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JLFは誰?
俺は、思い切ってその話題を口に出したのだった。
「実は、白川さんから、お前のお兄さんの話を、聞いた」
「君は、君さ……」クスリ、と笑んだようだった。
俺はさらに勇気を重ねた。
「敵は、JLFだろうか」
「……」
さすがの瑛も、問い、というよりも状況に、沈黙した。俺は言葉を重ねる。
「JLFとはなんだろう?」
「……敵国残党民とも、国内反乱分子とも言われているね」
一般的模範解答による、相づちだ。先を促される。
「国内反乱分子だとして、いったいなぜ、自国の究極の不利益を企み、また目指すのだろう」
「思想に洗脳させられた。争いに肉親を奪われ、状況に逆恨みした。単にお金に目がくらんだ。エトセトラ」エトセトラ――
「つまり、それは――」
「……」
「誰にでも、可能性がある、ということだ……」
「……」
「ひょっとして――」
俺は呼吸を整えた。
「この俺が、JLFなのかもしれないよ」