僕たちの旅行 ~懐かしきあの時代の冒険談を添えて~
危うく投稿忘れるところでした
「ヤイチ、準備はいいか?」
僕がそう問いかけると彼はselect・garden時代のそれも、中堅時代に来ていた武装をしていた。
「お前、それは・・・」
「ああ、お前と旅をして最後に分かれた時の服装だ」
そしてそれはあの世界でパーティーを解散した時の服装だった。
向こうの武装や衣装、装飾類はその人に合わせてサイズが変わるのだが、アカウントと自分の体格をあまり変えてないせいか、それとも別れた時のレベルのせいかヤイチはゲームで決別したあの時を感じさせた。
「まるであの時の旅の続きに行くようだな」
「うん?俺はそのつもりだが?」
彼はそう言い、にっこりとやんちゃな笑顔を浮かべる。
その笑顔に、僕はある少年の笑顔が重なる。
「・・・そうだな。そろそろ進むべきだよな。でもな―――」
「トモ?」
「・・・すまない。さて、お前との記念すべき男二人旅張り切っていこうか!?」
「月読のみんなといくんじゃないのか?」
「あいつらなら先に向かってもらった。俺らは乗合馬車で行こうぜ?」
「おお、なんかラノベぽい!」
「それとこれにいくつかにも移しておけ」
「これは?」
「マジックバック。ストレージに入っているだろうがメニューはこの世界じゃあ異質すぎるそれにある程度のアイテム入れてある。回復薬や食料とか。それを旅の間は使ってくれ」
「なるほどこの世界のバックは4次元○ケットなのか」
「ちなみに時間は過ぎるし、保温効果はないからな」
「劣化版かい!」
僕らは笑った。随分とこんな会話も懐かしい。
ただ今は、新しいこともある。それは笑っている人の笑顔が見えること。
僕はおもわずまぶたを閉じてその上を軽くなでる。
こうすると改めて思う。みえるのは素晴らしいと。
これから行く旅行にしたってそうだ。ヤイチは向こうでは心臓が弱いから旅行にも出れなかた。それがこうしていけるのだそれだけでもかなり嬉しいだろう。
実際彼はかなりうきうきしているのが見て取れる。
今日の連携を確認するために潜ったダンジョンも心なしか動きが良かった気がする。
そして、翌日の朝方。教王国行きの馬車で出発した。
※※※
「あんちゃんたち傭兵かい?」
馬車が出発して間もなく馬車の後ろから景色を見ていた俺とヤイチに爺さんはそう声を掛けてきた。
爺さんと言っても老兵。それもかなりの優秀な男と思われる彼に僕は馬車に乗った時から目をつけていた。
そんなおじいさんに声を掛けられ僕は内心警戒しながら「そうですよ。おじいさんは?」と聞き返した。
「わしゃあ、ただの旅行じゃ」
「教王国に?」
「そうじゃよ。古い顔なじみに会いにな」
なにを考えているか全くわからないがその言葉に偽りはなさそうだと僕は思った。
教王国まであと3分の1くらい来たところで馬車は止まった。
日が沈み、空は紅色に染まる。
僕達はそれぞれで夜営の準備をする。
僕はマジックバックからサクラ商会の簡易コンロ、鍋を出す。
その間ヤイチには護衛の傭兵と共に森に入ってもらい、狩りと魔石回収見回ってもらった。
魔石とはこの世界の魔物またはモンスターの心臓のようなもので大気中の魔素と呼ばれるものを蓄えた植物を食した動物にその器官ができると魔物と呼ばれるようになり、魔力による自然的な肉体強化によって肉体が変化すると言われている。また、魔物が年を取るにつれて強くなるのはその肉体変化が完成に近ずくからではないかと僕は思っている。
魔石は魔道具の燃料として使われるため大変重宝される。
しかし、魔石はその大きさによってその石から放出できる魔力量も変わるので高エネルギーを使用するときはいまだに石炭や薪を使う。
それと、この世界の薪は特殊な魔術付与をすることによってその身を完全にエネルギー変換できるらしい。これはかなり重宝させてもらっていたりする。
この国アルノー率いる商会があるからね。
と言っても料理にそんな火力は必要ないのである程度の魔石で十分なのだが。
「おーい、レギオン!」
