№9 建国への道 ~さて、何から始めようか?~
新章突入!
「こちらが了承しておいて失礼だが、建国は―――待ってほしい」
「「「「え!?」」」」「・・・そうですな」
今僕たちは王城内の宰相室と呼ばれる部屋でエドワードとガロウ、ネオラを交えて話し合いを行っていた。
そしてそこでヤイチによる建国了承の返事と同時に僕は建国のストップをかけた。
そしてその場にいたエドワード以外が驚きを表す。
「トモ、どいう事か説明もらえるか?」
そう切り出してきたヤイチの声音は疑問に溢れ、かすかに恐怖を感じているようだった。
「安心しろ、建国に反対なわけではない・・・ただ、今建国しても潰されかねないということだ」
その言葉に、ホシカとロビン(ミチナガは常にロビンと呼んでほしいそうでロビンと呼んでいる)は気づいたようだが他は?を浮かべていた。
「今この国の現状はかなり困窮している物と察する。これは国力が低いということに他ならない。この国は、森林と鉱山地帯、ダンジョンの多いことから工業都市として発展し、数多くの傭兵を抱えていることがこの国特徴だ。これでは、基本的に他国に頼らなくてはいけない状況にあることは火を見るより明らかだ。・・・テン、わからないという顔をしているな。解り易く言えば、・・・この国には畑が無いのだよ」
「それじゃあ、みんなお肉食べてる?」
「・・・そう、だな。そういう考えもできるが、それはないだろう。さっき僕たちはパンやスープを飲んだだろ?」
「うん、野菜スープ。おいしかった」
「それは他国から輸入していることの証明だ。この国は豊富にとれる資源により第一次産業をやめ、第二次産業にシフトしたことによる日本と同じ問題・・・食料自給率の低下を起こしている」
このあたりは、事前に質問して確認していたことでもある。
それから予測できる色々な事態をみんなに放した。文官のエドワードも驚くような意見もあった。(・・・これは大体僕達の歴史から引っ張ってきたものだが)
そして僕が大きな出来事ばかり言うのに対し、エドワードはその簡易起こるであろう小さな不満、摩擦の例を上げてくれた。
そして僕は思った。
・・・やはり、国づくりに関して僕たちは素人だ。
元々で来た国家・・・それも歴史ある国家しかない現代の子供に国づくりは難しすぎる。
それでも彼らはやる気だ。これから人の暗い部分を多く見ることになると思う。
それでも彼らは進むと思う。
少なくともヤイチはそういうやつだ。
そんな彼にみんなついていうだろう。・・・僕を除いて。
僕がいなくても平気な時がやってくるとき、それはこれから真っ赤に汚れる僕がこの国からいなくなり、きれいな万民のあこがれる国ができるだろう。
それまでは・・・僕は君の親友さ、ヤイチ。
その日はから1週間。僕達は勉強した。
・・・まあ、よくあるその世界の文字の勉強(歴史・経済の授業も兼ねて)と地図、モンスターやダンジョン、薬草やアイテム、この世界のシステムなどを勉強した。
まず地図。この世界はselect・garden同様、平面世界で5つの大陸とその他の孤島に分れている。この国は北大陸南部の最南端に位置し、周りを山に囲まれ、後ろに海がある鎌倉幕府のような立地である。海では魚を取り、山で獣(経験値の入らない戦闘力の低い食用の生き物)を取り、穀物類は他国輸入に頼っている国だ。
先に述べたとおり、鉱山やダンジョンが多くあるおかげで工業が発展し、ドワーフなどの鍛冶スキル的性の高い種族に加え、それに魔術を付与する人のジョブ『付与術師』、彫刻などの美術品や相当の修練を必要とするルーン彫師を含めた『彫師』などの加工師。そして、鉱石やモンスター、ダンジョンの研究をする『学者』も多く存在する。
貴族と言うのは無いらしい。・・・と言うか前王が反逆を恐れて潰したらしい。
