傭兵ギルドゲットだぜ! 01
すみません遅くなりました。
「これにて、真ギルドマスター サラの任命式を終わります。最後にギルマス一言」
「これから傭兵ギルドはめまぐるしく変わる。・・・いや、変える。その変化にみんなついてきてほしい。私は見ての通り若い。故にこのギルドを悪く言う者がいるかもしれない。だが、私は知っている。その程度君たちは何とも思わないことを。君たちが傷つくのは印象だ。今この傭兵ギルドの評判はあまりいいものとは言えないだろう。ならば変えようではないか。もう奴はいない。私なら君たちの意見を聞く。一人ではできないなら私は力を貸そう。頼りないかもしれないが、私は頭がいいわけでもなかればすぐれたリーダーシップを取れるわけでもない。ただこれだけ言おう。私は頑固だ。決めたことをやりきる。以上だ」
僕はそれを聞き彼女に拍手を送る。それと同時に彼女の演説に圧倒されていたギルド員は全員拍手する。
その中にはSランク傭兵の面々もおり、傭兵ギルドのギルド長就任式としては珍しかった。
その日の夜、僕とサラはbarカナタにいた。
「ハア~、トモ。君に手伝ってもらっておいてなんだけど、私で良かったの?」
「また、そのこと?君らしくもない」
そう言って僕は彼女にケーキを出した。
「・・・ショートケーキ。おいしい。すごいよね、トモは」
「いや、だって俺ソロ長かったし。森からでたらなんか疑われるし・・・」
そう、なぜか僕が森を出ると一部NPCが過剰に反応するのだ。
あるところでは公爵級のもてなしを受けたこともあった。
一応、緊急手土産用のお酒(虹の酒)や森特産のフルーツちょっと(最高級品)を渡しただけなんだけどな。
「そういえば、あの世界のNPCってなんか機械っぽくないっていうか、本当に一つの命で生を全うしているようなんだよね。人型以外も…」
「そうだね。そういえば君は召喚師だっけ?」
「そうだよ。だけど、この世界じゃあれらの動物たちがどうみられているか不確定だからラダメなんでしょ?」
僕はコーヒーを飲みながらうなずく。
「人型の・・・っていってもみんな人とのかかわりを避けているし、それだけの理由を持つ種ばかりだから」
「そうだね。まあ、別にいいんだよ眷属召喚の事は。いざと言うときの戦力として力を貸してくれればいいから。特に超人種は数少ない対プレイヤー用NPCでもあるんだから」
「そうかな?」
召喚士とは調教師の上位職でテイムしたもんすたーや魔物などを魔力体として自分の体内に保管でき、獣魔との好感度によっては一部能力を借り受けることもできる。
サラは使役する魔獣、モンスターの数がselect・Gardenにおいて一番多い僕と同じ物量制圧タイプなのだ。
しかし、獣魔が傷つくのを見たくないため滅多に使用せずその変わり力を借り受けて身体を超強化することにより擬似的な超身体を行使することを可能として超戦士タイプのプレイヤーでもいた。
彼女の領地はホシカと同じ国、極東の島々の中にあって唯一人のすまない、いや、神聖視する島こそ彼女の領地だった。
その島には小人族と呼ばれる物づくりに長けた人の親指サイズの希少種。
獣人に匹敵する身体能力を一時的に手にでき、ありとあらゆる武器を業物へと昇華させる特殊能力ゆえに過去に英雄の一族と呼ばれ、多くの戦争に駆り出され疲弊してしまったゆえに神の試練を超え、神人(人から下級神へと昇華した霊体)となり世界のバランスを守る天秤の守り手となった超人種。
僕の配下にもいる自然と心を通わせる代わりに目を失った森の祭司という森と共に生き、森と共に死ぬ半精霊。
これ3種族がすんでいる。
説明からわかるように彼ら彼女らはある意味人ではない。・・・生き物であるかすら怪しい部分もある。
そう言った種族はselect・gardenでは公式には実在しなかったことになっているがプレイヤー間ではかなり有名だったりする。
実際、ゲーム内のNPCに問いかけるとそれなりに情報がもらえたりもするのだ。
僕の配下のダークエルフ、エルダードワーフ、魔族などはselect・gardenには存在しない書物上の生き物である。そしてそれらは基本的にその住み家から出ることができないのだ。
しかし、その代わりプレイヤーに匹敵する力を持っていることも確かになっている。
サラ配下の超人種などはいい例だろう。あれは、対プレイヤー特化と言っているが正確には対人戦闘特化と言うのが正しい。
ある一点においてプレイヤーを超えるものをプレイヤー間では隠しキャラと呼び密かに人気だったのも言うまでもない。
それで最初の1年目終了間際に大きな事件が起きたのは古参プレイヤーなら知る人も多いだろう。
それを知っている自分としては無理してそう言った人物たちを表舞台に立たせる気はない。
実際に今動いてもらっているダークエルフたちもちゃんと許可をもらって働いてもらっている。
しかし、いざとと言うときに力を貸してもらいたいということだけは全員に分かってもらうようにしている。
サラの配下もそれには納得しているようで、サラの心が少しだけ軽くなったのは言うまでもない。
それでもみんなの配下が大きく動いているなか、自分はやれることが少ないということに少し不安を抱えているようだったので今回この件に彼女を抜擢したのだ。
この―――ギルド掌握作戦の要に。
ざっくりと終らせてしまったギルド掌握作戦、スタート!