どうやらヤイチが返ってきたようだが、彼以外の傭兵は何だかげっそりしているな。
「・・・こいつ、底なしの化けもんかよ」
「あんなのと戦って、なんで・・・」
「こいつマジでランクいくつだよ・・・」
僕は、鍋とコンロの大きさを変えることを決めた。
※※※
「きまえのいいあんちゃんたちにかんぱーい!」
僕が取ってきたイノシシ(魔物)を魔素抜き(魔物には血の変わりに魔素が流れている。魔素は口から取り入れると毒になる)をしてトン汁をふるまった。
と言っても肉がとんでもない量だったので石焼ステーキも同時並行で作った。
この馬車には護衛の傭兵5人と業者のオッチャン、老兵のおじいちゃん、教王国には噛まりに行くという夫婦とその息子一人。そのほか4名ほど何も答えない人、それに僕たちが乗っていた。
僕が大なべに魔物イノシシの魔石を燃料にトン汁を作り一緒に狩ってくれた傭兵3人に義馳走する。ほかの2人も食べたそうににしていたので銅貨5枚(最低貨幣が銅貨。貨幣通貨についてはあとがきにて)で販売したところ、まあ先に少年が「これ僕のおこずかいこれで3人分」と親孝行を見せられてしまい、銅貨10枚で思わず3人分よそってしてしまった。
「銅貨を数え間違えるとは俺も年かな」
そういうとヤイチに盛大に笑われた。
その後ほとんどの人にトン汁を食べられてしまい、ヤイチが肩を落としているところに僕がマジックバックから先に取り分けておいた小さな鍋を取り出し二人で夕食とした。
さっきの件で少年は僕たちに興味を持ったようで色いらな話を迫ってきた。
そこで、僕たちはselect・garden時代の僕達の冒険談をお伽噺風に話した。これまでの旅の経験上僕の話は悲しい孤独の少年のお話になるのでヤイチの方をしたら英雄物語となってしまった。どこかの騎士王の物語のようだなと僕は思ったが。
また、ヤイチのお話で一番盛り上がったのは始まりの僕とヤイチの別れの決闘とその後の共同戦線のお話だった。
かつて袂を分れた師弟が数年の時を得て、再び一つの敵に立ち向かい連携斬撃『刀剣乱舞』に敵にとどめを指すところはヤイチが熱く語りみんなが敵汗握っていた。
どうやらそのお話に護衛の傭兵の引き込まれてしまったようで仕方なく僕が見張りをしておいた。
と言ってもあのイノシシを倒したヤイチがいて、僕も少しだけ強者の気配を外に漏らしていいる中襲ってくるバカはいないと思ったけど、いたんだよね。
少し先からゴブリンの群れ30余りがいたので僕は一人で向かうと魔笛皇の概念武装によってちょっと攻撃してこの世から消したあげた。
時間にして10秒足らず。
僕はトイレと戻ってきたときに言って見張りをするのだった。
お、ちょうどあいつが国を設立するところか。なつかしいな。
・・・こうして夜は深くなってゆくなか、ある人物は彼の話に耳を傾けながらもう一人の優しい青年のことに気づき秘かに笑うのであった。
銅100枚→銀1枚→銀1000枚→金1枚→金100枚→白金1枚→白金1000→魔導貨幣1枚
お金持ちの間では多くの貨幣を持つ者は貧乏の証明と言われ、貨幣よりも道具や宝石類に変えその質の高瀬を自慢することが多い。また、ギルドは金庫番もしており多くの冒険者はお金をギルドに預ける。ただ金貸しはしていない。
※魔導貨幣・・・太古の魔道具。魔力を貯蔵でき、魔力がたまると魔導貨幣本来の使用ができる。また魔石代わりにできるが超希少金属+失われた技術で作られているため、厳重保管されている。伝承によれば4大陸の最果ての試練を超えた先の大地にあるくぼみに入れると何かを手に入れられるらしい。魔導貨幣には創世の神の加護があり、十枚単位でそれをささげるとかの神を守護する7人の誰かを顕現させることができるかもしれないため、多くの国が集める。稀にダンジョンで発見されるが、一見銅貨にしか見えないのでギルドによく売られる。なので、この魔導貨幣を一番持っているのはどの国でもなくギルドだと言われている。
※※select・gardenではガチャコインと呼ばれたもので―――(詳しくはまた今度)




