№2.強いからこそ知る存在
1時間あけての連続投稿です
ここはとある病院の病室。
その部屋には4つのベットが置いてあり、それぞれ一人がヘッドギアをつけて眠っている。
すると、4人のうち一人が光を放ち消えてゆく。
そんな中、一人のゴシック名服を着た幼女がドアを開けて部屋に現れる。
彼女は入ってすぐのところにいる少年の頬を撫でようとして伸びてきた腕に止められる。
幼女の腕をつかむのはこの部屋のベットで眠る一人の少女の者だった。
「それはだめ。・・・さあ、お願い。私たちを連れて行って」
彼女はうなずいて彼から手を引く。
幼女は表情を変えず、彼女が眠るのを見届けるとこっそりと彼の頬を1撫でする。
既にこの部屋にいるのは彼一人となり、彼の足元から光となって消えている。
彼女はどこか懐かしむように言葉を紡ぎ、彼の額に口づけをした。
「あなたには期待しています。転生されし―――さま」
そうして彼女はベットの並ぶ部屋の中心に立ち、祈るように言葉を紡ぐ。
「汝らに、我願いを託す。対価として汝らの欠けし部分を我が補う。ここに契約成立した。では、行こうか。我らの箱庭から選ばしものたちよ」
―――そして彼らはこの日、・・・世界から消えた。
―――Select・garden。
日本で5番目に発売されたVRにして、全世界にユーザーを抱える世界的ソフトである。
Select・gardenは『ボックスガーデン』と呼ばれる平面世界を舞台にプレイヤーは不死の訪問者と言う設定で世界に降り立つ。プレイヤーは4つの種族から選べる。
職業と言うクラス選択をし、様々なことをおこなえる万能型『ハイヒューマン』。
高い知能(鑑定スキル)を持ち、回復・治癒魔法を扱い、立体的な動きに優れた『ハイエルフ』
身体能力は高いが、種族によって突出する者が違う『ハイビースト』
ものづくりと鍛冶仕事が大好きで、細かい仕事を得意とする『ハイドワーフ』
これら四つの中らからプレイヤーは自分のキャラを選択し、カスタマイズする。
ガーデン内のもとから存在する一般的なNPCはすべてプレイヤーの選択できる4種の『ハイ』を取った種族である。
NPCと部下や眷属として作れるMPCとプレイヤーの差と言えば、ハイにはレベル上限が250。NPCは100とされている。
このゲームは世界の病院でも取り入れられ、入院中の患者のストレス軽減を買って出ている。また、VRは脊髄を通してもらうので直接情報を送れるためそれを利用した新たな補助マシーンの開発にも成功していた。
さて現実の話はここまでとして、select・gardenは現実と見間違えるほどのスペックの高いAIのNPC。本物と見間違える水や食料。創意工夫の施された武器や家。
もう一つの世界と言っても過言ではない。
そんなゲームの中で最強は誰か。
そう聞くと意見はだいたい6つに分かれる。
騎士皇・巫女姫・双龍・義賊のソウキュウ・大樹の精霊・超刀士。
しかし、これは全体から見た意見であって強さに重きを置いたものに意見を・・・それこそ先の6人にこのゲーム最強を聞いたとしよう。
・・・彼らは決して自分の名を出さない。
なぜなら彼らは彼の強さを知っているからだ。
それは、無名ではない。ソロにこだわり続ける男として有名なプレイヤーがいる。
それこそ―――東園の管理人。
これはとある国のイベントをクリアし、ソロ攻略限定報酬で領地をもらった彼がその国が抱えるバチカン市国ほどの東の大森林をもらったことに由来する。
それはゲーム会社公認の呼び名であるがプレイヤー間ではまた別の名で呼ばれたりもしている。
『エデンを作りし者』、『一騎千軍』、『魔笛王』、『トウシン』である。
僕のプレイヤーネームは『レギオン』。これはゲームのアカウント作成時、ネームランダムによる特典ボーナスが欲しいがために勝手につけられた名前の為自分で考えたわけではない。・・・まあ気に入っているんだけど。
そしてそのレギオンのデータを自分・・・そう、友村 蓮多に移行中を示すバーが僕の目の前にあった。
現状に困惑していると彼の目元がひかり、吹き出しが視界にあらわれる。
その吹き出しによると『select・garden』のアカウントデータをそのまま僕自身の魂に移行しているようだった。移行中に読める説明書きには基本武器、肉体情報、所有道具、亜空間はそのまま移行されるそうだ。そして、元のアカウント使用はスキル扱いになるらしい。
そうこうしているうちにアカウント移行が100パーセント迎えると視界が真っ白になり、急に頭が割れるような頭痛に襲われる。
そんな中、ゴシック服を着た幼女が現れ僕の瞳にキスをする。それとともに頭の中で鎖が一本はじける音がする。
・・・あなたの瞳に神の祝福を
「君は...―――!」
彼女驚いたような表情をして、そして・・・嬉しそうに笑った。
―――僕はそこで意識を失った。
ありがとうございました。明日も昼と夜投稿します。
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