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邂逅 ~メレーヌは何者?~

 

 僕とメレーヌは豪邸廊下を歩く。

 両サイドには騎士の鎧や高価そうな花瓶、絵が飾られておりいかにも位の高い人の家と言った感じが出ている。

 そして所々に感じる魔道具の気配。

 監視用とトラップ双方かなりの数仕掛けてあるのが分かる。

 これは神の目の一つ〈索眼〉。対象は魔力を帯びた道具。

 これに引っかかったのは上記全てだった。


 つまりあの絵さえも魔法の道具であるということである。

 僕はもう一度右手に着けた青色の指輪を撫でると、鍵が開くような音がする。


「レギオン、ここはどこなのだ?」


 そわそわと落ち着かい様子のメレーヌの質問に僕は毅然とした態度で前を歩き「誰の家なのでしょうね」と帰す。

 そして最奥の部屋までたどり着いた。

 僕はもう一度指輪を撫でると綿前のドアのカギが開き、扉が中へ向かい開く。

 盗賊王の指輪この指輪は宝石の色によってさまざまな効果を発揮する者で世界に一つしかない失われた技術(ロストテクロノジー)の神器級に匹敵する高価な物である。


 中には3人の男がいた。

 初老を迎えた御仁二人に40代とみられる男1人。


「はじめまして大司教の方々。そして教王国軍務総大将 アドリック卿」


「君が、あの集団の頭か?」


「はい。私は新生ヤマト法国の使者。賢者でございます」


「!?・・・なるほど、それで何が用かね?」


「・・・アルム、彼は」


「わかっている、アドリックもいいね?」


「はい、わかりました」


 そう言い彼は手をかけていた剣の柄から手を離す。


「ご理解戴けて恐縮です。さて本題ですが我が国建国の助力を頂こうかとお思いまして」


「・・・ほう。そちらの近衛騎士を連れてきた意味は?」


「私は知っています。プリーモ計画」


「・・・参ったな。あれは私の黒歴史だというのに」


 アルム大司教は困ったようにそう言い、頭を掻いた。


「助力とは具体的には?」


 アルム大司教の横に座るレック大司教は僕にそう問いかけた。


「建国する際の妨害工作をしない。あとレジスタンスにあわせてほしい。」


 僕はそう言うと彼らが息を飲むのを感じた。


「れ、レジスタンスは私たちも探しているところですよ。もちろん捕縛するためだが」


 アドリック卿はそう言うが僕は目を細めてどすの利いた声で聞いた。


「・・・うそをつくならもう少しきちんとしろ」


 それは一瞬で部屋の空気を凍りつかせた。


「はは、面白い人物の様ではないか。3人ともここからは私が話すよ。彼は恐らく私のもとまでの線が見えているようだからね」


 そう言いて出てきたのは50近い男性だった。

 だがその纏う空気は恐ろしく冷徹なものであり、とても笑顔で言葉を話しているとは思えなかった。


「・・・ば、バルトスさま」


 そう言いたのはメレーヌだった。バルトスは彼女を見るなり先ほどまでの表情は一変し親しみやすい優しげなオーラに変わる。


「メレーヌ!君がここにいるとは珍しい。そうなると彼は何者だい?・・・ああ、賢者くんだったね。そうではなくとのメレーヌとの関係だよ。まさか彼氏とかじゃないよね?」


 そう言って彼はものすごい殺気をこちらに向ける。僕はそれをそよ風のように受け流す。

 正直に言えばかなりの圧だが、脅威ではないと判断しているからできることであってもしこれが無関係な案件だったらすぐさま逃げ出すくらい出るといっておこう。


「そ、そんな。彼氏だなんて・・・(。・_・。)ポッ」


 その瞬間僕はその場から飛びのいた。

 すると僕の立っていた場所の床が盛大にえぐられる音がした。


「ほお・・・」


 そう彼は言うと僕はもう一度今いる場所を飛び退く。

 今度は先ほどよりも広く浅くえぐられた。


「・・・聖人のスキル〈無色の手〉ですか。それに格闘家のスキルも」


「ほお、それは今知ったか?それとも事前にか?」


「今ですよ。さすがにスキル構成までは手は出しません。戦うときの楽しみがない」


「戦闘凶か」


「いいえ、余裕の表れです」


 二人の間の空気は軋み窓ガラスはその反動でカタカタと揺れていた。

 …お遊びもこのくらいにするか。

 僕はそう言って圧を霧散させる。

 たちまち襲い掛かってくる彼の圧。それを眼力一つで吹き飛ばす。


「お遊びが過ぎますね」


「・・・なかなかだ。さすが勇者と言ったところか。レベル250はだてではないな」


 その言葉に座っていた3人に加えメレーヌの驚くがどこか納得した顔でもあった。


「何を言っているのですか?これは素の肉体。レベルも100超えてないですよ」


 その言葉に彼は驚き、またその他の4人も驚いていた。

 僕は平然な顔をしているが内心かなり驚いている。

 神の目による鑑定の結果かの王はレベルが145。

 ある種の超人の領域まで達していた。

 この世界に来てみてきた人達の中で一番高い。

 正直、戦闘になったらアカウントチャンジを使わないと負けるかもしれない相手ではある。


「…なるほど君のようなものがほかに7人。面白いな、来訪者は。で、今回の来訪で何をもたらす?」


「そうだな、手始めにこの第四大陸に平和と繁栄を」


 そう言うと彼らはきょとんとした顔になりバルトス前王は盛大に笑った。


「がははは、面白いな賢者。具体的には聞かんが、成功する見込みは?」


「邪魔が入らなければ、100%」


「ふふ・・・おもしろい。まあいい。だがこっちも一枚岩ではない」


「レジスタンスと魔神教ですか?」


「そうだ。奴らを排除しない限りの平和はないぞ?」


「安心してください。もとより手はかすつもりであり、キーとなる聖女をお守りしているのは我々です」


「ほう?」


 彼はそう言いて大司教を見る。

 彼らは申し訳なさそうに頭を下げ、かの王は鼻を鳴らした。


「・・・そうだ。友好のあかしにある軍部に影響力のある魔神教者を弱らせます」


「誰をだ?」


「それはお楽しみということで。まあレジスタンスのところにもいきます。その時は」


「ああ、出てやるよ」


 彼がそう言ったので僕はドアより外に向かって歩き出す。


「メレーヌ、君にはもう少しだけ手伝ってもらうことがあるから悪いけどついてきて」


「・・・うん」


 彼女はバルトスに何か言いたげだったが僕が歩くのを見て急いで追いかけてきた。


「・・・ごめんな」


「え?」


「再開の邪魔をするつもりはなかったが、ちょっと二人に問題が生じた。急いで向かうぞ」


「え?わ、わかった」


「じゃあ、つかまってくれ」


 僕はそう言って彼女を抱き寄せる。


「え?ええ!?」


 彼女は顔を真っ赤にさせ、こちらを見る。

 しかしそんなのを気にしている暇はない。


「転移石、座標№4!」


 そして僕たちはその屋敷から光となって消えるのであった。








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