 僕は王様というそうになった彼女の声をかき消すように声を出す。

 …ミリは不思議そうな顔でっこちをみえいる。よし、ごまかせた。


 そう言って俺はメニューのストレージからボストンバック型のマジックバック3つを彼女の渡す。

 これはselect・gardenの中でも珍しいバックで一つに約3トンのアイテムが入る特別イベントのバックなはずなのだが。彼はそれは普通に渡してきたときは俺はため息しかでなかった。

 そして彼女表情はと言うと・・・



「ひっぐ、ひっぐ・・・」



 ――――泣いていた。



「・・・エイト、なにしたの?」


 そしてそんな彼女をミリが慰め、こちらに攻めるような視線を送る。


「・・・ああ、ちがうのです。その嬉しくて」


「え?」


「この国のアイテム品質は悪い癖に高いということで品質を売りにしていこうとは思っていたのですが・・・」


 そう聞いて僕はミリを見る。・・・ミリ、こっちを見なさない。


「・・・ためしのどのくらいの値段で売れるかと思って、実演販売+この国のアイテムより1,2倍ほどの値段にしたんです。」


「え?・・・まさか」


「はい。飛ぶように売れました。ちょっと売れればいいだろうと思っていたので在庫の少なく、金持ちの怖い人たちは入荷は、まだかと毎日聞きに来ますし。多様の妨害もあるいますが・・・在庫が無いというのがやはり問題で。このバックですと300個入りですかね?」


「・・・ああ、ちがう。それは個数設定じゃなくて質量設定になっているから。アイテム3トン分は言っている」


「・・・はい?」


「それが三つ分」


「・・・・・・はい?」


 アイテムは小さくあまり質量が無いのでそう言った者を運ぶとしたら確かにああいうバックが適切なのだ。逆に武器など重い物を運ぶには向かいないが。


「確認しよう・・・」


 ミリはそういうと彼女は意識を正常の戻し大急ぎで鞄を開けた。


「・・・本当だ。こんなにもアイテムが。さすが副会頭」


「じゃあ、これは預けていく。店の妨害の方はどうする?」


「あ、そっちは大丈夫です。私がお仕置きしましたから。私が言いたかったのはそこから得た情報の事なのですが・・・」


「なら、トモの部下を回す。彼らに教えてくれ」


「了解しました」


 そう言った彼女の笑顔はどこか恐ろしさを含み少し寒気がした。

 なので内容は聞かなかったが、それは適切な判断だろう。


「じゃあ、頑張れよ」


「あ、・・・これを」


 そう言いて彼女はワインを4本俺に渡す。


「副会頭に渡してください」


「了解」


 そう言って僕隊は店を後にした。


 ※※※


 店を出るなりミリの手を引き少し早足で歩く。


「・・・ミリ。ちょっと急ごう」


「え?」


 俺は剣の柄の装飾をタップする。

 ・・・やつらはこんな人気の多いところで仕掛けてくる気か?

 俺はこの国の地図を思いだし、人の少なく空地の多い、墓地へと向かう。


「あ、こっちは」


 ミリは何か言おうとしていたがそれを無視する。




 墓地へ向かって分かった。


「・・・誘導された」


 俺は悔しさに下唇をかんだ。


「・・・出てこい。いるのはわかっている」


 すると出てきたのはミリを襲ったのと同じ外見ののも15体。あの時のとは明らかに強いのを感じた。

 ・・・保険を撃っておくか。

 俺はそう言ってもう一度装飾を3度タップする。


「ミリ、俺から離れるな」


「・・・うん」


 その時、概念武装〈覇剣王〉の敵意察知に大量の反応が起こる。

 しかも後ろから。

 俺は振り向いた。

 そこには大量のゾンビにスケルトン、デスナイトにリッチがいた。

 その奥には冠をかぶった。死者の王。


「・・・ワイトキング」


「・・・お父様?」


 彼の持っている杖にミリは見覚えがあるのかそうつぶやいた。


「奴の生前に心当たりが?」


「今は行方不明とされている、聖人 バルトス王。私のお父さん。あの人の二つ名は

 魔術王。そしてあの杖はお父さんの杖だった気がする」


「・・・それはまずいな」


 俺は考えられる最悪を想定した。

 そして、殲滅から一点突破の逃走に計画をシフトしようとしたとき、俺の前に光が現れた。



 ・・・・・・それの光を俺は知っていた。


 それはselect・gardenではよく見る光景だったからだ。


 ―――転移石。それの一部を物に埋め込んでおくとそこへ転移できる特別な道具。プレイヤーでもごく一部しかもっていなかった特別アイテム。

 そして、この世界には存在しない道具。

 ならそれを持っていて今この国いいるのは―――



「すまない。遅くなった」


「・・・ったく、遅いよ。――――――トモ」




 俺が最も信頼する親友の登場だった。



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