教王国に到着〈裏〉 ~彼女との出会いは・・・~
ね・・・ねむい
精霊の力を借りてヤイチを探すと彼はすぐに見つかった。
僕は外套を被り口元を隠すと広場の見える大きな建物屋根へと上る。
「・・・」
「・・・」
だがそこにはどうやら先客がいたようで、彼女はこちらに気づくと何とも言えない顔をした。
「・・・敵ではないと思われるが名を聞きたい」
「自分は傭兵ギルド所属レギオン」
「・・・レギオン?かのワイズマンは」
その言葉に僕は驚きを買う瀬なかった。ワイズマンつまり賢者は俺を指す記号のようになっている。
実際、俺たちの名はあまり前に出さず記号となるあだ名を全面的に前に押し出そうと裏では動いている。
「ねえ、人の名前を聞いておいて君は言わないの?」
すると彼女は申し訳なさそうのこちらに体を向け自己紹介をした。
「近衛騎士 メレーヌ。あるお方の護衛任務についている」
「・・・どういうことだ」
僕がそういうと彼女は臨戦体制を取った。
「急に殺気が?どうしたのだ」
「ふざけるな。あの聖女さんはさっき死にかけてたんだぞ?あそこで話している友達が助けたからよかった
だな。だから、その言葉を信じられると思うな」
「なッ!あのおかたがそんな目に?ではわたしは・・・」
彼女はひどく困惑しているようだ。
「お前の雇い主は誰だ?」
「…すまないが言えない」
「護衛任務はいつからだ?」
「今しがたついたところだ。それまでは先任がいたと聞いている」
「…チッ。なすりつける気と言うことか」
「は?」
「任務失敗を大方君のせいにしようとしたんだと思うよ」
「じゃあ、わたしは・・・」
僕は落ち込む彼女の下まで歩き下を向いた顔の顎の部分をつかみ上に向けさせる。
「貴様の依頼主はマテッドか?」
「!?」
「わかったその反応だけで結構だ」
彼女の反応は実に解り易い。
しかし・・・改めて彼女の服装を見る。
なんというか・・・忍者だった。
それもくの一タイプ。
サクラ商会の諜報部と満月教の隠密部隊の公式コスチュームに忍者服をそれぞれ別バージョン作ったが思いのほか喜んでくれたんだよな。エンブレムも考えとけと言ったが、賢者様の方がかっこいいのにしてくれそうと言われ、仕方なく了承したがそれでいいのか?
・・・と、はなしがそれた。
彼女の服装はそのどれとも当てはまらないはっきり言っちゃえば袖なし超半ズボンみたいになっている。
「なあ、その服装は恥ずかしくないのか?」
そう聞くと彼女は顔を真っ赤にする。
・・・やっぱり恥ずかしいのね。
「これは性能がいいので」
神の目で性能を見る限りかなりの性能であるのはわかっていた。
しかし、それでは肌の露出部の防御力は噛むに等しい。
「なあ、あの・・・いいや、交換条件を出すのはよくないな。これを着てみてくれないか?」
そう言って僕はもう一つの隠密用衣装『記者』を渡した。
襟の高い服に動きやすい伸縮性に優れた服とズボンすべり止めの着いた指ぬきグローブに腰にはポシェット(マジックバック)。カメラはなかったので手帳にペンを胸ポケットに入れさせてある。
「おお、これはなかなかです。してこれは?」
「密偵衣装ですが、あなたにあげます?」
「なにをねらっているのですか?」
「なに、お願いは一つ・・・」
僕は一泊間を開け、静かに言葉を紡ぐ。
「彼女の護衛俺らにも一枚かませてほしい」
※※※
僕は冒険者が好む服装に外套を羽織り、メガネを新品にして性能の高いやつ(自作)にして二人を屋根上から監視していた。
「この望遠レンズ。スキルの代用になっていいですね」
隣では望遠鏡を使って彼女たちを監視する記者メレーヌ。
あの服には移動補助に加え、魔力を流すと軽めの結界が展開されるようになっている。
ちなみにヤイチは気づいていたようだがあの広場にも追手が来ており、僕とメレーヌで消えてもらった。
まあ、そんなだからヤイチがあんなこと出したのだと思ったが勝手に人の政策をべらべらしゃべるのはやめてほしいと事前に釘は指しておいたのでこれは自業自得である。
このままで取ってある宿を通り過ぎそうなので服装を戻し彼らの前に姿を現す。
その表情は少しおこり気味で。
彼はそれで察したのか甘んじて僕の平手・・・ではなくぐーでの顔面パンチを食らうのであった。
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