無

作者：沖田猫

　行き場のない言葉が

　体の中をグルグル回る

　雷のような声で

　怒鳴り散らしたとしても

　赤ん坊のような声で

　泣き叫んだとしても

　事実は何も変わらないんだと

　もうとっくの昔に悟ってしまったから

　こうして今日も

　音にならない言葉を飲み込んで

　青空のような顔で

　僕は僕を殺してゆく

　そして明日も

　音になりそこねた言葉を飲み込んで

　人形のような顔で

　僕は僕を赦してゆく

　行き場のない言葉が

　体の中をグルグル回る

　行き場のない言葉が

　体の中をグルグル回る

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