単独行動
「それで、そちらさんは?」
「えーと、ミリ」
「・・・」
「は?名前だけか?」
「そういわないでくれトモ。わけありなんだ」
僕達は今宿の一室にいる。
この宿はとりあえずベット2つの部屋を2つ取ってるが今はこの部屋一つということにして話を進めている。
「・・・はぁー。ヤイチ俺らの目的忘れたか?」
「・・・いや」
「・・・じゃあ、今回の任務、お前をはずす」
「!?」
「代わりの人物に手伝ってもらうことにするからいい」
「・・・すまない、トモ」
「ミリとか言ったなお前。正直、僕は怒っているぞ」
その怒気にこもった声に彼女は少し体を震わせた。
「だがお前を助けたいと思っているやつにくらい本当のことを話すのはどおりというものだ。あとヤイチ無理するな。呼べば助けてやる」
「・・・トモ」
「・・・ありがとう」
二人はそう言いながら何か決意を固めたようにそう言う。
「じゃあこの部屋二人で使え。俺はべつの部屋とってあるから」
僕は最低限の仕返しだけして扉を閉めた。
残された二人は顔を見合わせ叫ぶのであった。
『『はあ―――――――――――――――――!?』』
僕はそのまますぐに隣の部屋へ入る。
ドアを閉めるとそのあとすぐにドアをかける音と共にヤイチの声がした。
「あれもういない!?」
「ど、どうすんのよ?」
「他探すか?」
「あ、でもここってかなりいい宿屋だって噂のところだからできればここが・・・」
「我がままだな。でも離れるのはあまりいいとは言えないよな。それを見越して?」
「…許してあげる」
「は?」
「だから一緒に寝ることを許してあげるといってるの!」
「・・・お、おう。あ、ありがとう?」
『お客さん、部屋前でうるさいよ!』
「「すみませんでした!」」
そう言いてヤイチたちは部屋の中に消えた。
「フフ、やはりいいコンビかもな」
僕は今この一連の出来事を想定はしていた。
そして、部屋の扉に聞き身を立てている状態だったが振り返ることによって何が起こるかまでは想定していなかった。
「・・・レギオン殿?」
そこには着替え中だったのかベットのシーツを引き寄せて顔を真っ赤にしたメレーヌがいた。
「あ、えーっと。ごめん」
僕はそう言ってドアからは出られないので窓から飛び降り逃走を図るのであった。
「待ちなさい、〈影縫い〉」
「ブベッ!」
僕離せけない声を出しながら転んでしまった。
今のは暗殺者のスキル〈影縫い〉。
そんな初歩技に引っかかるとは情けなくなった。
「〈影縛り〉」
「え、まって。メレーヌさん!」
さらなるスキルで縛ろうとしてきたこれにはなぜか身の危険を感じ、影縫いを引きちぎり上に飛ぶ。
影縛りは僕の目を縛ろうとしていたのか顔辺りにありそれに足を引っかけてしまった僕はもつれくように彼女のいるベットに入ってしまった。
彼女を押し倒すような体制、下着しか付いてない彼女、両社は大概に頬を朱に染めている。
僕は動けなくなった。
不覚にも彼女に見とれてしまったからだ。
最初に会ったときは顔を隠していてその後も帽子をかぶせたりとかお全てを見る機会はなかったが今こうしてあらためてみるとかなりかわいらしい顔をしていた。
顔立ちはヨーロッパ系で髪は金髪、碧眼にすき通るような白い肌。
僕の思考はわずかに彼女に引き込まれていた。
「・・・レギオン殿。その、はずかしいです」
「す、すまない」
僕はそう言って彼女の上からどいた。
取り合えず、一旦落ち着くために彼女には服を着てもらうことにした。
※※※
「それで、聖女様を友人殿に任せたと」
「ああ、それで代わりに難だけで君僕の仕事の手伝いしてくれない?」
「仕事の手伝い?」
「僕は君がうすうす感じている通り、ワイズマンつまり賢者の名を関する勇者だ」
「やはり・・・」
「そう身構えないでくれ。ここに来たのは建国に際した根回しの為だ」
「根回し?」
彼女は不思議そうな顔をする。
「ああ、国ができるとなればそこには多くの人が動きそれが逆に弱点ともなる」
「ああ、スパイとかということだな」
「それもそうだが一番怖いのはテロだ。建国した際には祭りを開くのはこの大陸の習わしだろ?そこなら裏
のルートで様々なものが入ってくる。ふたたびあそこをせんかにしないためには目に見えて大きな力を持っているところに話を通しておかなくてはいけないのだ」
「大変なんだな。君はスラムの子を育てているとも聞いたが」
「あれは私情がほとんどだ。ただそこにやさしは少ない」
「どういうこと?」
「確かに戦うだけの力、働くための技術は身に着けさせた。それは同時にもとより力を持っているやつに目をつけられやすくなるということだ。政務向きの才なら外国の貴族や商人、戦闘な向きの才ならそれこそ食客としてもそうだが、レベルの高いモンスター討伐に向かう許可が出てしまう。俺が怖いのはそこに慢心が生まれないかだ」
「・・・」
「わかるだろ?人は心の在り方によってレベルは同じでも待った違い強さを見せる」
「・・・それは知っています」
「なら、急成長がいい事なのかはわかるだろ?」
「ではなぜ?」
「簡単だ。挫折は早い方がいいし、俺なら安全な挫折を与えられるから」
「俺はな、増長したやつにはボコボコして一言こういう。『お前そんなことにために力尽けたのか。つまんないやつだな。そのまま嫌われ者になりたいなら勝手にしろ』」
「・・・反省するのですか?」
「大体はな。中には復讐心を燃やす奴もいる。背景に何かあるのは目に見えているからな」
「・・・でも、亡くなった新人は少ないと―――」
「それはな、仲間を作らせたからだ」
僕は彼女のセリフに重ねるように言った。
彼女はその先の言葉が聴きたのか言葉を飲み込む。
「ある小説で言っていたがな、人の強さとは支える者の有無にあるといわれた。人はもろい。簡単に挫折する。だが、そこに支えてくれるものがいたならば、立ち直ることは簡単だと」
僕は一泊起き言葉を紡ぐ。
「彼らは暴走してもとめる仲間がいる。弱点を補う仲間がいる。一人の限界を知らせてある。ゆえに彼らは一人で慢心はしない。もしそのパーティーでぐれるようなことがあればそれはもう盗人でしかない。それなら死ぬべきと僕は思う」
彼女は息を飲んだ。それは僕が本心からそう思っていると察したからだ。
「彼女に支えになってくれる人いるのか?」
「え?」
「あの聖女様の支えになってくれる人いるのかと聞いている」
「それは・・・」
メレーヌはトモの言葉を着た後ではしっかりとそれを肯定できる自信はなかった。
「ならばなってあげることだな。・・・後ろからではなく横から支えられるそんな存在に」
「ええ、そうね」
彼女はうつむき装返事をした。
※※※
「さて話を戻すが、二人のことは安心して欲しい。僕の部隊の数名がいるから。・・・で、君にお願いしたいのはこれから会う人物との顔つなぎ兼、安全証明だ」
「誰に会うというのだ?」
「大司教」
「な!?」
彼女はかなり驚いたようなかをする。
「彼らはめったに表には出てこぬのだぞ!?」
「え?ああ、だから興味をひかせた」
僕はそう言って外を歩きだす。
「え?待ってください。も、もう少し説明を」
「とりあえずついてこい!」
こうして奇妙はコンビが出来上がり、これにより彼女は名を広めるのだが、それを彼女が知るのはもう少し先の事である。