(もちろんその貴族は反乱を起こしたがガロウによって制圧、お取りつぶしされたらしい。またその貴族の残党が国民をあおって地位の奪還を狙ってらしい)
そしてこの国で一番多いのが、各国に存在する『ギルド』の名をかんした何でも屋、傭兵ギルドに所属する戦闘員である。
これはいわば、定番ラノベで言うところの冒険者だ。(北部の国のギルドは冒険者ギルドと言うらしい。)
これが少し前からは政府から独立しており、手綱をつかめていないらしい。またトップがぼんくらで、先代からのコネを継ぎ、下手に力を持っているので強く出られないらしい。
・・・色々と問題は山済みだが、この傭兵ギルドこそ一番どうにかしなくてはいけないと思った。
この国はダンジョンが現れやすい。
つまり、傭兵の存在は不可欠で過去の歴史から見て崩落―――つまりモンスターパレードはとんでもない大災害だ。
そんな危険をはらんだダンジョンを傭兵ギルドはかなり野放しにしてしまっている。
故にまずはこの件に着手しようと考えた。
・・・そこで、まずはレベルを上げようと決まった。
どうしてかと言うと、僕は依然デスナイトを倒したがその時にレベルが14まで上がり、2つのスキルを覚えていた。その1つが〈眷属召喚〉。これはなんと、select・gardenで支配していた土地のNPC(プレイヤー作成または国に属した者のみ)を顕現できるらしい。レベル10で40 人それから10上がるごとに+10人呼べるらしい。
この件をみんなに話してレベルを上げるため、ダンジョンモンスターの間引き、体に慣れるためと言った訓練として難易度が一番低いと神の目で出たダンジョンに行った。
全員で2週間全力でダンジョンにこもった結果、ボスを倒して(select・gardenの小ボスだった)全員がレベル20を超え、僕とヤイチは39まで上がることの意成功した。
それにより最大、〈眷属召喚〉で60人ずつは召喚出来るようになった。
とりあえず僕は隠密に優れたダークエルフを召還し、他国の諜報員の見張り、国内に残った貴族をしらべさせ、さらに森の下の地下都市の長を務めるエルダードワーフも召喚し内政の手伝いをさせた。
それから一部に指示を飛ばした後、1ヶ月かけて内政に関してはヤイチ配下の司法官長や副官、MPCのマーリン、倭国相談役衆とその側近の文官そしてエドワードを含めたこっちの文官と共に計画を練り上げ5つの計画書を作り上げた。
「これは・・・とんでもないですな」
倭国相談役のまとめ役を務めるものはそうつぶやくと、それに同意するかのように何人かが頷く。
この計画書ははっきりってしまえばマニュアルだ。ここから3年の計画をまとめた1・2・3番。自然災害、モンスターパレードなどの緊急時を予測したありとあらゆる事態用の4番。5番は僕がいなくなった時用の緊急用としてある。
マーリンや司法官長、倭国相談役の老人の三人は僕を恐ろしいと言ったが、地球ではこのくらいできないと内政は1年で破たんする。
そう言い切ったら、来訪者は違うと恐れられてしまった。
君らの主はたぶん僕とは違ったところでまた恐ろしいから、と一応忠告しておいた。…だからそんな目で見るな。
ただ、エルドラ(エルダードワーフの略)は輝いたような目でこちらを見てきた。
・・・そんな目で見るな、恥ずかしい...
そうして、僕は咳払いをすると計画書の1番を開いた。
「まずはじめに行うことだが、もう行動は起こしている。僕も向うとしようかな?」
僕はそう言って窓の外に見えるこの国の城下町でで一番大きな建物を見つめる。
あれこそ、各国共通で数千円前から存在する『ギルド』。
この国のギルドは戦闘仕事が多いことから傭兵ギルドと呼ばれ、この国の戦闘、護衛、採集系の依頼を行う人達の集まり場だ。
このギルドの前に人だかりができていた。
その先頭にいるのは女の子。
「さて、いきますか」
僕の最初の計画が―――始まる。




